院長インタビュー

地域医療を強化し、専門的な医療を提供する昭和大学病院附属東病院

地域医療を強化し、専門的な医療を提供する昭和大学病院附属東病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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昭和大学病院附属東病院は、東京都品川区に位置する昭和大学の附属病院の1つとして城南地域の医療を担っています。昭和大学の建学精神“至誠一貫”のもと、本院である昭和大学病院とともに、診療、教育、研究を柱とした質の高い医療を提供しています。同院の特徴やこれからについて、院長の村上 秀友(むらかみ ひでとも)先生にお話を伺いました。

先方提供
昭和大学病院附属東病院ご提供

昭和大学病院附属東病院は、昭和大学が有する9つの附属病院の1つで東京都23区でも城南エリアに位置し、おもに品川区・大田区・目黒区・世田谷区の患者さんが受診されています。

当院は、1928年に開院した昭和大学病院の東棟として1987年に開設され、その後、立地の関係などから1999年に昭和大学病院から分離し、現在は199床を有する病院となりました。

当院と本院である昭和大学病院は中原街道を挟んではす向かいの位置関係で、昭和大学病院は救急機能を有した特定機能病院です。一方、当院は急性期機能を持つ病院で、従来の診療科に加え、整形外科の診療と手術さらに急性期のリハビリテーションを担うフットワークの軽い病院として、昭和大学病院とともに城東地区の地域医療に力を尽くしています。

ペインクリニックは、おもに痛みの診断と治療を専門的に行う診療部門です。痛みがある中で生活を送ることは、起きているときだけでなく睡眠の質を下げるなど、活動のパフォーマンスが下がり日常生活に大きく影響するでしょう。生活の質を上げるためにも、早急に痛みを緩和することが大切です。

当院のペインクリニックでは、患者さん一人ひとりの痛みと向き合って診断をし、その患者さんに合う方法で、痛みの除去・軽減を目指して治療を行っています。

特徴的な治療の1つとして、従来の方法で緩和できない慢性的な疼痛(とうつう)に対して選択肢となる“脊髄刺激療法(せきずいしげきりょうほう)(Spinal Cord Stimulation:SCS)”があります。人は痛みの信号を脳に送り、脳が認識することで痛いと感じます。その信号が送られる過程で脊髄を通過するのですが、手術により脊髄に電極を挿入し、その電極から流れる微弱な電気によって痛みの信号を脳に伝えにくくする方法です。

患者さん一人ひとりの状態を考慮しながら、痛みを緩和し日常生活を少しでも楽に過ごせるよう、さまざまな治療方法を一緒に検討していきます。

睡眠医療センターは、高い専門性で睡眠に関する問題に対し医療的なアプローチを行っています。睡眠の問題には、近年注目されている睡眠時無呼吸症候群をはじめ、過眠症、むずむず足症候群、睡眠時随伴症など、さまざまな不調が潜んでいる可能性があります。たとえば、社会活動を大きく阻害するうつ病については症状の1つに睡眠障害があり、その場合は精神科による治療が必要です。

当センターでは、日本睡眠学会認定の専門医を中心に、関連する各診療科が連携して包括的な治療を提供することが可能です。睡眠について不調を感じた場合は受診していただきたいと思います。

昭和大学の眼科学教室は、歴史的に精力的な活動をしている教室で、全国的にも知られています。

当院の眼科の特徴としては、目の外傷に対し治療を行っていることです。目からの情報量は非常に多く、損傷するとその影響は計り知れません。感覚器である目にはあらゆる機能が詰まっており、複数の損傷をきたすことの多い外傷の治療には幅広い経験が必要になります。当院には、眼科診療科長の恩田 秀寿(おんだ ひでとし)医師をはじめ、経験や実績を積み重ねた医師が在籍しており、眼科診療において高い専門性と質を兼ね備えた医療提供に取り組んでいます。

脳神経内科は、脳や脊髄、末梢神経(まっしょうしんけい)、筋肉を内科的に診療する専門診療科です。私自身は当科の診療科長を務めており、脳卒中や神経難病を専門としています。当科の特徴的な診療は、脳血管障害の急性期、慢性期での治療、さらにその予防です。特に、脳卒中をはじめ急性期の治療が重要となる病気は、早期発見、早期治療でその後の人生が変わるといっても過言ではありません。呂律(ろれつ)がまわらない、手がしびれる、眠れないなど、ご本人だけでなくご家族からみてもいつもと違う症状があれば受診していただきたいと思います。

そのほか、認知症をはじめとする変性疾患や末梢神経、筋疾患の診断・治療も昭和大学病院と連携して行っています。

当院は地域の医療機関との連携を重視しており、年に2回ほど地域の医療機関を対象とした“クリニカルセミナー”を行っています。当院と昭和大学病院連携のもと、多くの先生に興味を持っていただけるようなトピックで、各専門診療科が企画し開催しています。たとえば、病診連携によるがん治療、また私自身も院長就任のご挨拶をした際に“Parkinson病でみられる運動症状と認知機能との関連性”と題して講演しました。

患者さんに一貫した包括的な医療を提供するため、地域の先生方と緊密な連携で積極的な地域医療を行いたいと考えています。

当院は大学組織として教育機関の顔も持ち合わせており、大学には未来の医療従事者を育てる大切な役割があります。学生も、机上の勉学だけで現場を知らず医療にかかわることはできません。よき医療者となれるよう、実習の一環として患者さんに関わることもありますが、温かい目で見守っていただけると大変ありがたく思います。

2024年4月から施行された“医師の働き方改革”により、病院の勤務体制を刷新し、医師も労働時間や労務を厳密に管理することとなりました。従来、医師が常に病院にいる状態は珍しくありませんでしたが、このような新しい体制となりこれからは病院の風景が変わるでしょう。

今後は主治医だけではなく、さまざまな医療従事者がチームとなって患者さんやご家族を支える体制となっていきます。体制が変わっても、患者さんやご家族に寄り添い、早期の社会復帰を目指して医療を提供することには変わりありませんので、お困りごとやご相談があれば遠慮せずスタッフにお話しください。

病気を自覚することを“病識を持つ”といいますが、歳のせいと思わずご自身の病気を認知していただくことは何より大切で、見過ごさず行動すればその後の生活も変わります。体の不調を感じたら、ぜひご相談ください。

また、地域の先生方との連携はとても大切で、今後も密接に連絡を取り合いたいと考えています。患者さんを中心に考えた医療の提供を目指し、これからも地域の医療を支えるため力を尽くしてまいります。

*診療科や医師、提供する医療の内容等についての情報は全て2024年6月時点のものとなります。

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