院長インタビュー

“ともに歩み、支える”を体現し医療と福祉で地域を支える済生会新潟病院

“ともに歩み、支える”を体現し医療と福祉で地域を支える済生会新潟病院
本間 照 先生

済生会新潟病院 消化器内科 院長

本間 照 先生

目次
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新潟県新潟市西区にある社会福祉法人恩賜財団済生会支部新潟県済生会 済生会新潟病院(以下、済生会新潟病院)は創設以来、地域の医療、保健、福祉の分野で尽力し、地域の方々を支える総合病院です。2023年には新潟市の救急拠点病院に選定され、現在は受け入れ体制の強化に取り組んでいます。そんな同院の特長について、2021年から院長を務める本間 照(ほんま てらす)先生にお話を伺いました。

当院は1927年に新潟診療所としてスタートし、きたる2027年には創立100周年を迎える歴史ある病院です。いつの時代も地域の皆さんとの対話を欠かさずに、医療、保健、福祉、介護を通じて地域医療に尽力してきました。

新潟県というと雪国のイメージが強いかもしれませんが、当院のある新潟市では、そこまで雪が降りません。そのため積雪のために当院にアクセスできないような状況もあまり起こりません。年中を通して穏やかな気候で、暮らしやすい街だと思います。しかしながら、新潟県は以前から深刻な医師不足が問題となっており、医師の高齢化も着実に進行しています。このような状況のなかで、当院は地域医療の(かなめ)として安定した医療を提供することを使命とし、さらにはまちづくりのお手伝いを通じて地域の活性化に貢献していきたいと考えています。

以前より、新潟市では救急医療機能が分散しているという課題がありました。特にコロナ禍では2次救急(入院を要する救急)での人手不足が顕著となり、地域の医療資源を再編成する必要性が高まったのです。そのような状況を受けて、県では新たな救急拠点病院を公募することとなり、結果、当院は2023年に新潟市の救急拠点病院に認定されました。

当院は元々救急医療に力を入れていましたが、現在は2027年までに年間8,000件の救急搬送に対応できるよう、医師の確保など受け入れ体制の強化を急ピッチで進めています。取り組みの成果として、救急車の受け入れは2022年度(2022年4月~2023年3月)の約3,000件から2023年度(2023年4月~2024年3月)には約4,500件と増加しました。このような形でも我々は地域医療を支えるべく奮闘しています。

当院は総合病院ですので、それぞれの科で、スタッフ一同奮闘しておりますが、私自身の専門である消化器内科についてご紹介させてください。急性疾患から難病まで、広い分野を対象に力を入れています。消化器のがんウイルス性・代謝関連肝炎胆石症などはもちろんのこと、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)クローン病の診療も強みです。

救急搬送される方の主訴はさまざまですが、お腹の痛みを訴えるような消化器関連の病気が原因となるケースもよくみられます。消化器の病気を抱える患者さんが搬送されてきた際には消化器内科、放射線科、外科が連携して緊急にCT検査や内視鏡手術などを行い、迅速な救急医療を提供しています。

産婦人科は婦人科部門、生殖医療部門、産科部門で構成されています。

がんや子宮筋腫卵巣嚢腫子宮内膜症などを扱う婦人科部門では開腹手術よりも低侵襲(ていしんしゅう)な(体への負担が少ない)内視鏡手術を積極的に行っています。里帰り出産にも対応している産科部門は、WHO(世界保健機関)とUNICEF(国連児童基金)から“赤ちゃんにやさしい病院(Baby Friendly Hospital)”の認定を受け、WHOとUNICEFが提唱する“母乳育児を成功させるための10ヵ条”に沿って可能な限り母乳育児を推進してきました。

今日本では、全出生児の12人に1人が不妊治療により誕生していると報告されています。生殖医療部門では、以前から体外受精や顕微授精、精巣精子採取術などの不妊治療(治療法によっては年齢による回数制限などがあります)に積極的に取組み、出産を希望される方々をサポートしています。2022年(2022年1〜12月)の実績としては、その年の妊娠成立件数(411件)のうち246件が生殖補助医療(ART:妊娠を成立させるためにヒト卵子と精子、あるいは胚を取り扱うことを含む全ての方法)によるものでした。

当院は日本でも歴史のある社会福祉法人である済生会グループの一員として、医療と福祉に全力で取り組んでいます。済生会は“医療で生活困窮者を救済すること”を目標として1911年に明治天皇によって設立されました。この精神を長らく受け継ぎ、現在では高齢の方や生活が困窮している方、受刑者、外国の方、障害のあるお子さんなど、医療にアクセスしづらい事情を抱える方々と日々向き合い続けています。たとえば、当院の医療ソーシャルワーカーが患者さんやご家族の相談に応え、病気に関するさまざまな問題やお悩みについて一緒に解決法を模索しています。ご相談内容は、治療を受ける際の経済的な心配からお仕事、人間関係に至るまで多岐にわたります。我々は今後も医療を必要とする全ての方に耳を傾け、地域の中核を担う病院としての役割を全うする所存です。

当院は新潟市の救急拠点病院として救急医療への対応という使命を果たすため、地域の医療機関への紹介を推進するとともに、2024年には外来を完全予約制に切り替えました。そのため、事前の紹介なしに紹介状を直接持参された方は、原則として当院で予約をお取りいただき後日受診(緊急の場合を除く)となります。風邪などの症状があれば、まずはかかりつけ医をご受診ください。地域の医療機関との一層の連携強化・情報共有を進めて参ります。こうした医療体制の改革は、安定した地域医療のために必要な取り組みですので、ご協力いただけますと幸いです。

当院はこれからも“ともに歩み、支える”という理念を体現するべく、救急医療はもとより人々を守る総合病院として思いやりをもって患者さんに寄り添い、全力で日々の診療に打ち込んでまいります。

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