院長インタビュー

急性期医療から介護福祉まで総合的な医療サービスを提供する西福岡病院

急性期医療から介護福祉まで総合的な医療サービスを提供する西福岡病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

目次
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福岡県福岡市西区にある西福岡病院は、急性期医療を担う一方、かかりつけ医としての側面も持つ病院です。地域のニーズに合わせて、病病・病診連携を大事にして高齢者医療、介護福祉の分野まで手がける同院が果たすべき役割や今後ついて、院長である渡辺 憲太朗(わたなべ けんたろう)先生に伺いました。

西福岡病院 俯瞰

西福岡病院の歴史は、1955年(昭和30年)に設立された結核療養施設である長垂療養所までさかのぼります。結核患者さんは“大気、安静、栄養”という当時の治療原則に従って、都市の喧噪から離れたところで静養することが一般的だったため、のどかな環境が広がるこの地に長垂療養所が設立されたのでしょう。

1970年代の高度成長期に入ると当院の周囲にも次々と家屋が建築され、人口も増加してきました。その後結核は徐々に減少し、入れ替わるように結核以外の病気で受診される方が増え、幅広い診療分野を総合的に外来・入院診療できる医療施設が求められるようになりました。現在は22の診療科、238床の病床を備えて日々の診療にあたっています。

病床の内訳は一般急性期病床45床、地域包括ケア病床45床、障害者病床40床、緩和ケア病床15床、療養病床25床、回復期リハビリテーション病床20床のケアミックス病院ですが、加えて結核病床も48床あります。結核患者は年々減少しており、結核病床を廃止もしくは減らさざるを得なくなりましたが、今や福岡市で結核入院施設のある病院は当院だけであり、結核病床を引き続き維持することが私どもに与えられた社会的責務と考えております。

以上申しあげましたように、当院は急性期から回復期、慢性期、看取り期まで、切れ目のない医療サービスを地域の皆様に提供できる体制を整えています。

先のコロナまん延期に、私たちは地域の救急患者さんを積極的に受け入れる貴重な経験をさせていただきました。日本の高齢者人口は増加の一途を辿っています。救急搬送が必要な患者さんの診療における私どものような民間病院の役割がこれからますます大きくなっていくと思われます。とりわけ高齢者救急をお引き受けする病院としての役割を積極的に果たし、患者さんの日常生活復帰をめざすお手伝いを致します。

当院が所在する福岡県北西部は、婦人科を開設している医療機関が少ない地域です。そこで、遠方から通院される患者様の利便性を考慮し、2023年に婦人科でオンライン診療を導入しました。

当院では、スマートフォンアプリ「CLINICS」を利用し、ご自宅や職場からインターネットのビデオ通話を通じて医師の診察を受けることができます。処方されたお薬は、患者様のご都合に合わせて院外の調剤薬局で受け取ることが可能です。

原則として再診の患者様を対象としていますが、緊急避妊薬処方外来および月経移動外来については、初診の方もご利用いただけます。受診予約はアプリを通じて行え、前日まで受け付けています。

また、当院の婦人科では来院前のウェブ問診を積極的に実施しています。患者様は、ご自身のパソコンやスマートフォンから病院のホームページにアクセスし、ウェブ問診にご記入いただくことで、診察当日に問診票を手書きする手間が省けます。これにより、医療スタッフが事前に患者様の病状を把握でき、診察までの待機時間を短縮することが可能です。特に、初診の方、かかりつけ医からの紹介状をお持ちの方、健康診断後の精密検査で受診される方には、スムーズな診察のためにウェブ問診の活用をおすすめします。

さらに、2025年度からは医師2人体制となり、手術にも積極的に対応していく予定です。今後も、より多くの患者様に安心して受診いただける環境を整えてまいります。

当院は結核療養所からスタートしたこともあり、伝統的に呼吸器疾患の患者さんが数多く受診される病院です。休日を除く毎日、2名〜3名の呼吸器内科医師が外来で勤務しています。人口の高齢化とともに、糖尿病や心臓病など.呼吸器疾患以外の生活習慣病を一緒にもっておられる方が少なくありません。ベッド数238という決して大きくはない病院ですが、22の診療科を擁する利点を生かして、診療科の垣根を越えた迅速な連携体制で診察にあたっています。

当院は治験にも力を入れています。当院を受診する患者さんが多いことにもよりますが、呼吸器関連の治験が多く、その中でも非結核性抗酸菌症に対する治験は全国でもトップクラスの症例登録数を誇っています。

呼吸器内科もCLINICSアプリによるオンライン診療に対応していますので、どうぞご活用ください。

西福岡病院は日本呼吸器学会の専門医資格を有する医師が4人勤務しており(2025年2月現在)、行政主導で行われる呼吸器疾患関連のさまざまな医療活動に積極的に協力しています。欧米諸国と比べると結核はいまだに多く、身近にあって見逃しやすい病気といえます。福岡市の感染症診査協議会(結核審査会)に当院呼吸器内科の医師が常に参加し、結核の診断能力の向上や治療の適正化・標準化に努めています。また一般住民健診の胸部X線撮影で要精査となった方のための二次健診や、石綿やじん肺健康管理手帳をお持ちの方に対する定期健康診断も担当しています。

また当院の健診部は一般企業の集団健康診断にも医師を派遣しています。福岡市が国民健康保険に加入している40歳以上の方を対象に実施している“よかドック”(特定健診、特定保健指導)にも対応しています。

このような幅広い活動を通じて地域のかかりつけ病院としての役割をさらに果たしていきたいと考えています。

1998年、介護老人保健施設“西寿”が西福岡病院の隣に併設されました。医師、看護師、介護士、栄養士、ケアマネジャーなどが在籍しています。退院したものの在宅復帰までは時間がかかりそうな方の入所、在宅療養が困難な認知症の方の入所、在宅介護を支援する短期入所、デイケアなど、それぞれの方の目的に応じて施設をご利用いただき、リハビリテーションを中心としたトータルケアを提供しています。

入所されている方に日々の生活を楽しんでいただけるよう、西寿は体操やレクリエーション、月ごとの行事などを実施しています。また西寿を利用されている方のご家族に向けて、家族地域交流会や勉強会を定期的に開催しています。

施設の窓からは古くからの景勝地として知られる生の松原、博多湾、能古島などの景観を一望できます。西寿はまさに療養に適した環境です。

近年は病気にかかってから治療するよりも、病気にならないようにする予防医療が重視されています。病気を予防するためには、正しい医学的な知識の普及が欠かせません。そこで当院では毎月、地域の皆様にむけて医師や看護師などが講師を務める健康講話を開催しています。糖尿病や心臓病をはじめとした病気のこと、フットケアや睡眠といった身近な話題、介護保険の仕組みや医療連携など、毎回幅広いテーマを設定しています。健康講話についてご興味のある方は、ぜひ当院ホームページをご覧ください。

西福岡病院 健康講話ページ https://nishifukuhp.or.jp/kowa.html

このほかにも、広報誌“生きがい”の配布、SNSを通じて、さまざまな医療情報を発信しています。中でも重要な役割を担う公式ホームページは、さらに分かりやすくするため2025年4月にリニューアルする予定です。

当院は1955年に開設され、今年で記念すべき創立70周年を迎えることになりました。爾来地域の皆様に気軽に相談できる病院を目指し、医療サービスの提供・向上に取り組んで参りました。2025年2月現在、常勤医師24名を含む約440名の職員が在職し、かつての結核中心の医療から一般内科および専門内科全般を広くカバーする内科の診療体制を充実させて来ました。加えて整形外科、婦人科、皮膚科、緩和ケア内科、耳鼻科、眼科、泌尿器科、一般外科、呼吸器外科に至るまで幅広い診療科を擁する病院として、地域の皆様のあらゆる健康相談や診療に対応できる体制を構築して参りました。

私どもの病院は大学病院や国公立の基幹大病院と地域のクリニックの先生方との間に位置する中規模の民間病院です。基幹病院のような最新の医療機器を備えた高度先進医療を担うことはできませんが、これからますます多くなることが予想される救急医療、とりわけ高齢者の救急医療は西福岡病院に課せられた重要な役割であると認識しています。

地域の皆様に信頼される病院として、他病院やクリニックの先生方と緊密に連係し、お互いに補完しながら地域の皆様に心のこもった医療を提供したいと念じています。

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