しみは、年齢とともに肌に現れることがある薄茶色~茶色の色素沈着のことです。しかし、一口にしみといっても、しみは原因や特徴によってさまざまな種類があり、それぞれで消す方法(治療法)も異なります。
そこで本記事では、しみの種類別の消す方法や、病院で行われる治療法の詳細、自分でできる対策までを詳しく解説します。
しみは紫外線をはじめ、女性ホルモン、炎症、刺激(肌を強くこするなど)などが関係して発症し、その原因やしみ種類によって消す方法(治療法)も異なります。以下では、代表的な4つのしみを例に挙げて説明します。
しみの中でもっとも多く見られるもので、日光性色素斑とも呼ばれます。30歳代以降に出現することが一般的で、比較的濃い茶色をした崩れた円形、はっきりとした輪郭が特徴です。また、顔や手の甲、腕など、日光が当たる部分にできることが多いとされています。
老人性色素斑はレーザー治療で消すことができるとされています。10日ほどテープを貼る必要があり、完全にきれいになるのにはさらに数か月かかります。
肝斑とは30歳以降の女性の頬骨の上や、おでこ、鼻の下などにほぼ左右対称に現れるしみです。原因はメラニン色素が過剰に作られることで、メラニン色素の生成には紫外線やホルモンが関連すると考えられています。
肝斑は治療によって消すことができるとされています。治療法としては、内服薬(ビタミンC、ビタミンE、トラネキサム酸など)や外用薬(ビタミンC、トラネキサム酸、ハイドロキノンなど)の使用が挙げられ、同時に紫外線予防も重要であるとされています。
雀卵斑とは、いわゆるそばかすのことです。日光が当たりやすい顔などにできる淡い褐色のしみで、小さなものがいくつも散在するのが特徴です。なお、そばかすは遺伝的要素が強く3~5歳頃に現れることが一般的で、これは10歳頃(思春期の少し前)から目立つようになり年齢とともに濃くなるとされています。
治療には主にレーザーが用いられ、場合によっては1回の照射で消えることもあります。ただし、ダウンタイムが1週間程度あることを考慮して複数回に分けて治療することもあります。
頬骨突出部・下眼瞼・前額外側などの特定部位に、20歳すぎから発症する色素斑で、女性に多く、グレーがかった色調が特徴的です。ほかのシミがすべて表皮のメラニン増多なのに対して、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は真皮のメラノサイト(メラニンを作り出す細胞)増多が原因です。
治療にはレーザー治療が用いられ、Qスイッチルビーレーザーの高フルエンス照射が確実な治療とされています(2020年9月時点)。
以上のように、しみにはさまざまな種類が存在し、治療によって消すことができる場合もあります。ただし、しみだと思っていたものが実はあざや皮膚がんだったという可能性もゼロではありません。そのため自己判断で対処せず、まずは皮膚科や美容皮膚科で診断してもらうとよいでしょう。
しみを消すために医療機関ではさまざまな治療が行われています。ただし、美容目的の場合は保険適用外となるので注意しましょう。
以下では具体的に行われる治療法を詳しく解説します。
レーザー治療にもさまざまな種類がありますが、基本的には、茶色い色素(メラニン)を焼くことでしみを取り除く方法(Qスイッチルビーレーザー)をとります。この方法は、主に老人性色素斑、雀卵斑・後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の治療に用いられます。
なお、肝斑に対してレーザー治療は禁忌とされています。低出力であれば肝斑に対するレーザー治療も問題ないといわれることもありますが、効果は一時的で副作用の危険が大きく、これを行うべきではありません。
必要に応じて、ビタミンC、ビタミンE、トラネキサム酸などの内服薬やビタミンC、トラネキサム酸、ハイドロキノンなどが含まれた外用薬が用いられることもあります。ビタミンC、トラネキサム酸、ハイドロキノンはしみの原因となるメラニンの生成を抑制するとされるため、これらはしみ全般で行われますが、トラネキサム酸が有効なのは肝斑に限られます。
ケミカルピーリングとは、化学薬品を塗って皮膚を剥がすことに伴う現象や効果を利用して行う治療です。老人性色素斑など、紫外線によってできるしみに対する治療の選択肢となりますが、肝斑のようにホルモンが関与するしみや、そばかすのように遺伝的な要因があるしみに対しては治療が難しいとされています。また、2~3回程度で効果が出ることはあまりなく、治療には数か月~数年程度かかることもあります。
自分でできるしみ対策としては、まず徹底して日焼けを防ぐことです。また、市販の飲み薬や美白成分配合の化粧品などの使用も挙げられます。代表的な成分はビタミンCやトラネキサム酸です。ただし、美白剤の効果はそこまで高くなく、ビタミンCを1年間飲み続けても1日日光に当たれば元に戻るといわれている程です。また、しみの種類によっても対処法は異なるため、自己判断で対策を行う前に医療機関を受診して適切な治療を受けることが望ましいと考えられます。
しみにはさまざまな種類があり、種類によって適切な治療法は異なります。誤った治療を選択すると症状が悪化することもあるため注意が必要です。しかし、適切な治療を受けることで、しみを消すこともできるといわれています。そのため、しみが気になる場合は皮膚科などの医療機関を受診し、医師による適切な診断と治療を受けるとよいでしょう。
葛西形成外科 院長
葛西 健一郎 先生の所属医療機関
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