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アルポート症候群
アルポート症候群とは、腎機能障害、難聴、視力障害を主要症状とする、遺伝性疾患を指します。アルポート症候群では進行性に腎機能が低下することが多く、20代半ばで透析や腎移植が必要になるほどの腎機能障...
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アルポート症候群あるぽーとしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

アルポート症候群とは、腎機能障害、難聴、視力障害を主要症状とする、遺伝性疾患を指します。アルポート症候群では進行性に腎機能が低下することが多く、20代半ばで透析や腎移植が必要になるほどの腎機能障害を呈することになります。聴力に対しての影響も強く、思春期や青年期までに難聴を発症することが多いです。

アルポート症候群の原因は、COL4A5、COL4A3、COL4A4と呼ばれる遺伝子異常であると報告されています。診断は家族歴や臨床症状、腎臓の組織を顕微鏡的に観察することからなされます。

治療は症状に応じたサポーティブなものになり、透析や補聴器などが導入されることになります。遺伝性のある疾患であるため、遺伝カウンセリングが行われることもある疾患です。

原因

アルポート症候群は、COL4A5、COL4A3、COL4A4と呼ばれる遺伝子に異常があることが原因となって発症します。これらの遺伝子は、「4型コラーゲン」と呼ばれるタンパク質を産生するのに重要な役割を担っています。4型コラーゲンは腎臓、なかでも「糸球体」と呼ばれる構成成分に多く存在していることが知られています。

糸球体とは小さな血管の塊であり、血液から不要な物質をろ過するはたらきがあります。濾過された血液は「原尿」と呼ばれますが、ここをもとにして最終的な尿が産生されることになります。4型コラーゲンは糸球体の主要構成成分のひとつであり、原尿が適切に産生されるために重要なタンパク質です。

しかし、COL4A5、COL4A3、COL4A4と呼ばれる遺伝子に異常が存在すると、4型コラーゲンに異常が生じることになり、糸球体が適切にはたらくことができなくなります。異常な糸球体では正常なろ過機能が失われており、身体にとって必要なタンパク質までもが尿として排泄されるようになります。

腎臓への障害は徐々に進行することになり、最終的に腎不全へと至ることになります。 4型コラーゲンは、内耳や眼球内にも存在することが知られています。したがって、4型コラーゲンの産生に異常が生じるアルポート症候群では、耳や目に関連した症状が出現することになります。

アルポート症候群は半数以上の患者さんでCOL4A5遺伝子に異常を持っていることが知られていますが、本遺伝子異常は「X連鎖型」と呼ばれる遺伝形式をとります。男性の場合は、異常なCOL4A5遺伝子を有すると病気が必ず発症します。女性の場合は異常なCOL4A5遺伝子を持っていても、もう一本正常なCOL4A5遺伝子を持つことが多いため、症状はより軽く血尿程度であることがほとんどです。しかし病気の保因者となることになり、お子さんに対して一定の割合で病気の可能性を持つ遺伝子を伝播することになります。

COL4A3、COL4A4と呼ばれる遺伝子異常の場合は、「常染色体劣性遺伝」と呼ばれる遺伝形式をとることが多いです。常染色体劣性遺伝では、1本異常遺伝子を持つのみでは重篤な症状を呈することは少ないのですが、病気の保因者となり得ます。2本同時に異常遺伝子を有した場合、若年における腎不全などの重篤な症状を呈するようになります。

またCOL4A3、COL4A4と呼ばれる遺伝子異常のなかには「常染色体優性遺伝」と呼ばれる形式をとることがあります。この遺伝形式では異常な遺伝子を1本持つと重症の症状を認めるようになりますが、末期腎不全になる年齢は60歳前後とやや遅い傾向にあります。

症状

アルポートの症状は大きく分けて、腎臓、聴覚、視覚、の3つに認めます。 腎臓に関連した症状は、尿に血液が混じる「血尿」が初発症状になります。幼少期から認めることがありますが、健診などをきっかけとして検査を受けることで初めて指摘されることになります。

年齢と共にタンパク尿も生じるようになり、さらに腎機能障害が進行します。原因となる遺伝子異常に応じて、慢性腎不全になるタイミングは異なりますが、もっとも多いCOL4A5遺伝子に関連したアルポート症候群では、男性では平均して25歳までに、女性では40歳までに末期腎不全へと進行します。男性の方が女性よりも慢性腎不全の頻度は高く、症状もより早期に現れることになります。

耳に関連した症状としては、難聴を認めます。幼少期は目立たないのですが、徐々に進行し思春期や青年期で難聴を呈するようになります。目に関連した症状としては、白内障や円錐水晶体などを認めることがあります。

検査・診断

アルポート症候群の診断は、尿検査や腎臓(ときに皮膚)の組織検査、遺伝子検査、聴覚検査、眼科的な検査をもとにしてなされます。 尿検査では血尿が存在することが確認され、病状が進行するとタンパク尿も併発するようになります。

4型コラーゲンが存在する腎臓や皮膚の組織を用いて、同タンパク質が存在しているかどうかの検索を顕微鏡にて行うことがあります。より細かく組織変化を判定するために、電子顕微鏡が用いられることもあります。

遺伝子検査では、血液検査を用いて原因遺伝子(COL4A5、COL4A3、COL4A4)に異常がないかどうかを検索します。 また、感音性難聴と呼ばれる難聴形式を聴力検査で確認することがありますし、眼科的な検査を通して「前円錐水晶体」、「後囊下白内障」などの特徴的な変化を確認することもあります。

治療

アルポート症候群では根本的な治療方法がないため、症状に応じた対症療法が中心になります。腎臓障害の進行を遅らせるために、アンジオテンシン転換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬と呼ばれる内服薬を用いることがあります。

腎不全が強くなった場合には、透析や腎移植が検討されることになります。 難聴については診断初期には認めなくても、徐々に進行することがありうることも知られています。定期的な聴力検査を行いつつ、適切なタイミングで補聴器が用いられることになります。

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