症状
皮膚筋炎では全ての患者に特徴的な皮膚症状が見られ、大部分の患者で筋肉の症状も見られます。人によっては、関節症状、呼吸器症状、心臓の症状、全身症状などを伴うこともあります。
皮膚の症状
皮膚の症状は皮膚筋炎の代表的な症状の1つです。特徴的な症状として、ヘリオトロープ疹(むくみを伴うまぶたの紫紅色の紅斑)、ゴットロン丘疹(手指関節の伸展部の皮膚表面のかさかさして盛り上がった紅色の皮疹)が挙げられます。
ゴットロン丘疹と同様の皮疹は、手指だけでなく、肘や膝、足首などの関節にも生じることがあり、これをゴットロン徴候と呼びます。日光が当たりやすい部位や物理的な刺激を受けやすい部分にも紅斑が生じやすく、首から胸にかけてV字状に出現するものをV徴候、肩から上背部にかけてショールを巻いたように出現するものをショール徴候、太ももの側面に出現するものをホルスター徴候と呼びます。
このような皮疹はかゆみを伴うこともあり、かゆみから始まる場合もあります。また、皮下脂肪に炎症や石灰化が生じたり、皮膚の潰瘍を形成したりすることもあります。
皮膚筋炎では皮膚症状が必発しますが、筋肉の症状がなく、皮膚症状だけ現れる場合もあり、これを無筋炎性皮膚筋炎といいます。
筋肉の症状
皮膚筋炎の代表的なもう1つの症状が筋肉の症状で、筋肉が障害されることによって疲れやすくなったり、痛みが出たり、筋力の低下に伴い力が入らなくなったりします。症状の出方は緩やかであることが多く、初期には自覚症状がない場合もあります。
筋力の低下については二の腕や太もも、首など体の中心に近い筋肉に現れやすく、腕の筋肉が低下すると腕が上げづらい、太ももでは階段を上るのが難しい、座った状態から立ち上がりにくい、首では寝ている状態から頭を持ち上げにくいなどの症状が出ます。
また、喉の筋力が低下することもあり、この場合には食べ物が飲み込みにくい、むせる、喋りにくいといった症状が見られるようになります。
関節の症状
手足の関節の痛みや腫れが現れる場合もあります。膠原病の1つである関節リウマチのように骨の破壊や変形が起こることはほとんどありません。
呼吸器・心臓の症状
皮膚筋炎に間質性肺疾患を合併したり、心臓の筋肉が障害されたりすることもあります。間質性肺炎を合併すると、動作後の息切れ、痰が少ない乾いた咳、息が吸いにくいといった呼吸困難の症状が現れます。間質性肺疾患は死因として重要です。心臓の筋肉が障害された場合には、不整脈や心不全症状として、脈の乱れ、動悸、呼吸困難が現れることがあります。
そのほかの症状
そのほかの症状として、レイノー症状(寒い場所で手足の指先が真っ白や紫色に変色する)が見られることがあります。発熱、倦怠感や疲労感、食欲不振などの全身症状が起こる場合もあります。
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