とっぱつせいなんちょう

突発性難聴

耳・鼻

目次

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概要

突発性難聴とは、「朝目が覚めると発症しているような突然発症する難聴」です。2001年の厚生省研究班調査によれば「突発性難聴で治療を受けている人」は年間で約35,000人と推定されており、30~60歳代が中心です。男女差はほぼありません。

原因

原因は明確になっていませんが、これまでの研究では内耳のウイルス感染、循環障害、日常生活上のストレスなどが関与していると考えられています。

ウイルス感染説

ムンプス(流行性耳下腺炎)で片側の高度難聴をきたすことが知られています。突発性難聴の約7%はムンプスの不顕性感染(病原菌に感染したが症状が現れていない状態)であるとする報告もあります。しかし、突発性難聴のほとんどのケースでは原因となるウイルスを特定するまでには至っていません。

内耳(蝸牛)循環障害説

耳の奥の聴力と平衡を司る内耳と呼ばれる器官にある血管がけいれんしたり塞がったりすることで症状が生じるのではないかという説です。しかし、この説では若年層にも発症したり、突発性難聴の多くが再発していないという事実をうまく説明することができません。

ストレスとの関係

肉体的・精神的ストレスも突発性難聴の引き金になると言われています。ストレスを感じると交感神経が活発化して血管が収縮します。血管が収縮すると内耳は血流不足になります。血流不足では酸素など必要な成分が十分に内耳に供給されません。そして内耳機能が悪影響を受けて突発性難聴が発症するという考えです。またストレスにより内耳障害を引き起こしうるウイルスが再活性する可能性も指摘されています。

ストレスと一言に言っても残業、睡眠不足、人間関係など数多くの要素があります。またストレス度合いを数値によって明確にできないことも突発性難聴とストレスの関係を明確にできない理由の一つです。

症状

健康で耳の病気を経験したことのない人が、突然に耳が聞こえなくなります。難聴が第一の症状であり、付随する形で耳鳴りやめまいを併発することがあります。

難聴

通常、左右いずれか片側のみです。再発はほとんどありません。発症から治療開始までの間に難聴の程度が変動することはありません。

耳鳴りやめまい

難聴に加えて耳鳴りやめまいを伴うこともあります。内耳には聞こえを担当する蝸牛、身体の平衡感覚を感知する三半規管や前庭と呼ばれる構造物が存在しています。そして内耳から蝸牛神経、前庭神経がつながります。耳鳴りは聞こえに関係する神経系の異常興奮によって生じます。そのため、難聴とともに耳鳴りを自覚することがあります。

障害が強い場合、蝸牛・蝸牛神経だけではなく、三半規管・前庭・前庭神経にも影響が広がります。そして回転性または浮動性のめまいを生じます。つまり、めまいがある方が重症度は高いことになります。

検査・診断

聴力の評価のために純音聴力検査を行います。また、言葉の聞き取りが不明瞭になることも少なくないため、語音明瞭度検査も行います。

聴神経鞘腫(ちょうしんけいしょうしゅ)の初発症状として難聴が起こっているケースも少なくありません。そのため、突発性難聴と聴神経鞘腫の鑑別を目的としてMRIによる検査を行なうこともあります。

治療

発症後1週間以内に治療を開始することが重要です。最もよく行われるのはステロイドホルモン剤の投与です。血管拡張剤を使う場合もあります 。これらで改善がみられない時は高圧酸素療法、ステロイドホルモン剤の鼓室内投与、星状神経節ブロックなどの追加治療が検討されることもあります。しかし、十分なエビデンスは確立されていません。

治療を行っても後遺症なく完治する方は1/3程度です。そして発症時よりは難聴が改善するが元には戻らない方が1/3程度、治療に反応しない方が1/3程度です。突発性難聴に関連した後遺症は非常に不快なものです。耳鳴りが残ると頭のなかで常に音が鳴るため生活の質にも影響します。

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