肺がんは無症状のうちに進行していくことの多いがんです。そのため、肺がんで亡くなる方は年間約7万人と多く、がんによる死因で男性第1位、女性第2位となっています(2016年人口動態統計 厚生労働省)。それでは、肺がんを早期に発見して治療につなげるためには、どのようにしたらよいのでしょう。また、肺がんにはどのような症状が現れるのでしょうか。獨協医科大学病院呼吸器外科の診療部長である千田雅之先生にお話を伺います。
早期の肺がんでは、症状が現れることはほとんどありません。そのため、症状から早期発見することが難しい病気といえます。そして、後述する症状が出る頃には、肺がんが進行している場合が多いです。このような早期の肺がんをいち早く発見するためには、定期的な健康診断や人間ドックが有効です。また、ほかの病気の経過観察中にみつかることも多くあります。
ただし、肺の中心部あたり(肺門部)にがんが発生した場合には、早期に症状がみられることもあります。
肺がんの症状には、肺がんそのものによるもの、肺の外へがんが広がることによるもの、遠隔転移によるものなどがあります。それでは、具体的にどのような症状が現れるのか、詳しく解説していきます。
がんが肺のなかにあることにより生じる症状には、以下が挙げられます。
など
がん細胞が胸膜(肺の表面を覆っている膜)に広がっていくと、胸のなかに水がたまった状態である癌性胸膜炎(がん細胞が胸膜内に広がることで生じる炎症)を発症したりすることがあります。すると、胸の痛みや重苦しさなどの症状が現れる場合があります。
肺がんが他臓器へ転移している場合、転移した部位で症状が現れます。たとえば、背中の骨に転移していれば背中の痛みが生じますし、脳に転移していれば頭痛や吐き気などの症状が現れることがあります。
また、肺がんが転移しやすい臓器としては、脳や骨、肝臓、副腎が挙げられます。
肺がんは進行していても無症状で経過することもあります。先に転移がんがみつかって、調べたら原発巣(最初にがんが発生した病巣)は肺がんだったというケースも少なくありません。
肺には痛みを感じる神経がないため、がんが肺にとどまっている限り、痛みが生じることはないといえます。
ただし、肺を覆っている胸膜には痛みを感じる神経が分布しているため、がんが肺の外へ浸潤(広がっていくこと)していくと、胸に痛みが生じることがあります。
(※肺がんによる痛みについては、記事2『肺がんで生じる痛みとは? 痛みをコントロールしてストレスを取り除くことが大切』で詳しく解説しています。)
冒頭でもお話しをしましたが、肺がんは症状から早期発見されることはほとんどありません。ですから、肺がんが早期発見されるのは、定期的に健康診断や人間ドックを受けている方、また他の病気を持っていて定期的にレントゲン検査やCT検査(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)などを受ける機会のある方がほとんどです。
そのため、気になる症状はまったくない場合でも、40歳以上であれば1年に1回を目安に定期検診を受けていただきたいと思います。
獨協医科大学 呼吸器外科学 教授
「肺がん」を登録すると、新着の情報をお知らせします
本ページにおける情報は、医師本人の申告に基づいて掲載しております。内容については弊社においても可能な限り配慮しておりますが、最新の情報については公開情報等をご確認いただき、またご自身でお問い合わせいただきますようお願いします。
なお、弊社はいかなる場合にも、掲載された情報の誤り、不正確等にもとづく損害に対して責任を負わないものとします。
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。