せんえんせいいしきしょうがい

遷延性意識障害

最終更新日:
2019年03月08日
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2019/03/08
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概要

遷延性(せんえんせい)意識障害とは、いわゆる植物状態とも呼ばれる状態を指します。遷延性意識障害では、3か月以上に渡って自分で移動することができず、食事や排泄、発語などに関しても問題がもたらされています。

遷延性意識障害は、脳出血脳梗塞外傷などをきっかけとして引き起こされる可能性があります。脳への深刻なダメージが生じることで遷延性意識障害の状態になり、生活面におけるさまざまな場面で介護が必要となります。

原因

遷延性(せんえんせい)意識障害とは、脳への非常に重いダメージが原因で発症します。遷延性意識障害を引き起しうる状態としては、脳出血脳梗塞くも膜下出血といった脳血管障害を例に挙げることができます。これらの病気は、高血圧糖尿病喫煙、肥満や脂質代謝異常、先天的な形態異常(脳動脈瘤や脳血管奇形など)などと関連して引き起こされる可能性があります。

また、遷延性意識障害はスポーツや交通事故、転倒などによる頭部外傷をきっかけとして生じることもあります。頭を強く打つことで脳出血や脳挫傷、硬膜下血腫などが引き起こされ、遷延性意識障害を生じうる脳へのダメージがもたらされることもあります。

そのほかにも、分娩時における赤ちゃんの脳へのダメージ、餅を喉に詰まらせて窒息するなどにより、脳への酸素供給が低下して、遷延性意識障害に至ることもあります。さらに、脳腫瘍や感染症なども遷延性意識障害を引き起こすリスクを伴います。

症状

遷延性(せんえんせい)意識障害は、いわゆる植物状態と呼ばれることもある状態であり、生活面のあらゆる場面において介助が必要とされます。遷延性意識障害では、自分自身の力で動くことができません。寝たきりの状態であるため、褥瘡(じょくそう)をきたすことや、関節が固く動かしにくくなりやすいです。また、遷延性意識障害では、食事を自力でとることができません。そのほか、排便や排尿なども自分で処理することができず、便失禁や尿失禁といった状態に陥ります。

また、受け答えをすることは難しく、意思疎通(いしそつう)が可能な発語も困難です。目を開けて、ものを追うこともありますが、認識することはできません。このような状態が、遷延性意識障害では3か月以上の長期間に渡ってみられます。

さらに、遷延性意識障害では、誤嚥(ごえん)によって肺炎をきたすこともあります。誤嚥による肺炎では、発熱や咳、(たん)の増加、呼吸回数の増加などの症状が出現します。また、遷延性意識障害の状態では、尿路感染症を起こすことも少なくありません。

検査・診断

遷延性(せんえんせい)意識障害の状態を確認するためには、症状の項目で記載したような病状を確認します。また、遷延性意識障害では、脳波を用いて脳の活動を確認することもあります。原因疾患を同定することを目的として、頭部CTや頭部MRIといった画像検査が行われることもあります。こうした画像検査は、特に急性期においてとても重要な意味合いを持ちます。検査を通して治療介入の可能性を判断することで、その後に生じうる遷延性意識障害のリスクを軽減させるための治療が検討されます。

治療

遷延性(せんえんせい)意識障害を発症した際には、日常生活のさまざまな場面において介護が必要とされます。すなわち、排泄物の処理や定期的な体位変換、関節が固くなりにくいように適宜な運動、清拭、入浴、痰の処理などが必要とされます。移動に際しても自力で行うことはできないため、介助が必要です。また、食事についても口からの摂取は困難となり、胃瘻(いろう)による栄養投与が行われることもあります。

このような状況が長期間に渡って必要とされるため、患者さんのご家族のみでは対応することは困難なことがあります。そのため、公的サポート(デイケアやショートステイ、訪問介護など)を取り入れて対応することもあります。

また、遷延性意識障害では肺炎尿路感染症などを発症することもあります。これらに対応するために、抗生物質や点滴などの治療が行われることもあります。そのほか、機能回復を少しでも促進させるために声かけやスキンシップ、音楽などがすすめられることもあります。

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