DOCTOR’S
STORIES
新宿三丁目にお勤めの方の健康に寄り添う天野方一先生のストーリー
新宿三丁目から徒歩数分の地に「イーヘルスクリニック」を2022年に開業した天野方一先生。同院は内科、腎臓内科、アレルギー科、泌尿器科、糖尿病内科など、働き盛りの人が日々悩んでいる疾患を中心に予防や病気の早期、重症化予防に重点を置いた診療を行っており、オンライン診療でも非常に多くの患者さんを集めています。
同院の開設に至った思いや信念を天野先生に伺いました。
家族に医師がおり患者さんから感謝されているのを見ていた影響で、幼少期から医師になりたいと思っていました。当時通っていた玉川学園の中等部・高等部がとても恵まれた教育環境だったこともあり、ポジティブに勉強に向き合い、医学部受験に臨むことができました。
レジデント時代に、定期的な健康診断を受けていない患者が多く、病気が進行してからはじめて慢性腎臓病(CKD)と診断されるケースに何度も遭遇しました。今でも原動力となっている経験を一つ紹介します。40代女性が呼吸困難を主訴に救急搬送され、私が担当医となりました。一時は生命の危機に瀕しながらも幸いにも一命は取り留めました。呼吸困難の原因は、長年健康診断を受診しない間に進行していた重篤な腎不全でした。腎機能の回復は困難であり生涯にわたって透析治療が必要性だと説明した時の、2人のお子さんが泣いている姿は、今も忘れることができません。
日本では、成人の8人に1人がCKDにかかっており、糖尿病や高血圧症などに次ぐ国民病として注目されています。腎臓の機能が低下すると治療が難しく、さらにCKDは心臓病や脳梗塞、認知症など他の疾患のリスクを高めます。健康を維持し、より良い生活を送るために、腎臓は極めて重要な臓器と考え、腎臓内科を専門とすることを選びました。
これまで多くの先輩医師に指導を受けましたが、特に足利赤十字病院で勤務していた時に、平野景太腎臓内科部長(現在は東京慈恵会医科大学第三病院腎臓内科部長)から受けたご指導には深く感謝しています。平野先生からは、腎疾患に関する考え方や診察のポイント、血液や尿検査データの解釈方法など、幅広い知識を得ました。患者の状態が急変した際や緊急時にも迅速に対応される姿勢は、今でも私の手本となっています。クリスマスイブとクリスマスに2日連続して行われた深夜の緊急透析での診察は、良い思い出として心に残っています。
また、研究方法についても指導を受け、臨床で感じた疑問には常にエビデンスを求め、自らもエビデンスを生み出す姿勢を持つようになりました。平野先生、本当にありがとうございました。
振り返ると、足利赤十字病院やその後産業医として働きながら感じた「なぜこの患者さんはCKDを悪化させてしまったのか」「もっと早く診察できなかったのか」という課題を解決したいという思いが、キャリアの転機につながったと思います。
腎臓内科の臨床現場で感じた様々な課題を解決するためには予防の視点や患者さんを集団で捉えて考える視点が必要だと思い、それには公衆衛生学を学ぶ必要があると考えました。
そこで公衆衛生学博士を取得し、産業医としても活動の幅を広げながら、2018年から1年間はハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学しました。
そこで得た自身の考えや仮説を社会実装するための手段を検討した際に、政策提言と実行、もしくは実臨床の場で様々な挑戦をしていくかの二つに絞ることができました。最終的には産業医として活動する中で社会の現状を知った経験も後押しし、まずは私の考える医療を形にすることがより重要と考え、当院の開業に至っています。
慈恵医大の医局での同級生である、山川貴史先生です。臨床も研究も、同期の中で誰よりもバリバリとこなし、皆を引っ張っていってくれる存在でした。
山川先生が川口でLSクリニックを開業したのが私の開業と同時期ということもあり、今度はクリニック経営においても良い刺激をもらっています。
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