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糖尿病性腎症のステージとは? 〜ステージごとの基準値や状態、治療法を解説〜

糖尿病性腎症のステージとは? 〜ステージごとの基準値や状態、治療法を解説〜
天野 方一 先生

イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部...

天野 方一 先生

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糖尿病性腎症とは糖尿病の合併症の1つで、高血糖状態が続いたことで腎機能が低下した状態のことです。多くは糖尿病になってからおおよそ10〜15年以上経過してから発症するといわれています。糖尿病性腎症の初期はほとんど無症状のため、早期発見のために糖尿病の方は症状の有無にかかわらず定期的な尿検査が重要となります。治療法は食事療法や運動療法を基本とし、病気の段階(ステージ)に合わせた適切な治療が検討されます。

本記事では、糖尿病性腎症のステージと治療方針を解説します。

ステージ(病期)とは、病気の進行度を表した指標のことです。糖尿病性腎症のステージは、尿検査で分かる“尿タンパク(アルブミン)”と、血液検査から分かる“糸球体ろ過量(GFR:Glomerular Filtration Rate)”によって決められます。

尿タンパクとは、尿中に必要以上のタンパク質が出ていることです。腎臓には、血液をろ過するフィルターのような役割をする“糸球体”があり、体に必要なものを残して老廃物などの不要なものを排泄するはたらきをしています。

腎機能が正常な場合、タンパク質が尿に排泄されることはほぼありませんが、腎機能が低下すると尿中に漏れ出てきます。そのため、尿中に出てくるタンパク質が多いほど、腎臓に異常がある可能性が高いと判断されます。

糸球体ろ過量(GFR)とは、1分間に腎臓でろ過される血液量のことをいいます。

本来、GFRを正確に調べるには24時間の畜尿や採血が必要ですが、負担が大きいため、通常は1回の採血で分かるクレアチニン(筋肉内で作られる老廃物)値から性別や年齢などを用いて算出した“推算糸球体ろ過量(eGFR)”で評価することが一般的です。この数値が低いほど、腎臓に異常があると考えられます。

糖尿病性腎症は、それぞれの病期によって治療方法が異なります。

ステージ1の基準値

  • 尿タンパク(g/gCr):正常(30未満)
  • eGFR(ml/分/1.73㎡):30以上

ステージ1の状態

自覚症状はほとんどなし。

ステージ1の治療法

食事療法を基本とした、血糖をコントロールする治療が検討される。

ステージ2の基準値

  • 尿タンパク(g/gCr):微量アルブミン尿(30~299)
  • eGFR(ml/分/1.73㎡):30以上

ステージ2の状態

自覚症状はほとんどなく、ごく微量のタンパク質(微量アルブミン)が漏れ出てくる。適切な治療によってタンパク質が漏れ出ない状態に戻すことができると考えられている。

ステージ2の治療法

食事療法を基本とした、血糖をコントロールする治療や血圧をコントロールする治療などが検討される。

ステージ3の基準値

  • 尿タンパク(g/gCr):顕性アルブミン尿(300以上)
  • eGFR(ml/分/1.73㎡):30以上

ステージ3の状態

むくみや息切れ、胸苦しさ、食欲不振、満腹感などの自覚症状が出てくる。第3期以降では、進行を遅らせることはできてもよい状態に戻すことはできないといわれている。

ステージ3の治療法

食事療法や運動療法を基本とした、血糖や血圧をコントロールする治療などが検討される。

ステージ4の基準値

  • 尿タンパク(g/gCr):問わない
  • eGFR(ml/分/1.73㎡):30未満

ステージ4の状態

顔色が悪い、嘔気あるいは嘔吐、筋肉の強直、つりやすい、筋肉や骨の痛み、手のしびれや痛み、腹痛と発熱などの自覚症状が出ることがある。

ステージ4の治療法

血圧コントロール、低タンパク食、透析療法導入などが検討される。

ステージ5の基準値

透析療法中

ステージ5の状態

ステージ5でもステージ4と同様の自覚症状が出ることがある。

ステージ5の治療法

透析療法や腎移植などが検討される。

症状を悪化させないためには、早期に治療を開始することが大切です。治療の基本は、食事療法や血糖値を下げる経口血糖降下剤やインスリン(血糖値を一定に保つホルモン)などを正しく使用して血糖コントロールをすることです。糖尿病性腎症は、早期であれば厳密な血糖コントロールによって進行を遅らすことができるといわれています。

治療方針は患者のステージや状態によって異なるので、医師と相談しながら決めていくことが大切です。不明点があれば、かかりつけ医に相談しましょう。

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