院長インタビュー

地域に寄り添うかかりつけ医療を提供する富山市立富山まちなか病院

地域に寄り添うかかりつけ医療を提供する富山市立富山まちなか病院
樋上 義伸 先生

樋上 義伸 先生

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この記事の最終更新は2019年10月29日です。

富山市立富山まちなか病院は、患者さんがより安心して治療が受けられる環境を提供するべく、地域の医療機関と連携を取り合いながら、市民のかかりつけ病院として活躍しています。

同院の診療体制の特徴や、患者サービス、地域貢献内容について、院長の樋上義伸先生にお話を伺いました。

富山市立富山まちなか病院 外観
富山市立富山まちなか病院 外観

当院は、多くの市民に親しまれてきた旧逓信病院の病院施設が、日本郵政から富山市へと譲渡されたことに伴って、その外来・健診機能を引き継ぎ、地域に寄り添う「かかりつけ医療」を提供する病院として、2019年4月に開院しました。現在は、人間ドックやそのほか検診、市内で不足していると指摘されている回復期の入院医療などの役割を担いながら、在宅・施設への復帰を支援する「地域包括型の医療連携の核」となる病院を目指して積極的に事業に取り組んでいます。高齢化の進んだ富山市中心市街地区に位置する公的病院であり、公共交通機関で通える範囲内にあるため、車の運転が難しいご高齢の方でも通いやすい環境にあります。

糖尿病高血圧症などの生活習慣病、消化器疾患、不整脈に起因する循環器疾患など、多岐にわたる内科系疾患の治療を行っています。特に消化器・循環器分野では、外来における各種検査にも対応し、早期発見・治療にも尽力しています。

また、当科では、一般内科、消化器内科、循環器内科をそれぞれ専門とする、日本内科学会認定の総合内科専門医、日本消化器病学会認定の消化器病専門医、日本循環器学会認定の循環器専門医などの認定専門医が在籍し、患者さんのご要望に配慮した治療方法をご提案しています(2019年9月時点)。

当院の外科は、胃、大腸、肛門などの病気を中心に、消化器全体、甲状腺・乳腺疾患の診察から治療までを行っています。地域の急性期医療を担う富山市民病院と連携を取り合いながら、患者さんのニーズに応じた医療の提供を目指しています。

2019年9月現在、日本消化器外科学会認定消化器外科専門医、日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医、日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医、日本乳癌学会認定乳腺認定医などの専門医資格を有する医師が在籍しています。

旧逓信病院の機能と医師をそのまま引き継ぎ、一般的ながん検診、胃・大腸・肺などの住民健診、子宮頸がん検診、子宮体がんの婦人科がん検診などに対応しています。そのほか、健康診断や一般検診、人間ドックなどのコースのご案内も可能です。

富山市が目指す地域連携医療の形
富山市が目指す地域連携医療の形

高齢化社会の到来により、入院患者さんの高齢化が進んでいます。ご高齢の患者さんは回復力の低下や併存症・合併症が多いことなどを理由に、1つの病院で急性期〜回復期〜社会復帰までの医療を、短期間で効率的に完了することが困難なケースがあります。そのため、従来の「医療機関完結型医療」から、退院後の患者さんの生活を地域全体でケアしていく「地域完結型医療」への転換を図るべく、病院の機能分化推進の必要性が強く叫ばれています。

拠点集中型の街作り計画である「コンパクトシティ戦略」を推し進め、医療面では急性期・高度急性期医療を受け持つ「富山市民病院」と在宅医療を受け持つ「まちなか診療所」を運営している富山市が、中心市街地区にある当院を取得したのは、市内で不足している回復期医療の機能を担い、在宅・施設への復帰を支援する機能を持つ病院を市が運営することが、高齢となっても安心して暮らせる街作りに大きく貢献すると考えたからです。

この目的を果たすために、2018年まで急性期医療を担ってきた旧逓信病院の病床を、2020年度には地域包括ケア病床へと転換することができるように、2019年現在は、病室・廊下の改修、リハビリ用施設面積の拡張工事を急ピッチで進めています。

当院と同じ富山市中心市街地区にある、子育て支援や在宅介護を支援する「富山市まちなか総合ケアセンター」で、定期的に公開講座を実施しています。

公開講座では、医療に関するさまざまなテーマを取り上げ、日々変わりゆく医療情報を市民の皆さまと共有することを目的としています。また、医療現場以外でも医師や看護師、薬剤師などの医療従事者の顔が見える場を設けることで、市民の皆さまがより安心して病院を利用することができる取り組みづくりに努めています。

常勤医師の皆さん
常勤医師の皆さん

当院では、特定の臓器のみに着目せず、幅広い健康問題について取り組む総合診療を実施しています。そのため、患者さんの健康問題に多角的に向き合う経験を積むことができる環境です。診療を専門とする、日本内科学会認定の総合内科専門医が4名在籍(2019年9月時点)していますので、総合診療について学びたい方や、総合診療に興味のある方の指導に向いていると自負しています。

富山市は以前より急性期・高度急性期医療を担う「富山市民病院」、および在宅・訪問診療を担う「富山市まちなか診療所」を運営していますが、2020年度に当院が回復期医療を担う地域包括病床を持ちますと、これら機能分化の進んだ医療機関等との連携により、急性期から回復期、訪問診療までの一貫した医療を学ぶことが可能となります。

樋上義伸先生

医療や福祉に求められるニーズは、社会的な影響を大きく受けながら日々変化し続けています。富山市が母体となって進める地域包括型医療の体制を構築するべく、当院に与えられた、回復期病床・リハビリテーションの提供や在宅医療の支援などの役割を担う必要があります。さまざまな変化も柔軟に受け止め、これからも患者さんのためによりよい医療の提供を目指して従事してください。

当院では、旧逓信病院時代の「地域の皆さんのかかりつけ医として、お気軽に利用することのできる病院機能」をこれからも維持・継続していきます。それに加えて、新たに回復期病床も有するようになることで、「急性期病院に入院したが、退院・社会復帰に時間がかかっている方の入院機能」も受け持つことになります。地域医療機関と連携し、このような患者さんへの回復期医療とリハビリテーションの提供および、在宅・施設への復帰を支援することにより、高齢となっても安心して暮らせる豊かな街作りに貢献していきたいと考えています。

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