院長インタビュー

“地域社会に密着した医療貢献”を目指し人々のニーズに応え続けるJR仙台病院

“地域社会に密着した医療貢献”を目指し人々のニーズに応え続けるJR仙台病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]院長インタビュー

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JR仙台病院は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の企業立病院です。JR仙台駅から徒歩約7分というアクセスのよい場所にあり、JR東日本および関連会社の社員と家族を中心に、広く地域の方々の健康を支えています。同院が担う役割や今後の展望について、院長の石岡 千加史(いしおか ちかし)先生にお話を伺いました。

*病床数や診療科、医師、提供する医療の内容に関する情報は、2024年8月時点のものです。

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JR仙台病院ご提供

当院のルーツは、1919年に仙台駅構内に開設された仙台鉄道診療所にあります。その後1921年に仙台鉄道病院として開設され、国鉄が分割民営化されたことに伴い1988年に改称し、現在のJR仙台病院になりました。大正から昭和、平成、令和と、100年以上の歴史を持つ病院です。

当院は病院名のとおりJR東日本の企業立病院ではありますが、1982年に保険医療機関の指定を受けて以降、広く地域の方々を診療しております。仙台医療圏における急性期、回復期、慢性期の医療を担い、地域の医療ニーズに合わせて救急患者さんを積極的に受け入れるほか、各種検診による病気の早期発見と早期治療にも力を注いできました。

現在は15の診療科を備え、常勤医師約30名、病床数164床を有する病院となっています。特に強い診療科を挙げるならば、整形外科、消化器内科、小児科でしょう。

整形外科は特にスポーツ障害を得意とし、当院所属の医師がJリーグ・ベガルタ仙台のチームドクターを務めている関係もあり、現役アスリートなども通院する診療科です。消化器内科では、低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)な内視鏡手術治療を行うほか、消化器内視鏡センターにて病気の早期発見にも力を注いでいます。

2名の女性医師が在籍する小児科は内分泌疾患に強みがあり、1型糖尿病先天性甲状腺機能低下症、先天性甲状腺機能亢進症に対する専門的な診療を行っています。

当院は病床数で見ると中規模の病院ですが、医療機器に関してはその時々で新しいものを積極的に取り入れており、現在、PET検査以外のほぼ全ての画像診断検査(CT、MRI、核医学検査)に対応可能です。2018年には高分解能・高速感度の画像を得られるDual Energy CTを導入し、2024年にはAI機能を搭載した1.5テスラのMRIを導入しました。

こうした医療資源を診療に存分に活用すると同時に、立地の良さを生かし、現在進行形で東北大学病院との医療連携の強化を進めています。一般的に、大学病院の受診を希望する患者さんのニーズは高く、CT検査をする必要があるのになかなか予約が取れないなど、供給体制に課題があります。そのようななかで、当院が幅広く検査に対応することで、よりスピーディな診断とその後の治療が実現すると期待しています。

当院の運営母体であるJR東日本は2024年7月、JR仙台駅の在来線改札内2階に診療所と調剤薬局をオープンしました。JR東日本はかねてより“スマート健康ステーション”を展開しており、仙台駅に開設された“仙台駅スマートクリニック”は東北地方で初の取り組みとなる施設です。

仙台駅スマートクリニックは、対面とオンラインを組み合わせることで、休日診療や早朝・夜間の診療にも対応しています。一方、クリニックではX線やCT検査などを実施できないため、医師が必要と判断した場合は当院にて検査を実施します。幸い当院は仙台駅から徒歩7分の場所にありますので、患者さんにも負担が少ない病診連携となるでしょう。

当院は、病気の早期発見にも注力しています。企業立病院ということもあり、これまで人間ドック*を受診されるのはJR東日本の社員やその家族が中心でした。しかし人生100年時代といわれるこれからは、近隣にお住まいの方はもちろん、沿線にお住まいの方々にも当院でぜひ人間ドックを受けていただきたいと思っています。当院は現在、完全予約制で日帰り人間ドックを実施していますが、これにJRの乗車券や宿泊施設の利用をセットにすれば、より多くの方にご活用いただけるのではないかと構想中です。近隣にはJRグループのホテルが複数ありますので、受診前後の時間も快適にお過ごしいただけるかと思います。

*JR仙台病院で受けられる日帰り人間ドック(予約制)の詳細
内容(標準検査):身長、体重、視力、聴力、血圧、心電図検査、腹部超音波検査胸部X線検査、食道、胃、十二指腸X線検査、眼底検査、血液検査、尿検査、便潜血検査、問診・診察
費用:39,600円(税込)

私は東北大学医学部を卒業後、腫瘍内科学(しゅようないかがく)を専門に研鑽を積み、医師人生のほぼ全ての時間を東北大学で過ごしてきました。東北大学病院の副院長を9年にわたり務めた後、2024年4月1日付でJR仙台病院の19代目院長に就任いたしました。歴史ある病院の舵取り役を担うことは身が引き締まる思いですが、“向上”(医療の質の向上、患者満足度の向上、持続可能な経営の向上)をスローガンに掲げて、医療の質とサービスの向上を実現してまいります。

当院は企業立病院という側面はあるものの、地域にお住まいのどなたでもご利用いただける医療機関です。当院に入院中の患者さん、通院している患者さん、そのご家族などに当院のことをより身近に感じていただきたいとの思いから、グランドピアノを常設した1階エントランスホールでは“マンスリーコンサート”を開催しています。演奏家の方々からも“ホールの音響効果が素晴らしい”とのお褒めの言葉をいただいておりますので、こちらにもぜひ足を運んでいただければと思います。

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