院長インタビュー

春日居サイバーナイフ・リハビリ病院が提供するリハビリと放射線治療

春日居サイバーナイフ・リハビリ病院が提供するリハビリと放射線治療
髙橋 弘 先生

春日居サイバーナイフ・リハビリ病院 脳神経外科 総院長

髙橋 弘 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年11月19日です。

山梨県笛吹市春日居に位置する春日居サイバーナイフ・リハビリ病院では回復期リハビリテーションとがんの放射線治療を提供しています。サイバーナイフは腫瘍に対してピンポイントに照射ができるため患者さんの体にも負担の少ない放射線治療です。同院ではリハビリテーション病院であるノウハウを生かしてがんリハビリテーションや緩和ケアも提供しています。同院について総院長である髙橋弘先生にお話を伺いました。

病院外観 航空写真(春日居サイバーナイフリハビリ病院よりご提供)

春日居サイバーナイフ・リハビリ病院はサイバーナイフでのがん治療やリハビリテーションの提供をしています。当院の患者さんの多くは脳卒中などで救急搬送され、急性期治療が終了した患者さんであり、在宅や社会復帰に向けたリハビリテーションを行っています。脳卒中の患者さんの中には、手足のしびれやまひ、喋りにくくなるといった後遺症を持つ方もいます。そういった患者さんへリハビリテーションを実施することで、退院までのサポートをします。

さらに当院では、がん患者さんへサイバーナイフを用いた治療を提供しながら、がんリハビリテーションも実施しています。がんの治療は手術、抗がん剤治療(化学療法)、放射線治療に大別されます。たとえば、急性期医療を提供している病院でがんの手術を受けた患者さんは、抗がん剤を飲みながらリハビリテーションを実施することができます。

サイバーナイフ(春日居サイバーナイフ・リハビリ病院よりご提供)

 

当院は2012年4月にサイバーナイフを導入し、サイバーナイフセンターを設置しました。サイバーナイフは定位放射線治療を行う装置のひとつで、腫瘍に対してピンポイントに放射線を照射することができます。サイバーナイフを導入した背景には、山梨県内の放射線治療を充実させる狙いがありました。当院でサイバーナイフを導入する以前は県内では定位放射線治療に対応できないこともあり、近県で治療を実施している病院に患者さんをご紹介することもありました。

サイバーナイフを導入したことにより、放射線治療の幅が広がり、地域や県内での放射線治療をより充実させて実施することができるようになりました。また、現在は山梨大学医学部の付属病院にも別の定位放射線治療を行える装置が導入され、より県内での放射線治療が充実してきたと感じています。

サイバーナイフセンター外観(春日居サイバーナイフ・リハビリ病院よりご提供)

ここでは当院の診療部門についてご紹介します。先ほどもお話ししたように、脳卒中などの脳血管障害の治療が終わった患者さんのリハビリテーションをはじめ、がん患者さんの放射線治療、がんリハビリテーションを提供しています。中でもがんリハビリテーションは、抗がん剤治療や放射線治療を行っている方々にも提供しており、治療からリハビリテーションまでスムーズに進めることができます。

サイバーナイフを用いた放射線治療では、主に脳腫瘍に対する治療を行っています。脳腫瘍は腫瘍が頭蓋骨(ずがいこつ)の中にある場合を指します。腫瘍が発生した場所によって悪性の神経膠腫(しんけいこうしゅ)、良性の髄膜腫(ずいまくしゅ)神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)などがあり、どれも脳腫瘍の一種になります。このように、脳腫瘍には悪性だけでなく良性のものもあり、いずれもサイバーナイフ治療の対象となります。また頭頚部がんをはじめ、近年では肺がんや肝臓がん、さらには前立腺がんや腎がんのサイバーナイフ治療が保険適用となり、診療の幅も広がっています。

がん治療というと外科手術をしなくてはならないと思う患者さんもいるかもしれません。もちろん、腫瘍の大きさによっては外科手術での治療が適していることもあります。しかし患者さんの中には外科手術に抵抗のある方や、就労しているため長期の療養に不安を覚える方もいらっしゃいます。また、がんは再発する可能性もあり、抗がん剤での治療を続けながら腫瘍を小さくする放射線治療も同時に受ける場合もあります。

当院では、抗がん剤治療を受けている患者さんのサイバーナイフでの放射線治療や、放射線治療後の抗がん剤の処方も行っています。

病院内観 病棟(春日居サイバーナイフ・リハビリ病院よりご提供)

当院ではサイバーナイフというひとつの治療方法を地域の皆さまに知っていただき、がん治療の幅を広げてほしいと思い市民公開講座を開催しています。また、地域のみならず医師への啓発活動も勢力的に行っています。地域の皆さまへの啓発も大事ですが、医師へサイバーナイフの有用性を広めることで、サイバーナイフの導入や患者さんによりよい医療を提供することの助けになるのではないでしょうか。

実際に、サイバーナイフ治療の講演会や各学会でのランチョンセミナーなどを多く開催し、医師へのサイバーナイフ治療の啓発活動も行っています。もちろんサイバーナイフ以外の定位放射線治療装置にもさまざまなメリットが多くあります。その中でサイバーナイフが有効な場面にはサイバーナイフをひとつの治療方法として選択できる知識を共有していきたいと思います。過去には大学病院がサイバーナイフを導入する際の、アドバイザーとして尽力したこともあります。

がんの治療方法は研究が進み、外科的な手術だけでなく抗がん剤や放射線治療も効果が期待できるものが増えてきています。治療方法のひとつとしてサイバーナイフによる放射線治療の有用性を伝えていきたいと思います。

カンファレンスの様子(春日居サイバーナイフ・リハビリ病院よりご提供)
春日居サイバーナイフ・リハビリ病院よりご提供

回復期リハビリテーションにくわえ、今後はがんリハビリテーションや緩和ケアが重要になってくると思います。がんリハビリテーションは、がんの治療に伴って後遺症や副作用が現れる患者さんに対して、能力を維持、向上させていきます。そして緩和ケアでは体の痛みや心のケアをしていきます。今後は緩和ケアを行うときに「患者さんの心のケア」が重要になってくると思います。突然がんと宣告されることや将来への不安、ご家族の心配などを緩和し、ケアしていくことで患者さんもご家族も安心して治療に臨めるのではないでしょうか。

当院では脳腫瘍肺がん、肝臓がんなどの放射線治療から回復期リハビリテーション、がん緩和ケアなどさまざまな治療を提供しています。地域だけでなく近県の患者さんも受け入れていますのでお気軽にお問合せください。

今後は高齢者やがん患者さんも増え、リハビリテーションの提供や体に負担の少ないがん治療の提供をすることが求められてくると思います。当院の医師に限らず、サイバーナイフやがんリハビリテーション、緩和ケアを学び、今後の医療を担う若手医師たちにも勉強をしていってほしいと思います。

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  • 春日居サイバーナイフ・リハビリ病院 脳神経外科 総院長

    髙橋 弘 先生

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