院長インタビュー

医療を通じた地域貢献を柱に、急性期から在宅までを守備する安曇野赤十字病院

医療を通じた地域貢献を柱に、急性期から在宅までを守備する安曇野赤十字病院
中野 武 先生

安曇野赤十字病院 病院長

中野 武 先生

目次
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日本赤十字社 安曇野赤十字病院(以下、安曇野赤十字病院)は、回復期リハビリテーション病棟45床と地域包括ケア病棟44床を含む一般病床316床の総合病院で、急性期の治療から在宅復帰のサポート、在宅や施設療養におけるケアを実施しています。“人道・博愛の精神のもと 医療を通じて地域に貢献します”という同院の基本理念に基づき、地域の方々に寄り添う医療を提供する一方、安曇野という地域性を生かした山岳医療の研究活動などを積極的に行っていることが特徴です。

地域のニーズを捉えながら、同院の内外で幅広く展開する医療の特色について、院長の中野 武(なかの たけし)先生にお話を伺いました。

安曇野赤十字病院外観
安曇野赤十字病院 外観

当院は元々南安曇郡(当時)の組合立病院でしたが、1951年に日本赤十字社の一病院となり、以来70年近く地域の人々に寄り添う病院として歩んでまいりました。

10万人近い人口を抱える安曇野市の赤十字病院として重要であると考える機能のひとつが救急です(2020年2月時点)。地域の皆さんにとって緊急時に頼れる病院であるために、24時間365日救急患者さんの診療を行っています。軽度のものから重度のものまで外傷や病気などに対応し、安曇野市を支える病院のひとつとして今後も救急医療の務めを果たしてまいります。

当院にはHCU(High Care Unit:高度治療室)が6床あり、積極的に救急患者さんを受け入れて急性期医療を提供しています。HCUは一般病棟とICU(Intensive Care Unit:集中治療室)の中間くらいの機能を持ち、一般病棟では対応が難しい患者さんや、手術治療を終え引き続ききめ細やかな対応が必要な患者さんへの治療が行われます。

救急科、循環器内科、脳神経外科などの医師をはじめとするスタッフが診療科を限定せず、カンファレンスを行ってから幅広い症状の患者さんの治療に当たります。患者さんやそのご家族の方と密なコミュニケーションを取り、地域の人々に信頼される急性期医療が提供できるように日々邁進しております。

当院で内視鏡による施術が可能であることを明示し、内視鏡検査や治療を必要としている患者さんが利用しやすくなればとの考えから、2018年に消化器内視鏡センターを設立しました。日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医5名を中心に、消化管全般の病態診断と治療を行っています(2020年2月時点)。

内視鏡による治療や診断は低侵襲で、患者さんへの負担を抑えられると考えられています。緊急時の内視鏡診療体制や、胃腸疾患についての相談窓口を整備することにより、多くの患者さんに低侵襲な内視鏡での医療を提供してまいります。

当院の整形外科では、脊椎専門外来を週2日実施しています。背骨の通っている首から腰までの病気を対象とし、保存的療法を優先しながら必要に応じてなるべく低侵襲な手術を実施することが基本方針です。

2018年から泉水 邦洋(せんすい くにひろ)医師による椎間板ヘルニアに対する治療薬の投与を開始しました。投与することで椎間板内圧が低下し、ヘルニアによる神経根圧迫の軽減や、下肢痛や腰痛の改善が期待されています。今後とも患者さんの早期回復に努めるとともに、治療技術をほかの医療機関と積極的に共有していきたいと考えております。

高齢化が進む日本において、高齢患者さんの認知症治療とサポートは医療現場における課題のひとつです。内閣府は、2025年には65歳以上の認知症患者数が約700万人に増加するとの見解を示しています(2016年時点)。当院には日本神経学会が認定する神経内科専門医や、日本認知症学会認定の認知症専門医などが在籍し、地域の病院や診療所、訪問看護ステーションと連携して医療を提供しています(2020年2月時点)。

ほかにも脳梗塞後遺症の麻痺に対するリハビリテーションや生活指導の実施など、患者さんの症状に応じた医療をほかの科と連携しながら提供します。地域のニーズに応じながら、患者さんがスムーズに社会復帰できるように尽力いたします。

当院は、2017年に長野県の地域医療支援病院に承認されました。地域の病院や診療所、大学病院などと連携を図り、当院の使命である“医療を通じた地域貢献”を推進しています。当院は地域包括ケア病棟を有し、患者さんが急性期医療を終えた後、在宅や施設での療養に移ってからの体調不良などにも対応しています。地域における介護や福祉との連携は必要不可欠であり、今後も連携先の各医療機関に働きかけながら積極的に活動を続けます。さらには行政との連携や協力関係も強化し、治療後の患者さんが健康を維持して生活していくことのできる地域包括ケアの在り方を追求してまいります。

当院は、地域の皆さんに向けた医療の啓発活動を積極的に展開しています。当院で行う市民公開講座のほか、当院スタッフを派遣する出前講座もご要望に応じて開催します。講座内容は糖尿病がんといった具体的な病気に関する話から、病院へのかかり方や医療費に関する話、栄養指導など豊富に取り扱っています。お気軽にご参加ください。

当院は基幹型臨床研修病院に指定されており、研修医の受け入れを行っています。

さらに日本消化器病学会認定施設、日本循環器学会認定専門医研修施設や日本神経学会認定教育施設など、さまざまな分野における研修、教育施設に認定されています。大学や院内における複数の診療科と共同研究を進めており、研究をサポートする体制をこれからも整備していく予定です。

看護部では赤十字幹部看護師研修、国際救援・開発協力要員英語研修などを実施し、新人育成やキャリア形成支援を行います。

中野 武先生

美しい山並み、水と緑に囲まれた安曇野という地で、救急医療に重点を置きながらも地域性が反映された医療を学ぶことができます。山岳診療所など、安曇野らしい研究活動を行っていることも当院の特色です。地域から求められる医療を提供する医師となり、自身の能力を発揮していってほしいと思います。

高齢化が急速に進んでいる我が国ですが、この安曇野においても同様です。病気になってからかかる病院ではなく、皆さんの健康や幸せに日々関わっていくことが当院の役割だと考えています。病気にならないようにするお手伝いを継続し、地域医療に貢献する使命を果たします。地域から信頼される病院を目指し皆さんに寄り添ってまいりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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