院長インタビュー

救急医療や災害医療の拠点として地域医療を支える福岡東医療センター

救急医療や災害医療の拠点として地域医療を支える福岡東医療センター
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]院長インタビュー

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福岡県古賀市にある独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター(以下、福岡東医療センター)は、前身となる結核専門の医療機関からスタートし、時代の変化に合わせて、急性期病院へと発展してきました。

現在はがん診療や呼吸器、循環器、脳神経、消化器など幅広い病気に対応し、救急医療や災害医療の拠点として地域医療を支え、新型コロナウイルスなどの感染症患者も積極的に受け入れています。

そんな同院の特長について、院長の中根 博(なかね ひろし)先生にお話を伺いました。

先方提供
福岡東医療センターご提供

当院の前身となる国立療養所福岡東病院は、国立福岡療養所など3つの結核療養所の統合により1962年に開設されました。開設当初は結核を専門とする医療機関でしたが、2004年の独立行政法人化をきっかけに慢性期医療から急性期医療へ治療内容をシフトしました。

当院の機能は年々拡充しており、2003年は地域がん診療連携拠点病院、2007年は地域医療支援病院と災害拠点病院、さらに2014年には救命救急センターと第1種・第2種感染症指定医療機関に指定されています。

病院の規模は、38床の結核病床を含む計549床で、急性期医療を中心に救急医療、災害医療、感染症患者の受け入れなど多方面から地域の医療を支えています(2023年時点)。

当院の立地は、世界有数の漁場として知られる玄海灘に面し、病院の屋上からは緑あふれる松林と壮大な海を見渡せます。風光明媚な土地柄なので、入院生活も穏やかにお過ごし頂けます。

当院は結核療養所をルーツに持つことから、結核を担当する呼吸器内科の診療体制は歴史的に充実していることが強みです。当院のある古賀市を含めた周辺の医療圏の中でも多くの呼吸器疾患に対応していると自負しております。

同科は、地域がん診療連携拠点病院として肺がんなどの腫瘍性疾患に取り組むとともに、さまざまな呼吸器疾患の診療を急性期から慢性期移行までワンストップで対応しています。

結核の患者さんの中には、結核菌が脊椎へ感染する“脊椎カリエス”という合併症を起こす方もいます。当院の結核専用の病床は一般診療科と連携していますので、整形外科など関連する診療科とのチーム医療により全人的な診療に努めています。

当院は、福岡県内で唯一の第1種・第2種感染症指定医療機関として、新型コロナウイルス感染症をはじめ、エボラ出血熱中東呼吸器症候群MERS)などさまざまな感染症に対応しています。

入院設備を備えた当院の感染症センターは、最大12名の患者さんを収容することができます。同センターは、スタッフの導線と感染症患者さんの導線が完全に分離されており、感染症の拡大防止を徹底しています。

いざ感染症の集団感染が発生した際には、保健所や検疫所などの行政機関とスピーディーに連携をとる必要があります。当院では、関係機関との共同訓練を年2回のペースで行い、連絡体制や搬送経路などを常に見直しながら、来るべき非常事態に備えています。

特に、危険度が最も高い1類感染症に分類されるエボラ出血熱については、福岡県との共同訓練を定期的に行い、万全の受け入れ体制を整えています。

当院は国立病院機構系列の病院では珍しく、病棟や外来など院内のあらゆる場所でフリーWi-Fiを利用して頂くことができます。外来の待ち時間にスマートフォンで調べものをしたり、入院生活で動画視聴を楽しんだりしている姿を見て、患者さんのQOL(生活の質)向上に役立っていると実感しています。

また、電子カルテの導入、勤怠管理システムの電子化、紹介患者さんのオンライン予約システム構築など、ICT(通信技術を活用したコミュニケーション)を活用したサービスを順次取り入れ、業務の効率化を推進しています。さらに、ICTではカバーできない患者さんの生の声に関しては、病院内に投書箱を設置して回答をフィードバックすることで、サービスの改善に努めています。

当院が結核療養所から急性期の中核的な病院へと進化してきたように、さまざまな医療ニーズを見逃さず、これからも時代に合わせて成長していきたいと考えています。

当院では毎朝、病院幹部が集まって会議を開催し、病院の現状や課題について話し合っています。会議を通じて新しいアイデアや改善策が生まれますので、面と向かってコミュニケーションをとることが重要だと感じています。

私は、病院のスタッフ全員が同じ方向に向かって進めば、さらに質の高い医療を提供できると感じます。医師やスタッフの力を最大限に引き出すため、引き続きより良い職場作りを推進していかなければなりません。

設備面では、2024年度中に手術室の増室や透析室の改修がひと段落し、拡充した医療体制でさらに多くの患者さんを受け入れていけると思います。

当院は、これからも急性期医療を中心に幅広い地域医療に努め、地域の皆さんのお役に立てるよう全力で取り組んで参ります。

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