院長インタビュー

安全かつ高度な医療の提供で地域との共生を目指す藤田医科大学 ばんたね病院

安全かつ高度な医療の提供で地域との共生を目指す藤田医科大学 ばんたね病院
堀口 明彦 先生

藤田医科大学ばんたね病院 病院長

堀口 明彦 先生

目次
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愛知県名古屋市中川区にある藤田医科大学 ばんたね病院は金山エリアに位置する中核的な病院で、地域の方からは「ばんたねさん」と呼ばれて親しまれています。現在は大学病院として高度な医療を行い、地域の診療所や病院と連携を取りながら患者さんを広く受け入れています。

同院の役割や今後ついて、病院長の堀口 明彦(ほりぐち あきひこ)先生に伺いました。

病院外観
病院外観(提供:藤田医科大学 ばんたね病院)

当院は1930年に開院した坂種病院が前身です。1971年に学校法人藤田学園が大学医学部を創設することになり、その際に財団法人坂文種報徳会から敷地と建物を借り受け、“藤田学園名古屋保健衛生大学ばんたね病院”として運営されることになりました。その後、名称を何度か変更し、2018年に現在の“藤田医科大学 ばんたね病院”になりました。

当院は名古屋の都心部にありますが、高齢者の割合が比較的高い地域にも接しており、医療需要が上昇し続けるエリアになります。そのため、当院は都市型の病院でありながら、地域の診療所や病院と連携を図って急増する高齢者を受け入れる“地域密着型”の医療提供体制を構築しています。

当院の救急では、入院を必要としない軽症な救急医療から、がんをはじめとした高度な診断技能・技術を必要とする病気の患者さんまで、24時間365日受け入れられるよう態勢を整えています。ICU(集中治療室)に入室するような重症の患者さんにも対応しており、特定の臓器に限定することなく、関係する診療科を中心に管理を行っています。

また、ERシステムを改良し、救急車を2台同時に受け入れられるようにしました。その成果もあって救急車の受け入れ件数は年々増加しており、2021年度が約3,940台、2022年度が約4,450台でした。2023年度は4,600台に達する見込みです。当院には救急車での来院だけでなくウォークインの救急患者さんも多数来院されるため、スタッフが連携して救急対応を行っています。

整形外科に設置している人工関節センターでは、センター長である金治 有彦教授を中心として、ナビゲーションシステムや手術支援ロボットなどを用いた低侵襲(ていしんしゅう)な治療に取り組んでいます。

股関節疾患に対しては、“ROSA Hipシステム”という人工股関節置換手術支援ロボットを2022年に国内で初めて導入して治療を行っています。“ROSA Hipシステム”では、人工股関節を1mm単位の細かい精度で意図した箇所にはめ込むことが可能です。人工股関節置換術は難易度が高く、手術は術者の経験に依存する傾向がありますが、“ROSA Hipシステム”を導入したことにより、術者の熟練度にかかわらず良好な手術成績が期待できるようになりました。

また、消化器外科には内視鏡治療・手術センターを設置していて、がんを含めた内臓疾患などに対する体への負担が少ない内視鏡治療や手術を行っています。手術支援ロボット“ダビンチ”を使用した治療も行っており、特に肝臓・膵臓(すいぞう)・大腸・直腸のロボット支援手術件数が増加しています。また、ロボット手術のトップランナーである藤田医科大学 先端ロボット・内視鏡手術学講座の宇山 一朗教授も執刀しています。

手術の様子
手術の様子(提供:藤田医科大学ばんたね病院)

大学病院として特化した治療を行うために設置した専門領域センターがあるのも当院の強みの1つです。その中の1つとして、2017年に設置された総合アレルギーセンターがあります。当院は、2018年に愛知県アレルギー疾患医療拠点病院と愛知県アレルギー疾患医療連絡協議会事務局の指定を受け、愛知県のアレルギー診療の充実に取り組んでいます。

アレルギー症状は、皮膚や呼吸器、目、鼻など、体の複数の部位に誘発されることも少なくありません。そのため、日本アレルギー学会指導医の矢上 晶子教授が主導する総合アレルギー科を柱に、当院のアレルギーセンター各科の医師が連携して患者さんの診療にあたっています。

また、2014年に設立した脳血管ストロークセンターは、くも膜下出血を未然に防ぐ“クリッピング術(脳の血管にできた脳動脈瘤が破裂しないよう、クリップで挟んで破裂を予防する治療法)”の第一人者の1人として知られる加藤 庸子教授がセンター長を務めています。脳血管障害や脳卒中の治療においては高いレベルで包括的に、低侵襲の手術を行うことを目的に設立しました。

地域貢献のため、当院の医師やナースが講師を務める市民公開講座を、2004年から参加費無料で年に数回開催しています。『膝関節・股関節の痛みでお悩みの方へ』『心房細動と血液サラサラの薬 ~脳梗塞にならないために~』など、さまざまなテーマで開催しています。そのほか、先生方がテーマごとに健康情報を説明するケーブルテレビのミニ番組にも協力しました。

地域連携では、当院の地域医療連携センターが中心になって地域の医療機関の先生方との連携を図っています。地域でさまざまな役割・機能を持った医療機関が連携すれば、急性期から回復期、自宅に戻るまで、切れ目なく患者さんに適切な医療を提供できるようになるのではないでしょうか。

当院の『我ら、弱き人々への無限の同情心もて、片時も自己に驕ることなく医を行わん。』という理念に基づき、コロナ禍では名古屋市内で初めて新型コロナウイルス感染症の患者さんを受け入れました。

今後も、大学病院として高度な医療を積極的に提供し、地域貢献を推進していきます。そのうえで、患者さんに寄り添い、地域の急性期病院として信頼される総合病院を築いていきたいと考えています。

「ばんたねさんに行けば何とかなる」という地域の皆さんからの信頼を裏切らないよう、今後も充実した医療サービスを提供してまいります。

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