院長インタビュー

断らない医療~進化と挑戦で大きく躍進し続けるさくら総合病院

断らない医療~進化と挑戦で大きく躍進し続けるさくら総合病院
小林 豊 先生

医療法人 医仁会 理事長、さくら総合病院 病院長・福祉センター長(兼任)

小林 豊 先生

目次
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さくら総合病院は、愛知県北部の丹羽郡大口町にある二次救急病院です。同院は、24時間稼働するドクターカーを複数台所有するなど、“断らない医療”という創業から続く理念のもと救急医療に力を入れており、地域のみならず周辺自治体や大災害の被災地への医療にも、垣根を越えて情熱的に携わっています。

様々な分野で異彩を放つ同院の特色やこれからの展望などを、院長の小林 豊(こばやし ゆたか)先生に伺いました。

さくら総合病院の前身は、昭和55(1980)年に大口外科クリニックとして開設されました。現在は救急や急性期疾患の治療を中心に診療科23科、病床数390床を有し、病院内に回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟や療養病棟を擁しており、急性期医療からシームレスに、機能の温存や回復までの医療が提供できます。医療法人内で有料老人ホーム・老人保健施設・訪問看護・訪問リハビリ・訪問ヘルパーを運営しており、退院後の生活や社会復帰を支えています。また、無料の巡回バスを複数路線運行して地域のアクセスを良くし、“受診しやすい、紹介しやすい、お見舞いに行きやすい”、そんな病院を目指しています。
当院がある愛知県大口町は名古屋市のベッドタウンとして、しばらくは人口の減少が見込まれない活気のある地域です。大口町がある尾張北部医療圏は、三次救急(今すぐ対応が必要な重篤な患者さんに対する救急医療)が2施設、二次救急(入院や手術を必要とする重症な患者さんに対する救急医療)が2施設あり、当院は三次救急医療機関に次いで、多くの救急搬送件数を誇ります。
開院当時の診療所時代から救急医療を行っていた当院では、多くの救急車を受け入れ、愛知県で唯一の24時間365日稼働するドクターカー(医師と看護師が乗り込み車内でも治療可能な車)を複数台保有し、現場での医療に邁進しています。

当院では病院開設当初からの理念である“断らない医療“のもと、開院以来44年間、毎日フル稼働で救急の患者さんを1人たりとも断わらず受け入れてきました。各診療科の協力体制をベースに、初期対応から適切な医療を提供し当院ですべて完結できる体制を整えています。

また、要請があれば当院保有のドクターカーで現場の救命活動にも協力しています。2023年は年間救急車受け入れ台数3,363台、独歩での救急診療は約4,369件、ドクターカー要請回数462件という実績でした。

犬山城下町の事故現場に出動したドクターカー
犬山城下町の事故現場に出動したドクターカー(さくら総合病院提供)

当院の脳神経外科は幅広い脳神経・脊椎疾患に対応しており、とくにしびれや痙攣、麻痺、頭痛などといった脳や脊髄の疾患治療に強みがあります。

また、令和4(2022)年からは日本脳卒中学会の一次脳卒中センター(PSC)に認定され、24時間365日の救急要請に迅速に対応できる体制を構築しているほか、リハビリテーション、慢性期の対応まで当院で一貫した治療が可能です。

当院では2011年には消化器外科と消化器内科を統合してセンター化しました。特に消化器がんの治療においては、患者さんやご家族としっかりと相談をさせていただき、ご年齢や他の病気、日常の生活動作などを考慮したうえで、手術治療や低侵襲な内視鏡治療を行っています。2023年の手術件数は291件、内視鏡治療は357件に上っています。他院では「不可能と言われた手術」や他院でやっていない「機能を温存した手術」を積極的に展開し、病気の根治を目指して、余生の生活に注目した手術治療をご提案できます。90歳を超える超高齢者に対する手術治療でも高い成績を上げています。

突然発症する急性心筋梗塞や、高齢化社会の社会問題となってきた心不全、そして若年でも死因になり得る不整脈など循環器疾患全般に最先端の治療を24時間展開しています。集中治療室があるからこそ安心して受けられる医療がそこにはあります。心臓リハビリを積極的に活用し、CPX(心肺運動負荷試験)を用いた個々の患者さんに合わせたリハビリ強度で、長い余生に着目した継続した治療を推進しています。

多くの高齢者が悩み苦しむ膝や股関節のトラブル。これに対して真摯に向き合っています。変形性膝関節症変形性股関節症の手術の第一人者がこの手術を担当しています。世代を問わず突然起きる骨折などの外傷。これに対する必要十分な手術治療を遅滞なく行っています。高い手術成績の最先端の手術が受けられるのが当院の売りです。高齢化社会での高い生活の質(Quality of life)を保つために欠かせない疾病領域です。

リハビリテーションについては、急性期医療と同時に施行すべきものであり、自転車の両輪だと考えています。脳卒中や大きな手術、急性疾病など、発症当日や手術の翌日からリハビリテーションがしっかりと入る体制になるよう努めています。スタッフは100人以上在籍しており、患者さん一人ひとりに合わせた綿密なリハビリ計画を立案した上で超急性期からのしっかりとしたリハビリテーション介入を行っています。このような超急性期からのリハビリ介入は他院では真似のできない、当院の強みです。

当院では長年にわたる「断らない医療」の展開、ドクターカーの柔軟な運用など、一刻を争う患者さんへの医療に強みがあると自負しており、同じように一刻を争う医療提供が求められる災害医療にも非常に力を入れています。当院では独自に災害医療派遣チームを組織し、大きな災害が発生したときは当院のドクターカーで救急医が被災地に駆けつけ、発災直後に必要とされる医療の支援を行っています。阪神淡路大震災で地震の二日後に現地に向かったのが最初の災害派遣で、その後、東日本大震災では発災翌日に石巻に入り、熊本地震では長引く避難所生活の感染管理に7日間従事し、能登半島地震では発災翌日に珠洲市総合病院に入り、医療活動を展開するなど、被災地の医療の最前線に診療サポートとして入り、現地の被災者である医療従事者を支援したり、避難所における医療支援を積極的に活動しており、これは医療の原点である救急医療に心血を注いできた我々の当然の使命と考えています。災害医療に向き合うことにより我々の心に湧くものは、いつも「学び」と「感謝」です。

災害医療派遣チーム(さくら総合病院提供)
能登半島地震で被災地に出動したドクターカー(さくら総合病院提供)
能登半島地震で被災地に出動したドクターカー(さくら総合病院提供)

 

当院では救急医療に力を入れていますが、救急は常に患者さんの死と隣り合わせといえるでしょう。時に亡くなった状態で発見されることもあり、警察とともにご遺体と真摯に向き合い、死因をしっかりと検索して死体検案書を作成します。

当院では体表の所見だけでの死体検案だけでなく、CTスキャンを用いて、隠れた死因を検索し、また見落とされた事件、事故や持病や外傷がないかを確認します。愛知県警察や岐阜県警察と協働し、死因不明の異状死についての死亡後画像診断としてのCTスキャンと死体検案による死因究明に協力しています。警察から依頼された異状死の死亡後画像診断は年間1,000件以上と日本国内の病院では非常に多い件数に対応しています。

亡くなられた方から学び、その声なき声に耳を傾けることは医療の発展にも、また遺された方々に寄り添うという意味でも非常に重要です。当院は今後、死因究明をセンター化してこの取り組みを一層進めていきたいと考えています。

当院では、長年使用してきたドクターカーを買い替えるため、2021年にクラウドファンディングを行いました。結果、わずか2か月ほどで800人近い方から多大なご支援をいただけたことで目標額を達成して、クラウドファンディングで集まったお金だけで救急車型のドクターカーを新調できました。このクラウドファンディングは大きな注目を集め、当院の活動を広く知っていただくこともできました。

当院の信条を多くの方々にご理解いただき、このような多大なサポートを頂けたことに心から感謝申し上げると共に、県内唯一の24時間稼働のドクターカー活動への大きな期待に、改めて身が引き締まる思いです。

当院は開業以来、理念として“断らない医療”を掲げています。この理念を末永く続けるため、今力を入れているのは病院スタッフの労務環境の整備と満足度の向上です。

職員が笑顔で長く働く環境を作ることは、患者さんにとってもよりよい病院となることでしょう。

そのため、提案書システムの導入や年間休日を増やすという取り組みを始めています。現場からは多くの提案が寄せられ、職員一人ひとりが病院の質を上げようとする姿勢に感銘を受けています。

安心安全な医療を提供し、地域の方々から信頼される病院であり続けるため、これからも努力してまいります。

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    小林 豊 先生

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