院長インタビュー

総合的な医療で地域医療の中核を担う「兵庫県立加古川医療センター」

総合的な医療で地域医療の中核を担う「兵庫県立加古川医療センター」
原田 俊彦 先生

兵庫県立加古川医療センター 院長

原田 俊彦 先生

この記事の最終更新は2019年05月15日です。

兵庫県立加古川医療センター(以下、加古川医療センター)は、兵庫県立加古川懐仁病院として1936年6月に開設され、その後、兵庫県立加古川病院(以下、旧加古川病院)となり、長年にわたって地域医療の中核的な役割を担ってきた病院です。2009年11月に現在地である加古川市神野町に新築移転、加古川医療センターとして再スタートし、政策医療を中心として診療機能を大幅に充実するとともに、災害拠点病院としての体制整備など、総合力の向上に努めて地域に貢献しています。

加古川医療センターの診療について、院長である原田俊彦先生にお話しいただきました。

加古川医療センター 外観
加古川医療センター 外観

2009年11月、加古川医療センターは旧加古川病院の老朽化等に伴い、現在地である加古川市神野町に新築移転しました。それまでは一般的な総合病院としての医療を提供していましたが、移転を契機として救命救急センターを開設し、3次救急医療の提供を始めたほか、生活習慣病医療、緩和医療、感染症医療、神経難病医療を合わせた「5つの政策医療」を中心に、高度専門医療を展開する病院として、また、その後も診療機能の充実を図り、総ベッド数353床、急性期から慢性期、そして緩和医療に至るまで、総合的医療を提供する病院として生まれ変わりました。

患者さんを搬送するドクターヘリ
患者さんを搬送するドクターヘリ

加古川医療センターの救命救急センターは、迅速で的確な初期診療や集中治療を提供するため、30床の専用病床のほか充実した設備を整え、兵庫県東播磨圏域と北播磨圏域における3次救急医療を担うとともに、2013年11月からは兵庫県ドクターヘリの基地病院として運用を開始し、他の圏域からの救急搬送にも対応しています。けがを負った患者さんだけではなく、広範囲のやけどや急性中毒、急性臓器不全や心肺停止に至るまで、さまざまな患者さんがドクターヘリやドクターカーで搬送されます。救命救急センターには、救急科の専門医をはじめ、数多くのスタッフが在籍し、時間を問わず、診療科を問わず、重篤な状態に陥った患者さんの生命を救うために、日々奮闘しています。

加古川医療センターは、旧加古川病院時代から注力してきた糖尿病の治療をはじめ、消化器疾患、脳血管疾患のほか、がん生活習慣病のひとつととらえて、医療を提供しています。2009年に設置した生活習慣病センターでは、診療科の枠を超えてコアユニットを形成し、生活習慣病の専門的な予防・治療に関わっています。

緩和医療については、25床という規模の専用病棟を整備し、地域の拠点として専門的な医療を提供しています。また、感染症医療については、兵庫県内でも2施設のみが指定されている、1類感染症を受け入れる第一種感染症指定医療機関として体制の整備を図っています。このほか、神経難病に関する専門的な診療も実施しています。

加古川医療センター ロビー
加古川医療センター ロビー

政策医療のほか、旧加古川病院時代から重点を置いて展開してきた次のような主要診療科を中心に、28診療科体制で高度専門医療を提供しています。

〔消化器内科〕

消化器内科の(ゆん)副院長は肝疾患の分野で広く知られる医師であり、当科では肝臓がんなどの肝疾患に対する診療を充実させています。加古川医療センターは、兵庫県の肝疾患専門医療機関に選定され、東播磨地域における肝疾患診療の中心施設としての役割を果たしています。

また、消化器疾患の診療では、内視鏡診断技術の発達に伴い、内視鏡を用いた手術や検査を実施する症例が増えています。多数の患者さんの受け入れや内視鏡の手術や検査の実施実績も踏まえ、2018年4月に内視鏡センターを開設し、専門診療のセンター化を図りました。これからも、消化器疾患に対する専門的な治療を提供していきます。

〔整形外科〕

旧加古川病院時代から、加古川医療センターは地域における整形外科診療の中核を担ってきました。特に脊椎外科および関節外科を中心とした手術症例が多いことが特徴で、圏域には脊椎外科を専門とする施設が限られることから、年間300件以上の脊椎手術症例があります(2017年度)。

2009年に3次救急医療の提供を始めてからは、骨盤骨折多発外傷、脊椎脊髄損傷などの重症の患者さんの緊急手術にも対応するようになりました。2018年4月には、脊椎外科疾患の専門的な治療をさらに強化するため、脊椎外科センターを開設しています。

また、スポーツ整形外科診療やスポーツ傷害の診療にも力を入れています。リハビリテーション科に在籍する柳田医師と私は、プロサッカーチームのチームドクターを務めており、選手のメディカルチェックや、怪我をした際の検査から手術まで担当しています。

〔泌尿器科〕

泌尿器科では、前立腺がん腎臓がんといった腎泌尿器系のがんの外科診療に力を入れています。特に、2013年9月にはいち早く手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を導入し、がんの治療に集中的に取り組んできました。2017年度の前立腺がんに対する前立腺全摘術の手術件数は74件で全例がロボット支援手術でした。日本ではダ・ヴィンチによる手術を行う病院が増えてきていますが、当センターは県内でもトップクラスの手術の実施件数を重ねています。

2018年12月に開設した血液浄化センター
2018年12月に開設した血液浄化センター

西日本のリウマチ膠原病診療の中核を担ってきた旧国立加古川病院から甲南加古川病院の流れを汲み、2016年4月にリウマチ膠原病センターを開設しました。内科的・整形外科的治療のどちらにも対応しており、2018年10月現在3000名を超える患者さんの診療を行っています。これからも、兵庫県下はもとより、西日本のリウマチ膠原病診療の拠点となるべく、診療を続けていきます。

また、同じく甲南加古川病院から診療機能を引き継ぎ、同年12月に開設した血液浄化センターでは、40床のベッドを備え、血漿交換療法や白血球除去療法などの血液浄化療法の実施が可能です。

加古川医療センター

加古川医療センターは、災害拠点病院に指定されています。まず、常に災害救急医療を提供できる体制を整え、災害時には救護班やDMAT(災害派遣医療チーム)を派遣しています。東日本大震災はもちろん、熊本地震にも対応してきました。最近では、大阪北部地震にはドクターヘリを応援派遣、西日本を中心に大きな被害を出した平成30年7月豪雨では、DMATが倉敷に出動しました。また、地域で大きな災害が起こったときに的確に対応できるよう、建物の免震構造をはじめ、施設・設備、体制を整えています。地震・津波・台風・噴火などの災害発生時には、地域の皆さんを守る病院として、役割を果たしたいと考えています。

加古川医療センター 外観
加古川医療センター 外観

自然豊かで抜群の環境のもと、また、ゆったりと設計された個室感覚の一般病室などにより、施設の面でも患者さんの療養に最適な環境を提供します。

無料の平面駐車場も完備し、安心して自家用車で来院いただけます。

事例検討の様子
事例検討の様子

当センターでは初期研修医を募集しています。救急医療や生活習慣病医療、消化器内科や整形外科をはじめとする特色ある診療科に、また緩和医療などにも興味のある方は、ぜひ勉強しに来ていただければと思います。特に当センターは基地病院としてドクターヘリを運用しており、救急科では、ドクターヘリによる患者さんの搬送や救急医療にも携わることができます。

また、初期研修医だけではなく専攻医(後期研修医)の方も、当センターの特色ある診療科に来ていただければ、将来に役立つ経験が積めます。たとえば消化器内科では、年間約5,000件の消化管内視鏡検査を施行しています。また、整形外科では年間の手術件数が1,600件を超え(いずれも2017年度)、豊富な症例を経験することができます。その他の診療科においても、多くの症例を経験することができます。若い力の活躍に期待しています。

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