福岡市中央区に位置する総合病院、浜の町病院。昔から、血液内科と産婦人科が人気の病院で、特に血液内科は古くからの歴史と経験を生かしながら、高度な治療にも積極的に取り組んでいます。スタッフ同士の強い連携で地域の医療ニーズに対応し、患者さんの不安を安心にかえる医療を目指す浜の町病院について、院長の谷口 修一先生に詳しくお話を伺いました。
当院は、かつて朝鮮半島に設置された京城帝国大学医学部にゆかりがあります。太平洋戦争の終戦直後、その医師たちが京城の地で“罹災民救済病院”を開設し、引揚中の列車や船舶の中でも“移動医療局”として引揚者の健康管理を行いました。その後、御供所町聖福寺の地で帰国者の治療を行う“在外同胞援護会救護部”というGHQと外務省公認の医療施設として設立され、これが当院の起源となっています。その後、聖福病院付属 浜の町診療所として開設され、増築増床や移転を経て、現在は36の診療科を有する468床の総合病院として地域の中核医療を担っています。
当院がある福岡市は、博多湾にほど近い人口164.5万人(2024年2月時点)の国内でも大都市の1つです。福岡市内には大規模な病院が立ち並び、高度な医療を提供している医療機関が多く存在しています。当院はこの福岡市の中央区で二次救急を担当し、年間3,000台*前後(現在は年間4,000台)の救急車の受け入れを行っています。患者さんがいわゆるたらい回しにならないよう、当院では迅速かつ丁寧な医療の提供を心がけています。近年では、救急外来ベッド数の増床やICU(集中治療室)・HCU(高度治療室)機能の充実を図り、さらに質の高い医療を提供できるよう整えています。
当院は、地域の中核的な医療機関としての歴史と使命を背負い、地域の皆さんに安心して信頼される病院となれるよう日夜努力をしています。
*救急車搬入件数……2018年:2,937件/2019年:3,010件/2020年:2,683件
当院の産婦人科では多くの出産のお手伝いをしているほか、生殖補助医療などの不妊治療も積極的に行っています。総合病院の産婦人科という立場から、合併症をお持ちの妊婦さんにも対応することが可能です。
また、婦人科疾患の中でも特に卵巣嚢腫や子宮筋腫、子宮内膜ポリープといった良性疾患に対しては、低侵襲である腹腔鏡下手術・子宮鏡手術を数多く行い、患者さんの負担軽減に努めています。当院はこれまでの経験を生かしつつ、常に患者さんに寄り添い、安心して出産や治療に臨んでいただけるよう心がけています。
当院の強みの1つである血液内科は、病院開設当時からある診療科で、長い歴史から得た知見を生かしつつ最新の知見から得た新しい治療も積極的に取り入れています。白血病やリンパ腫、骨髄腫などの血液腫瘍に対しては、化学療法や造血幹細胞移植療法といった高度な手法を駆使し、治癒を目指しています。
また、移植センターは、非血縁者間造血幹細胞移植施設*としても認定されています。近年登場したCAR-T細胞療法(患者さん自身の血液から免疫細胞を取り出し、がん細胞を攻撃できるように体の外で加工してから体内に戻す治療)を行うことのできる施設の1つであり、こういった高度な治療にも取り組んでいます。
さらに、移植コーディネーターが常勤し(2024年2月時点)、専門の医師・看護師による移植後の長期フォローアップ外来にも力を入れており、安心して治療をしていただけるよう尽力しています。
*非血縁者間造血幹細胞移植施設……日本造血・免疫細胞療法学会より認定を受けた施設。
当院の整形外科は、変形性関節症や関節リウマチなどの関節疾患、一般外傷、スポーツ外傷への治療を中心とした診療をしています。手術によって患者さんが痛みのない関節を取り戻すことを目指して日々努力しています。
特に傷んだ股関節をインプラントに置き換える手術では、わずかなインプラント設置角度の違いが治療結果に大きな影響を及ぼすことが知られています。そのため、当院ではポータブルナビゲーションシステムという機器を導入し、これまで以上に正確で精度の高い手術を目指しています。
体の節々が痛みながら生活を送ると、動くことがおっくうになることも多いのではと考えています。そんな患者さんの生活を少しでも楽にすることができればと日々励んでいます。
当院で開設している健康医学センターでは、地域の皆さんの健康を維持するため病気の早期発見に努めています。1960年よりスタートした当院の人間ドックは、その長年の経験とさまざまな検査項目で健康状態をより詳細にチェックすることができる内容です。そのほかにも、さまざまな病気に特化した健診コースを用意しており、予防という面からも地域の皆さんの健康を支えられるよう努めています。
総合病院でありながら各診療科同士の垣根が低いのは、浜の町病院ならではの特徴です。診療科同士の横のつながりが強く、科を超えた連携で診療にあたっています。院内はスタッフ間の雰囲気もよく、医師や看護師、事務スタッフともうまく連携して仕事ができることにより、強いチームを形成しやすいでしょう。スムーズで質の高い診療が可能となる風土があるのは、当院の自慢の1つです。
浜の町病院は、“病める人の身になって心のこもった最良の医療を目指す”ことを理念としています。
患者さんは心身がつらい状態であり不安な気持ちで当院にお越しになることでしょう。その気持ちを和らげることができるよう、当院のドアを通った瞬間からも安心感を得られるようなホスピタリティを大切にすることに力を入れています。
今後さらなる救急医療体制の整備や総合診療科の充実などが求められると考えており、今まで以上に病院の枠を超えた連携体制を構築し、地域の医療ニーズに対応していく必要があると考えています。これからも患者さんの立場に立ち、地域の皆さんに愛される病院として成長していけるよう努めてまいります。
国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 病院長
谷口 修一 先生の所属医療機関
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まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。