院長インタビュー

大学病院レベルの高度な機能と安心のサポート体制を両立――ベルランド総合病院

大学病院レベルの高度な機能と安心のサポート体制を両立――ベルランド総合病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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大阪府堺市にあるベルランド総合病院は、2014年に新病院が誕生して10年になります。院長の片岡 亨(かたおか とおる)先生は2020年1月の就任以来、待たせない・断らない医療の提供を目指して積極的な救急医療を展開すると同時に、“愛の医療と福祉の実現”を理念に掲げて地域住民に寄り添いながら診療を続けてきました。

本記事では多彩な取り組みの中から“がん診療”にスポットを当て、大阪府がん診療拠点病院として高度で専門的な医療を担う同院の強みについてお話を伺います。

外観
ベルランド総合病院外観(提供:ベルランド総合病院)

当院はがん診療・救急医療・周産期医療を柱に、この地域の高度急性期医療を担っています。私が院長に就任した2020年はまさにコロナ禍真っただ中でしたが、「できるかぎり普段どおりの診療を行おう」と声をかけ合い、24時間365日体制の救急医療を継続しました。そうした背景もあって当時月間400~500台程度だった救急車の受け入れ台数は、現在月間800台ほど*に倍増し、日本救急学会の基幹病院として専攻医を受け入れるまでになりました。

また、当院は堺市で唯一の地域周産期母子医療センターとしての役割を担い、合併症のある妊婦さんや低出生体重児などのいわゆる“ハイリスク妊娠・分娩”にも対応しています。以前から行っていた助産師外来を発展させ出産後にお母さんやご家族のもとを訪れる“産後訪問”と院内で行う育児サロンもスタートしました。

私たちの役割は高度かつ専門的な医療を提供することではありますが、当院は1982(昭和57)年の開院以来40年以上にわたって診療を続けてきた地域に根ざした病院でもあります。総合整形外科に“高齢者骨折センター”を創設したことも、地域にお住まいの方々を支える取り組みの1つです。高齢者骨折センターでは、糖尿病・心臓病などの持病をもつ患者さんに対して、各診療科の医師が連携することで切れ目のない診療を行っています。総合整形外科では、手の外科や骨軟部腫瘍(こつなんぶしゅよう)などにも幅広く対応し、それぞれの患者さんに適したオーダーメイドの治療をご提供しています。

*救急搬送数(年間)……2018年度:6,589件、2019年度:6,751件、2020年度:7,633件、2021年度:8,888件、2022年度:10,353件

当院は大阪府がん診療拠点病院に指定されており、多くのがん患者さんを受け入れて治療を行っています。“5大がん”といわれる胃・大腸・肝臓・肺・乳房の手術件数は、大阪国際がんセンターや国が指定するがん診療連携拠点病院に次いで、大阪府でトップ10に入る手術件数を誇ります(2021年度実績)。

当院では“5大がん”の治療において患者さんの体への負担が少ない低侵襲手術(ていしんしゅうしゅじゅつ)を行っています。お腹を大きく切り開くことなく、小さな傷口から器具を挿入して行う低侵襲手術は、少し前まで内視鏡下で行われることが一般的でした。これに対して最近は手術支援ロボットを用いる方法が主流となっており、当院においても2019年にダヴィンチ(DaVinci Xi)を導入して低侵襲治療を推進してまいりました。

ロボット支援下手術は2012年に前立腺悪性腫瘍に対する手術が保険適用となったのを皮切りに、肺がん胃がん子宮がんなどにも保険適用範囲が拡大されています。当院では当初1台だったダヴィンチを2台に増やすなど医療提供体制を強化することにより、主要ながんに対して積極的にロボット支援下手術を行えるようになりました。消化器科と泌尿器科、婦人科と泌尿器科といったコラボレーションを実現できるのも、診療科の垣根が低く風通しのよい当院ならではと言えるでしょう。

近年は全国的に医師不足が叫ばれておりますが、おかげさまで当院には各診療科にプロフェッショナルと言える医師がそろっています。がん診療に関して言えば、呼吸器外科部長を務める岡部 和倫(おかべ かずのり)先生がその一人です。岡部先生は呼吸器の中でも希少がんとして知られる悪性胸膜中皮腫を専門にしており、全国各地から患者さんが足を運ばれています。

がん診療については高度な医療を実践するだけでなく緩和ケアにも力を入れており、緩和ケア科部長を務める山﨑 圭一(やまさき けいいち)先生を筆頭に、職員みんなが患者さんの声を聞き、寄り添うことを大事にしています。最近では看護部門において聖路加国際病院とのコラボレーションを実施しましたが、今後もより質の高い医療と看護をご提供できるよう努めてまいります。

南10病棟ベランダの様子(提供:ベルランド総合病院)

私自身は心臓や血管など循環器の病気を専門にしており、当院においても現役医師として循環器内科部長を務めています。これだけの規模の病院を運営しつつ、患者さんの診療や後進の指導を担うのは確かに大変なことです。しかし私にとっては、自分の治療で患者さんがよくなることが何よりうれしいですし、自分の好きなことならば多少しんどくても乗り切れます。“好きこそものの上手なれ”ではありませんけれど、私が楽しくいきいきと仕事をすることが、職員や患者さんによい影響をもたらすことを期待しています。

*医師や提供する医療についての内容などの情報は全て、2024年5月時点のものです。

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