院長インタビュー

救急医療の要として地域に貢献する大阪府済生会千里病院

救急医療の要として地域に貢献する大阪府済生会千里病院
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大阪府済生会千里病院は、大阪府の豊能医療圏に位置し、100万人以上の地域住民の皆さんの健康を守るために、地域の医療機関と連携しながら適切な医療を効果的かつ効率的に提供しています。一般診療以外に心臓疾患や脳疾患を含む救急医療に強いことが特徴であり、新しい医療技術も積極的に導入を進めています。地域社会への貢献と医療従事者の技術向上を目指す大阪府済生会千里病院の現在そして未来を、院長である中谷 敏(なかたに さとし)先生に伺いました。

外観
病院外観(提供:大阪府済生会千里病院)

当院は、大阪府の吹田市、豊中市、池田市、箕面市、豊能町、能勢町を含む豊能医療圏に位置しています。この医療圏は人口100万人以上の規模を誇り、中核都市である吹田市を中心に、高齢の方が多く住む地域でもあります。当院はこのエリアの人々の健康を守るため、近隣にある大阪大学医学部附属病院や国立循環器病研究センターといった大規模医療機関、その他の中規模・小規模医療機関・診療所と緊密に連携しつつ、効率的で適切な医療の提供を目指しています。

当院の前身は1967年に設立された大阪府保健医療財団新千里病院です。新千里病院は2003年に済生会に移譲され大阪府済生会千里病院となり、その後2006年に大阪府立千里救命救急センターを併合して現在に至ります。この成り立ちからも分かるように当院は、一般診療以外に救急診療が重要な柱となっており、生命に関わる重篤な患者さんを24時間体制で受け入れています。救急対応では高齢の方の搬送が多く、特に心筋梗塞(しんきんこうそく)脳卒中急性腹症骨折などの治療に注力しています。

こうした背景を持つ当院は、地域社会における健康の守り手として、重篤な病気から日常的な健康管理に至るまで、幅広いニーズに対応しています。

また、当院は勤務している医師にとっても良好な環境で、院内も清潔です。さらに、ロケーションも通勤に便利な立地です。医師をはじめとする職員間の人間関係も良好であり、このような環境が評価され、当院は研修医からも人気になっています。特に救急医療を学びたい研修医が多く、現場での厳しい訓練を通して成長する機会を得ています。

当院は、大阪府がん診療拠点病院として認定されており、5大がん(胃がん肺がん大腸がん乳がん子宮がん)を中心に、手術、化学療法、緩和医療などの充実を図っています。近年では呼吸器外科を強化したことにより、肺がんの手術件数が増加しています。

また、心臓疾患や脳血管疾患に対する専門的治療を24時間365日体制で提供しています。循環器内科は特に心臓カテーテル手術を得意としており、狭心症心筋梗塞不整脈の治療を精力的に行っています。また、心臓リハビリテーションも取り入れており、治療から一貫したサポートを行っています。脳血管内科でも昼夜の別なく脳卒中の治療を実施しており、一次脳卒中センターに指定されています。さらに、脳卒中を専門に診る外来も行っており、即日MRIの撮影と診断を行って早期発見や予防にも貢献しています。 

循環器疾患や急性腹症などの救急患者さんに対応するには、麻酔医が欠かせません。当院は麻酔医が11名と多く在籍しており(2025年1月時点)、安心して治療を受けていただけると考えます。

当院は質の高い医療を提供すべく、新しい医療機器の導入にも積極的に取り組んでいます。2024年2月より、精緻かつ体への負担が少ない内視鏡手術支援ロボット“ダ・ヴィンチ”を導入し、泌尿器科、消化器外科、婦人科など、幅広い分野で利用しています。

また、心房細動の治療法としての不整脈アブレーション手術も行っており、不整脈アブレーション治療の件数をさらに増やすべく、2023年にはクラウドファンディングを利用して第3カテーテル室を増設しました。このクラウドファンディングでは患者さんや地域の皆さんから温かい支援を受け、目標額を上回る資金を集めることができました。

ドクターカー
ドクターカー(提供:大阪府済生会千里病院)

大阪府済生会千里病院では、救命救急の技能向上を目的とした“千里メディカルラリー”を毎年、全国規模で実施しています。これは、医療チームが特殊メイクを施した模擬患者を診察し、限られた時間内にどれだけ正確に診断と治療を行えるかを競う技能コンテストです。救命救急を専門とする医師、看護師、救急救命士がチームを組み、模擬患者に対してさまざまな医療処置を実施。各処置は専門家のジャッジによって評価され、点数が付けられます。

このコンテストでは、事故、溺水食中毒などの多様なシナリオが設定され、全国から集まったチームがこれらの状況に対応します。2024年はボランティアも含めて700人以上が参加するという盛り上がりをみせ、テレビ番組で取り上げられるほど注目を集めました。

また、子どもたち向けには“子どもメディカルラリー”も開催しています。これは、子どもたちが自ら考え行動することで救命処置の基本を学ぶ競技会で、すでに十数回と会を重ねています。内容は、119番通報や外傷処置、胸骨圧迫、AEDの使用など、実際に倒れた人に対してどう対応するかを子どもたちが体験するものです。これにより、地域の子どもたちの経験値が上がり、救命率の向上に寄与することを目指しています。

このような独自の取り組みを通じて、大阪府済生会千里病院は、医療従事者の技術向上はもちろん、地域社会への貢献を積極的に行っています。

“心のこもったチーム医療を行う”、これは大阪府済生会千里病院が掲げる理念です。私は、2020年にこの責務を担い、“下駄履きで来れる一流病院、かつ救急の最後の砦”というスローガンを掲げました。患者さんにとって身近であり続けることを重視し、ためらうことなく誰もが気軽に来院できる環境を提供しつつ、医療の質は一流を保持する、そして救急医療ではどんなに重症でも何とか当院にまでたどりついていただいたなら全力で救命するという意思の現れです。

当院は、一般医療・救急医療において地域社会を支えるという大きな役割を今までも、そしてこれからも担い続けます。今後もこの責任を果たし、地域に根差した医療を通じて貢献していくことをお約束します。地域の皆さんの健康を守り、支えることが私たちの使命であり、そのための努力を惜しまない所存です。

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