喉が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
植田救急クリニック
加藤 之紀 先生【監修】
喉が痛いという症状は、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。自然に治ることもありますが、原因によっては何らかの対応が必要な場合もあります。
こういったとき、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
喉の痛みは病気が原因となって起こっていることもあります。
さまざまな炎症が原因となって、喉の痛みが起こることがあります。
その多くはいわゆる「喉の風邪」であり、自然に治ってしまうことが多いのですが、それらの中には命に関わる病気もかくれているため、注意が必要です。
喉はほとんど粘膜におおわれており、この粘膜に細菌・ウイルスなどの病原体が取りつくことで、これらを排除しようとする免疫系が活発に活動します。その結果炎症が起こって、痛み・赤み・腫れの原因となり、全身の発熱を起こすこともあります。多くの場合その原因はウイルスであり時間経過で自然になおりますが、一部は細菌によるものであり、重症化することもあるため注意が必要です。
ウイルスによる喉の風邪の特徴としては、咳がある、つばがのみこめる、口をしっかり開けられることなどが挙げられ、逆にそれらがない場合には後に挙げる喉頭蓋炎などの可能性もあるため早めの医療機関受診が必要です。
喉頭蓋は空気の通り道と飲食物の通り道の切り替え弁の役割をする部分で、すぐ近くに声帯があります。喉頭蓋が腫れることで空気も飲食物も通りにくくなり、呼吸が苦しくなります。
喉の痛みや発熱のほか、呼吸にあわせてゼーゼーヒューヒューという音がする、くぐもったような声になる、唾も飲み込めないなどの症状が現れた場合には注意が必要です。急速に進行する急性喉頭蓋炎では、窒息のために命に関わることもあるため救急受診が必要になります。
甲状腺は喉の前面、喉ぼとけの少し下にある臓器で甲状腺ホルモンを分泌しています。亜急性甲状腺炎とは、何らかのウイルス感染が原因となり甲状腺の組織が壊れ、血液中に甲状腺ホルモンが漏れ出した状態です。甲状腺ホルモンは車でいうとアクセルのようなはたらきをしているため、風邪のような喉の痛み、発熱などに加えて発汗や動悸などの症状を伴うことが特徴です。
喉の痛みの原因には炎症以外にも以下のようなものがあります。
喉には良性・悪性を含めさまざまなできものができることがあります。できものの表面の粘膜が荒れたり、周辺の神経を刺激すると痛みが起こることもあります。
魚の骨や錠剤の包装などを飲み込んでしまい、喉の粘膜を傷つけることがあります。異物を飲み込んだ心当たりがあり、喉の痛みが取れない場合には、耳鼻咽喉科などで専門的な診察を受ける必要があることもあります。
息苦しさや声の変化がある場合は空気の通り道に影響が出ている可能性があり、速やかに受診が必要です。それ以外でも、喉の痛みが続く、長期間よくならないなどの場合には一度受診しておきましょう。
受診先は原因によって異なる場合がありますが、まずは近くの内科や耳鼻咽喉科でよいでしょう。
受診の際にはいつからどのような症状があるのか、きっかけとなった出来事や心当たりがあるか、喉の痛みの他にはどのような症状があるかなどをできるだけ詳しく伝えましょう。
普段の生活習慣が喉を傷つけ、痛みを引き起こす場合もあります。
タバコの煙には多くの有害物質が含まれます。アルコールも粘膜を傷つけ、喉の痛みの原因となることがあります。
タバコのニコチンやアルコールは依存性を持つため、自分の意志だけではなかなか減らす・やめることが難しい場合があります。一定の条件を満たす必要がありますが、病院でニコチン依存症・アルコール依存症の治療を受けることができます。禁煙治療は内科・呼吸器内科などさまざまな医療機関で、アルコール依存症治療は精神科・心療内科で受けることができます。
空気が乾燥した状態で口呼吸をすると、喉の粘膜が乾燥し痛みが起こります。乾燥した粘膜は細菌やウイルスの感染にも弱くなります。
加湿器などを使用し、部屋が乾燥しすぎないようにしましょう。また、マスクの使用も喉を乾燥から守るのに効果があるといわれています。水分をこまめに・十分とることも大切です。
声を出しすぎると声帯付近の粘膜が炎症を起こし、喉の痛みが起こることがあります。
声を出すと痛い・声がかすれるときは、できるだけ声を出さないようにし、喉の粘膜を休ませます。部屋を加湿する・マスクをするなどし、水分を十分取ることも必要です。
指で触れると熱いと感じる飲食物でも口に入れて飲み込める場合がありますが、喉の粘膜も皮膚と同じようにやけどをします。熱いもの、辛いものなどの摂りすぎには注意しましょう。
すっぱいもの、硬いもの(揚げ物の衣やフランスパンなど)といった粘膜を傷つけるような飲食物を避け、粘膜の回復を待ちましょう。
また、刺激物や極端に熱いものを好んで食べる習慣のある人は適切な範囲に留めることも大切です。
自分でできる対処法を試しても痛みがよくならない場合には、思いもよらない原因が潜んでいる場合もあります。そのような時には一度病院で相談してみましょう。