喉のつかえ感:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 教授
堀井 新 先生【監修】
喉の違和感はちょっとしたことでも不快感が大きく非常に気になるものです。
このような症状がみられたとき、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
喉のつかえ感を引き起こす病気はさまざまなものがあります。
喉のつかえ感を生じる原因として頻度の高い病気は以下のようなものがあります。
逆流性食道炎とは、胃液が食道に逆流してしまうことで食道の粘膜に炎症が起きる病気です。胃と食道の境目の筋肉のゆるみ、肥満などによる腹圧上昇、胃酸の分泌過多などが原因で起こります。特に食後に喉のつかえ感が起こりやすいといわれています。
他には胸焼けや咳、酸っぱいものが込み上げてくるような感じなどの症状が特徴的です。
急性上気道炎はいわゆる「かぜ」のことです。ほとんどがウイルス感染によって起こり、喉に炎症が起きることで喉のつかえ感や違和感を感じることがあります。喉の症状の他にも発熱や咳、鼻汁などの症状がみられ、一般的には一週間程度で治る事が多いとされています。
ウイルスや細菌に感染し、咽頭、喉頭、扁桃など喉の各所に炎症が起こると、喉のつかえ感や痛みの原因となることがあります。ほかにも発熱、倦怠感、頭痛などの症状を起こす場合があります。
喉のつかえ感を生じる原因として、その他に以下のようなものがあります。
アレルギーによる反応で喉のつかえ感を生じることもあります。アレルギーの原因はハウスダストやダニ、食物や薬剤など人によってさまざまです。
重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックでは、口や喉が腫れてつかえ感を感じたり、呼吸がしづらくなる、吐き気や嘔吐などの症状が現れることがあります。急を要する状態ですので、急いで病院を受診しましょう。
咽喉頭異常感症はヒステリー球とも呼ばれ、喉につかえやしめつけ感、異物感などの違和感を感じる病気です。喉に炎症や腫瘍などの病気がなく、喉の過敏性や貧血、自律神経失調症、そして鬱病などの心因的なものが関係しているといわれています。
甲状腺に関する病気を発症すると喉が腫れたり喉のつかえを感じたりすることがあります。代表的な病気は、甲状腺の機能に異常をきたす病気や腫瘍ができる病気です。
甲状腺の機能が低下するものを甲状腺機能低下症といい、代表的な症状にはむくみやだるさなどが挙げられます。反対に甲状腺の機能が亢進すると甲状腺機能亢進症と呼び、動悸がしたり汗をかきやすくなったりします。
甲状腺の腫瘍は多くが良性のものですが、大きくなると喉のつかえや違和感の原因となることがあります。
喉周辺の咽頭、喉頭、食道といった器官にポリープやがんができると、喉のつかえを感じることがあります。
咽頭は鼻の奥から食道までの食べ物と空気が通る部分で、ポリープやがんができると鼻や耳のつまったような症状や首の腫れなどがみられます。
喉頭はのど仏のあたりで気管と咽頭をつないでいる場所で、がんやポリープができると喉の異物感や声がかすれるなどの症状が現れます。しかし、ある程度大きくなるまで自覚症状がないことも少なくありません。
喉頭には声帯があり、声の出し過ぎなどでポリープができやすいところです。ポリープができると声がかすれるなどの症状がでます。
食道がんは初期には自覚症状が現れない事も多く、進行するにつれて胸の違和感や声のかすれなどの症状が現れます。食道にはがんではないポリープなどができることはまれといわれています。
喉のつかえ感や違和感に加えて、痛みや発熱などほかの症状が強い場合には早めに受診しましょう。また、ほかの症状がなくともつかえ感が続く場合には一度受診しておきましょう。受診科目は耳鼻咽喉科が適しています。
受診の際には、いつから喉のつかえ感があるか、発熱など他の症状があるか、声をよく使う習慣があるかどうかなどについて伝えるようにしましょう。
喉のつかえ感は、日常生活上の原因で起こることもあります。
ストレスは喉のつかえ感の原因になることもあります。睡眠を十分にとり、日常的に心の状態にも気を配るようにしましょう。
睡眠を十分にとり、日常的に心の状態にも気を配るようにしましょう。気分転換で改善されず、食欲がない、睡眠がとれないときには心療内科や職場の保健師などに相談ししましょう。
喫煙は刺激が大きく、喉や食道、気管などに炎症を起こす原因のひとつです。特に、タバコに含まれる有害物質は声帯や気管などに炎症を引き起こしやすく、喉の違和感の原因となることがあります。
喉に異物感など何らかの異常を感じた場合には、喫煙は控えましょう。
また、特にタバコは喉に限らずさまざまな病気の原因となるため、禁煙することが好ましいといえます。タバコには依存性があるため自力でやめることが難しい場合もあります。禁煙外来などの医療機関を受診すると、医師の指導のもと禁煙補助薬などを利用して禁煙を進めることができます。
自分でできる対処法を行っても症状がよくならない場合には、思いもよらぬ原因が潜んでいるかもしれません。一度耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しましょう。