喉の腫れ:医師が考える原因と対処法|症状辞典

喉の腫れ

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • アレルギーのあるものに接触した心当たりがあり、唇や顔の腫れがある
  • 声が出ない、水分や唾液が飲み込めない、激しい痛みがある
  • 普段通り話すことが難しい、肩や体を使って呼吸をしているなどの様子がある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 発熱、痰、咳、喉の痛みなど風邪のような症状があり辛い
  • 飲食のときにしみる、ひっかかりがある
  • 痰に血が混じる

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

喉の腫れや痛みは声を出し続けたとき、風邪をひいたときなどに現れる比較的よくある症状です。しかし、場合によっては病気が原因である可能性など注意が必要なときもあります。

  • 喉の腫れがひどく、痛みも強い
  • 腫れている感じがして食べ物が飲み込みにくい
  • 喉が腫れて呼吸が苦しいように感じる

このような症状が見られる場合、どのようなことが原因として考えられるのでしょうか。

喉の腫れを感じた時、病気が原因となって起こっている場合もあります。

急性咽頭炎扁桃炎

急性咽頭炎(いんとうえん)扁桃炎(へんとうえん)は咽頭(口腔と食道の中間)、または扁桃(咽頭部分にあるリンパ組織)が細菌やウイルスに感染して急性の炎症を起こす病気です。喉の腫れや痛みのほか、発熱や倦怠感、食べ物を飲み込むときの痛みなどを伴うことがあります。

急性咽頭炎
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急性扁桃炎
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急性咽頭扁桃炎の原因となるものは、大きく以下の2つに分けることができます。 

よくあるウイルスや細菌

急性咽頭扁桃腺炎の原因となるウイルスや細菌にはアデノウイルスインフルエンザ、単純ヘルペス、溶連菌(ようれんきん)などがあります。

特にアデノウイルスの一部や溶連菌に感染すると、喉の腫れが非常に強く現れる場合があります。いずれにせよ、喉の強い腫れに加えて高熱があるような場合には早めに受診しましょう。

インフルエンザ
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性感染症

淋菌(りんきん)やクラミジア、梅毒(ばいどく)といった主に性交渉で感染する細菌が原因で喉が腫れることがあります。しかしその場合でも痛みや発熱などの症状が薄く、気づきにくいとも言われています。

心当たりのある性交渉があった、パートナーがこれらの性感染症にかかったなどで喉の腫れが現れた場合、注意が必要です。

淋病
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梅毒
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喉の腫れの多くは急性咽頭炎扁桃炎などによる炎症が原因ですが、以下のような原因で喉の腫れが起こることもあります。

食べ物・薬などのアレルギー

アレルギーの元となるものを触ったり食べたりすることで皮膚や喉が腫れる事があります。唇が腫れる、息が苦しい、嘔吐する、ぐったりする、蕁麻疹がでるなどのショック症状が出ると一刻を争う危険な状態になる可能性もあります(アナフィラキシーショック)。

アレルギーがあり、症状の出るきっかけとなった行為に思い当たる節がある方は速やかに医療機関を受診しましょう。

食物アレルギー
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亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は甲状腺という首にある臓器が炎症を起こす病気です。甲状腺の炎症のため、のどの痛みやあごや耳など周囲の痛み、発熱などがあらわれます。

また、甲状腺はホルモンを分泌している臓器でもあるため、このホルモンが大量に出ている場合には心臓がどきどきする、脈が速くなるなどの症状も現れてきます。

亜急性甲状腺炎
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急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん)

口・扁桃腺と声帯・食道の間にある喉頭蓋に感染が起こり、腫れて熱が出たり、声を出しにくくなります。気道が狭くなると呼吸がしづらくなったり、薬や水を飲み込めなくなったりします。

喉頭蓋の腫れが強いと窒息することがありますので、飲み込めない、息苦しいときには至急病院を受診しましょう。

急性喉頭蓋炎
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咽後膿瘍(いんごのうよう)

咽後膿瘍は食道と背骨の間が細菌に感染し、がたまってしまう病気です。3歳~5歳の子どもに発症することが多く、喉の腫れや痛みのほか、発熱、首の痛み、食べ物が飲み込みにくくなる、口を大きく開けられないなどの症状も現れます。

小さい子どもは症状を上手く伝えることが難しいため、機嫌が悪い・食欲がない・元気がないなど、全体的に落ち込んだような様子が続いた場合には、なるべく早く小児科を受診させることをおすすめします。

咽後膿瘍
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中咽頭(ちゅういんとう)がん

口の奥のから首までの領域にできるがん頭頸部がんをいいますが、中咽頭がんはそのうちの一つとされ、初期症状として喉の腫れや、食べ物を飲み込むときの痛み、飲み込みが難しくなったり、声を出しにくくなることがあります。

血管性浮腫

血管性浮腫とは、何らかの原因で皮膚が腫れることをいいます。蕁麻疹(じんましん)にも似ていますが、蕁麻疹が赤みやかゆみを伴い数時間で消失してしまうのに対し、血管性浮腫は赤みやかゆみがないことが一般的で、腫れが治まるまでに1~3日程度かかったり、しばしば症状を繰り返したりすることなどが特徴です。また、血管性浮腫と蕁麻疹が併発することもあります。

血管性浮腫には、治療薬の服用による薬剤性血管性浮腫やアレルギーによるアレルギー性血管性浮腫、寒さや日光など物理的な刺激による血管性浮腫などさまざまな種類があります。
さらに、頻度は低いものの先天性の遺伝子変異が原因で起こる遺伝性血管性浮腫HAE)や自己抗体などが生じることによって起こる後天性血管性浮腫(AAE)などもあります。

遺伝性血管性浮腫
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喉の腫れや痛みで食べ物が飲み込めない、発熱、喉に違和感があるなどの症状がしばらく続く場合、単なる風邪などが原因ではない可能性があります。このようなときは内科、または耳鼻咽喉科がある医療機関への受診が勧められます。

また、そこまで強い症状ではない場合であっても、腫れが続く、腫れを繰り返す、様子を見ていてもよくならないなどの場合には、血管性浮腫などの思わぬ病気が隠れている可能性があるため、一度最寄りの医療機関を受診しましょう。

受診の際は喉の不調を感じ始めた時期、熱の有無、ここ最近の体調など、できるだけ体の状態を詳しく伝えてみましょう。性感染症を治療中の方、またはその可能性がある方はその点も素直に話してみると診察・検査がスムーズに運ぶことがあります。

日常生活上の習慣などが原因で喉の腫れが起こっている場合もあります。

ほこりや菌が侵入しやすい口で呼吸することが多いと喉の乾燥を招き、結果的に喉の腫れも引き起こしやすくなります。

喉の乾燥を防ぐために

口呼吸による喉の乾燥を防ぐためには鼻呼吸を増やすことがポイントになります。風邪で鼻がつまって鼻呼吸ができなくなってしまわないよう、普段から手洗いやうがいなど風邪の予防対策をしっかり行うようにしましょう。

また、慢性的なアレルギーなどで普段から鼻が詰まりがちの方は、一度治療をしっかり受ける事も大切です。

大声を出したり、声を出し続けたりすると喉にダメージを与えてしまい、喉が腫れることがあります。

喉を使いすぎたときは

大声を出して喉を使い過ぎてしまった場合は、アルコールなど喉に刺激を与えるようなものは控え、十分な休息を取るようにしましょう。また、室内を適度な湿度に保つことも大切です。

タバコに含まれる有害物質が刺激となり、腫れが出てしまうことがあります。

タバコを上手に控えるためには

喉に違和感があるときは、タバコを控えるなどして喫煙の回数を減らしましょう。しかし、基本的には禁煙するのが最善の方法です。

自分の力だけで禁煙するのが難しい場合には、禁煙外来への受診などもひとつの方法です。

生活習慣を見直し、改善しても症状がよくならないときには、一度病院で相談してみましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。