声が出ない:医師が考える原因と対処法|症状辞典

声が出ない

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 息がしづらい、何も飲み込めないほどの激しい喉の痛みなどがある
  • アレルギーのあるものを食べた心当たりがあり、唇や顔の腫れがある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 喉の痛み、発熱など風邪のような症状がある
  • ほかの症状がないが、声が出ない
  • 強いストレスとなる出来事があった
メディカルノート編集部 [医師監修]

メディカルノート編集部 [医師監修]

声を出すことは日常生活で欠かせない行動の一つですが、それ故、声の出し方や喉の使い方によってはトラブルが生じることがあります。カラオケなど、単純な喉の使い過ぎによるものであればそれほど心配はありませんが、場合によっては何らかの病気が原因である場合もあるため注意が必要です。

  • 喉の違和感が続き、声を出しにくくなった
  • 長年煙草を吸ってきたけれど、最近になって喉の調子がおかしくなってきた気がする
  • ガラガラ声の状態がしばらく続いている

このような症状がある場合、原因にはどのようなことが考えられるでしょうか。

声が出なくなる、あるいは出づらくなる原因には喉を使い過ぎなどの他、病気が引き金になっていることがあります。

次にあげるような喉や神経などの病気が原因で声が出なくなることがあります。

喉頭炎・扁桃腺炎

喉頭炎・扁桃腺炎とは、それぞれ、喉頭(気管の入り口部分)と扁桃腺(喉の奥にあるリンパ組織)が細菌やウイルスに感染したことで炎症を起こしてしまう病気です。喉頭炎・扁桃腺炎には急性と慢性のものがありますが、慢性のものについては汚れた空気や喫煙、飲酒、喉の酷使が原因になっていることもあります。

症状には炎症によって声が出ない、声のかすれ、喉の痛み、飲み込みがしにくい、発熱などが挙げられます。

また、特殊なケースとして、感冒後や声の酷使後に「声がれ」の症状のみ出現し、喉の痛みや発熱を伴わないこともあります。この場合、声帯に限局した炎症(声帯炎)の可能性があります。

声帯ポリープ・声帯結節

声帯ポリープとは、声帯にポリープができ動きを妨げることで、声がうまく出せなくなってしまう病気です。ポリープは通常片側のみにできることが多く、声がいつもより低くなる場合もあります。

この病気は声帯を酷使することから起因すると考えられているので、学校の先生、歌手やアナウンサーなど、声を使う職業の方は注意が必要な病気です。

また、声帯結節も声帯に結節(コブのようなもの)ができることで声が出せない、声がかすれるなど、声帯ポリープと似た症状が現れる病気で、声を使う職業の方に発症しやすいという点も共通しています。

声帯萎縮

声帯萎縮とは、声帯が萎縮することでうまく働かず、張りのある声を出せない状態のことをいいます。声帯が萎縮する原因には炎症や加齢などが挙げられますが、先天的に声帯に溝ができやすい場合もあります。

声帯麻痺

声帯麻痺の主な原因は反回神経麻痺です。反回神経麻痺とは、声帯の動きを司る神経(反回神経)が障害を受けたことで、声や喉に様々なトラブルが起きてしまう病気です。反回神経麻痺になる要因はさまざまで、甲状腺がん、下咽頭がん、食道がん、肺がん、大動脈瘤、脳梗塞、脳神経腫瘍などが考えられます。また、反回神経そのものを直接損傷しなくても声帯麻痺をきたす場合があります(全身麻酔後やICU管理後の挿管性麻痺)。

症状としては、声が出にくい、ガラガラ声、飲み込みが難しいなどがありますが、症状の状態や進行の程度によっては、呼吸困難やムセによる肺炎を引き起こすことがあるので注意が必要です。

喉頭がん

咽頭がんとは、喉や声帯にがんができてしまう病気です。声のかすれやガラガラ声、喉の違和感、痛みといった症状が出ることがありますが、特に初期では自覚症状がないことも多いといわれています。

機能性発声障害

感冒後や何か心当たりのある出来事の後などに、声が出しづらい、声が震える、声が詰まるといった症状が出ることがあります。「声が出しづらい」症状があるにもかかわらず、耳鼻咽喉科などを受診しても「喉頭や声帯には何もない」といわれるような場合には、上記に示した「声帯炎、声帯ポリープ、声帯結節、喉頭がん」はないが、機能的に声の出し方が悪くなっていることが考えられます。

このような時は、耳鼻咽喉科の中でも特に音声を専門的に取り扱っている医療機関を紹介してもらいましょう。なお、下記に述べている、心因性失声も機能性発声障害のひとつとして捉えることができます。

上記の挙げた病気以外でも、次のような精神的要因で発声が困難になる場合もあります。

心因性失声

ストレスなど精神的な問題を抱えてしまうことで声が出なくなることを心因性失声といいます。睡眠障害や頭痛など、他の症状を伴うこともあります。

この病気はストレスの影響を受けやすい人や若い女性などに多いといわれています。

声の症状の他に喉の強い痛みや発熱、飲み込みづらさなどがある場合には早めに受診しましょう。また、一週間以上経っても声の調子が戻らない場合などの場合も一度受診しましょう。受診科目は耳鼻咽喉科がよいでしょう。受診の際は、声の不調が始まった時期や痛み・熱・咳の有無、喫煙の習慣、現在ほかにかかっている病気があればその点も併せて医師に伝えましょう。

声のトラブルには上記のような様々な病気が関係することがありますが、一方で普段の生活習慣が引き金になっていることもあります。

スポーツの応援やカラオケなどで大声を出し続けた後、声帯が炎症を起こして声が出しづらくなることがあります。

喉を守るために気をつけたい事

イベントなどで盛り上がり、つい大声を出してしまうことがありますが、そのようなときは加湿器で部屋を適度な湿度にする、うがいをする、のど飴をなめる、飲酒を控えるなど、自宅でできるアフターケアを行うようにしましょう。

タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は喉に炎症を引き起こし、声のかすれや痛みの原因になります。

タバコを上手に減らすには

禁煙することが一番の解決策ですが、難しいようであれば一日に吸う本数を決め、それを上回らないようにすることから始めてみてはどうでしょうか。もちろん、喉の調子が悪いときは吸わないようにしましょう。

禁煙がうまくいかない場合は無理をせず、禁煙外来の医師に相談することをおすすめします。

自分でできる対処を行っても症状がよくならない場合には、思いもよらぬ原因が潜んでいるかもしれません。一度耳鼻科で相談してみましょう。