鼻が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

鼻が痛い

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 強い打撲などきっかけがはっきりしており、鼻の変形や多量の鼻血がある

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 打撲などの心当たりがあるが鼻の見た目には変化がなく、痛みだけが続いている
  • 鼻や鼻の周囲に発疹(ほっしん)がある
  • 異物が入った心当たりがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 教授

堀井 新 先生【監修】

鼻の痛みは病気やケガなどさまざまな原因で起こることがあります。鼻の中が痛むのか、外側が痛むのかによっても原因が異なります。

  • 鼻水が出て鼻の付け根が痛くなってきた
  • 顔をぶつけて鼻血が止まらず、鼻が腫れている
  • 鼻の周りにブツブツができていて痛む

このような症状が見られた場合、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。

鼻が痛いとき、原因や伴う症状によっては受診の必要な病気やケガである場合があります。

鼻の中や奥が痛いときに考えられる病気やケガには、主に以下のようなものがあります。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)・急性副鼻腔炎

副鼻腔炎とは鼻の奥の副鼻腔という場所に炎症が起こることで、短期間で治るものを急性副鼻腔炎、長期にわたるものを慢性副鼻腔炎(蓄症)と呼びます。

副鼻腔は鼻の周囲にあるため、副鼻腔炎になることで鼻の痛みや頭痛、頬の痛みが現れます。特に痛みの症状は急性副鼻腔炎で多く見られるといわれています。

う歯(虫歯)

う歯(虫歯)を放置していると、歯以外の場所にも細菌による炎症を起こし、鼻などの顔面に痛みを感じることがあります。

上顎の奥歯の上にある骨の空洞(上顎洞)は上顎の歯と近いため、炎症を起こしやすい部分といわれています。

異物

特に子どもに多くみられるのが、鼻に異物を押し入れたことによって痛みを生じているケースです。見ていない間に異物を入れると周囲が気づかないこともあり、鼻血や鼻水、鼻を痛がるなどで気づく場合もあります。

鼻の中の異物は、無理に取り出そうとするとかえって鼻の奥に押し込めてしまう場合があります。取り出すのが難しいと感じた場合には耳鼻科を受診しましょう。

悪性腫瘍

鼻腔や副鼻腔に悪性腫瘍ができることもあります。早期では自覚症状がないことも多いですが、大きくなると鼻腔を圧迫して鼻づまりや鼻血、頭痛などを起こしたりすることもあります。

鼻骨骨折

鼻骨は鼻の骨で薄いため、軽い衝撃でも簡単に折れてしまいます。鼻骨の骨折は、多くの場合は鼻血や強い痛み、見た目に変形しているなどの症状があります。

しかし、まさかこの程度の衝撃で折れているはずがないと考えそのまま放置されることもあるといわれています。顔や鼻をぶつけるケガの後、痛みが続くときには注意が必要です。

鼻の外側が痛いときには、主に以下のような原因が考えられます。

ヘルペス

ヘルペスウイルスにはさまざまな種類があり、中でも口の周りや性器に痛みを伴う水疱を作る単純ヘルペスウイルスは、感染力がとても強いウイルスです。

口の周りにできる口唇ヘルペスが有名ですが、鼻の周りに症状が現れることもあります。一度感染したヘルペスウイルスは水疱が治ったあとも体内に潜伏し続けるため、体の免疫力が落ちたときなどにはまた発症することも少なくありません。

ニキビ・面疔(めんちょう

皮脂などが毛穴につまり、細菌感染などにより炎症を起こったものがニキビです。赤く腫れ、ときには痛みやを伴います。

ニキビはアクネ菌という細菌が原因になってできますが、同じような感染が黄色ブドウ球菌によって引き起こされたものを面疔と呼びます。一般的なニキビよりも腫れや痛みが強いことが多く、鼻は面疔ができやすい場所といわれています。

鼻の痛みが長引くときや徐々に痛みが強くなっていくとき、ぶつけたなどの心当たりがあるときには一度受診しておきましょう。また、鼻や鼻の周りの皮膚に異常があって痛む場合にも、なかなか治らないようであれば受診したほうがよいでしょう。

受診科目は基本的に耳鼻咽喉科ですが、皮膚の異常が明らかな場合には皮膚科のほうが適しています。

受診の際には、いつから痛みが続いているのか、また鼻の痛み以外の症状があるか、ぶつけたなどのきっかけがあるかどうかなどを伝えるとよいでしょう。

鼻の痛みは日常生活上に原因がある場合もあります。

冬場や空調の影響などで湿度が低くなると鼻の中の粘膜が乾燥して、ヒリヒリとした痛みを感じることがあります。

乾燥の強い時は

乾燥が強く鼻にヒリヒリした痛みを感じたりムズムズしたりするときは、加湿器などで部屋を加湿しましょう。他にも、濡れマスクの着用や、綿棒を使ってワセリンを鼻の穴の中に薄くぬったりすることも乾燥予防に効果があります。

鼻を強くかみすぎると、鼻の粘膜を傷つけて痛みを生じたり鼻血が出たりすることがあります。

鼻に負担をかけないかみ方とは

鼻に負担をかけないためには、力まかせに鼻をかんだり両方の鼻をいっぺんにかんだりしてはいけません。反対側の鼻を押さえて片方ずつ、ゆっくりなるべく力をかけずにかみましょう。

鼻毛を無理に抜くと、鼻の粘膜が傷つき炎症を起こすことで痛みの原因となります。

適切な鼻毛のケアとは

鼻毛は無理に抜かず、気になる場合ははさみで丁寧に切りましょう。刃先が丸い専用のはさみを使い、鼻の中を傷つけないように慎重に行いましょう。

鼻の痛みがなかなかよくならないときには、思いもよらぬ原因が潜んでいる場合もあります。一度耳鼻咽喉科を受診しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。