鼻水:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

鼻水

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 頭を強くぶつけたあとに、サラサラとした血混じりの鼻水がでた

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 額や頰の痛みがある
  • 風邪のような症状があり、程度が強い
  • 日常生活に支障はないが、長期間鼻水が続いている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない
  • 花粉症など原因がはっきりしているが、症状が気になる

兵庫医科大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科

三代 康雄 先生【監修】

鼻水は普段の生活でもよくある身近な症状といえます。しかし、鼻水の量が多くなったり、鼻水の質感や色がいつもと違ったりする場合には注意が必要なこともあります。

  • 鼻水もつらいけど、目や鼻のかゆみもつらい
  • 鼻水の後から熱と喉の痛みも出てきた
  • 頭を強くぶつけてしまった後、水のような鼻水が流れるように出ている

この症状が現れた場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。 

寒暖差の激しい環境にいたときや、辛い料理を食べたときに病気とは関係なく鼻水が出ることがありますが、症状によっては以下のような病気が原因になっている可能性も考えられます。

かぜなどの感染症

かぜとは、鼻や喉、気管支などがウイルスに感染した状態を指します。ウイルスに感染すると炎症を起こしてしまいますが、炎症の起こっている部位が鼻であれば鼻水、喉であれば痛みや声の枯れ、咳などの症状が現れるようになります。

また、場合によっては発熱や頭痛、倦怠感など全身の症状が出ることもあります。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニ、動物の毛、虫などのアレルギー物質によって鼻粘膜にアレルギーが生じ、不快な症状が現れる疾患です。主な症状には、透明な水のような鼻水、鼻づまり、くしゃみなどがあります。

血管運動性鼻炎

血管運動性鼻炎とは、空気の急激な寒暖差が引き金となって鼻水やくしゃみ、鼻づまりの症状が出る鼻炎です。症状はアレルギー性鼻炎とよく似ています。

副鼻腔炎

副鼻腔炎とは、鼻の穴の周りにある空洞部分(副鼻腔)がウイルスや細菌によって炎症を起こしてしまう病気です。発症すると粘り気のある黄色っぽい鼻水が出るほか、粘膜が腫れて鼻づまりを起こしたり、息苦しくなったりすることがあります。

副鼻腔炎には急性と慢性がありますが、急性では頭痛や眉間・頬などの痛みを感じやすく、慢性では鼻づまりや後鼻漏(鼻水が喉の方へ垂れ込んだもの)などの症状が主となります。

髄液漏

髄液漏とは、脳や脊髄を保護している脳脊髄液が頭部の外傷などにより外部に漏れ出てしまう状態のことを指します。髄液が漏れると、鼻や耳の穴からさらさらとした液体が流れてくることがあります。

髄液が漏れると頭蓋骨の内側に細菌が入りやすくなり髄膜炎を起こす可能性があるため、スポーツや交通事故で頭部に強い衝撃を受けた後にさらさらした液体が鼻から流れてきた場合は、早急に医療機関を受診してください。

鼻の穴から液体が出るため、鼻水だと勘違いすることがありますが、外傷を受けた後は髄液漏の可能性があることを覚えておきましょう。

痛みや発熱など他の症状を伴って辛い場合や、強く頭を打ったなどのきっかけがある場合には早めに受診しましょう。また、鼻水が出る状態が一週間以上続いたり、繰り返したりしているような場合には我慢せず受診した方がよいでしょう。

受診科目はかぜなどであれば内科でも診察が可能ですが、専門の科目は耳鼻咽喉科になるため、続く鼻水の原因を知りたいなどの場合には耳鼻咽喉科を選ぶとよいでしょう。

受診の際は鼻水が出始めた時期や、鼻水の色と質感、アレルギーの有無などを医師に伝えると診察の助けになります。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。