鼻が臭い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
名古屋市立大学医学部付属 東部医療センター 特任教授・高次ウイルス感染症センター長
村上 信五 先生【監修】
独特のにおいがある食べ物や飲み物を口に入れると鼻ににおいが伝わり、鼻が臭っているように感じることがあります。このような場合は鼻に異常はありませんが、人によっては鼻の病気が原因で自身の鼻自体から不快な臭いを感じることがあります。
このような症状がある場合、どのような病気が考えられるのでしょうか。医療機関を受診する際のポイントも併せて見ていきましょう。
鼻から不快な臭いがする場合に考えられる病気には、以下のようなものがあります。
副鼻腔炎とは、副鼻腔(鼻の穴の周りにある骨で囲まれた空洞)が炎症を起こしてしまう病気です。副鼻腔炎には急性と慢性があり、急性は細菌やウイルスの感染で発症し、膿性鼻漏と頬の痛みが特徴です。慢性は副鼻腔にある分泌物や膿が排出できなくなった状態です。
慢性副鼻腔炎の場合は膿がたまってしまうため、口や鼻水が臭うようになります。また、頭重感などが症状として現れることもあります。
副鼻腔炎は放っておくと鼻にポリープができ鼻が詰まったり、炎症が目の神経や脳に波及し、視力障害や頭痛、髄膜炎を引き起こしたりすることがあるので、臭い鼻水が気なり始めた方は一度医師に相談してみるとよいでしょう。
副鼻腔真菌症とは、副鼻腔にカビが増殖して臭いのある鼻水、鼻づまり、口臭、倦怠感などの症状が出る病気です。
症状が慢性副鼻腔炎と非常によく似ていますが、慢性副鼻腔炎のように薬で治療することは難しく、手術によってカビを取り除く処置が必要になります。
萎縮性鼻炎とは、鼻の中の粘膜が硬くなって乾燥したり、かさぶたができたりして粘膜に異常が生じてしまう病気です。外気にあるほこりやゴミを取り除くはたらきをする粘膜が正常に機能しなくなるため、鼻の中が不衛生な状態となり、不快な臭いが出るようになります。このほか、大量の鼻血が出ることもあります。
はっきりとした原因は分かっていませんが、生活習慣との関連性が指摘されていますので、医師からこの病気の診断を受けた場合は生活リズムや食生活などを見直してみることも大切です。
慢性鼻炎とは、鼻の粘膜が長期間にわたって炎症を起こしている状態のことを指します。炎症で粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなり、息苦しくなったり、慢性的な鼻づまりになったりします。慢性鼻炎が副鼻腔炎を合併している場合は、鼻や口から悪臭が出ることがあります。発症の原因はさまざまで、ダニや花粉などのアレルギー物質、大気汚染物質、風邪などが挙げられます。
鼻腔異物とは、鼻の中に異物が入ってしまうことを指します。異物が入ったままにしてしまうと感染を引き起こして悪臭がしたり、臭いのある鼻水が出たりすることがあるので、身に覚えのある場合は医師に相談することをおすすめします。
鼻から強い異臭がある、いつまでも良くならない、鼻水など他の症状も続いているような場合には耳鼻咽喉科を受診しましょう。
その際、臭いが出始めた時期や鼻水の色、発熱・倦怠感など全身の症状の有無、鼻に関連する病気や手術の経験などをできる限り詳しく医師に伝えましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。