鼻水が黄色い:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

鼻水が黄色い

帝京大学医学部附属溝口病院 耳鼻咽喉科 教授/科長

白馬 伸洋 先生【監修】

鼻水は大気中のゴミやウイルス、細菌などから体を守るために鼻の粘膜から出る液体です。通常は透明な色ですが、病気が原因で黄色っぽい色になることがあります。

  • 熱や咳など風邪の症状と一緒に黄色い鼻水が出てきた
  • 黄色い鼻水に加え、目や鼻周りの痛みがある
  • 色のついた鼻水が何週間も続いている

このような症状が現れたときには、どのような原因が考えられるのでしょうか。

鼻水の色や質感の変化は、何らかの病気のサインであることがあります。

鼻水の色の中でも黄色い鼻水はウイルスや細菌への感染が原因であることも多く、この場合には何かしらの病気が隠れている可能性があります。ただし、鼻水の色の変化が必ずしも病気のサインであるというわけではなく、病気以外の原因によっても鼻水が黄色っぽく見えることもあります。

急性上気道炎

急性上気道炎とは、ウイルスなどに感染したことで上気道(鼻からのどにかけた部分)に炎症が生じる病気です。鼻水やくしゃみ、喉の痛み、せき、発熱、頭痛(たん)などの症状を伴うことがあります。

急性上気道炎の症状として黄色い鼻水が出る場合、ウイルスと戦ったあとの死滅した白血球や免疫細胞が鼻水に混ざって色がついている状態なので、それほど心配しなくてもよいとされています。

急性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎とは、鼻の穴(鼻腔)を取り囲む周囲の空洞(副鼻腔)部分が風邪などによって急性の炎症を起こしてしまう病気です。症状としては、粘り気のある黄色っぽい鼻水、鼻づまり、咳や痰などがあり、炎症が進行すると目の周りや頬、鼻が痛み出すことがあります。

治療せずに放置すると、場合によっては激しい頭痛や吐き気に襲われることがあるので、こうした状態になる前に医療機関を受診することが望まれます。

慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎とは、粘り気のある黄色っぽい鼻水、鼻づまり、咳や痰などの症状が一定期間(目安は12週間)続く病気で、上で説明した急性副鼻腔炎から続発することが多いです。

また、上に挙げた症状のほか、副鼻腔粘膜の腫れや鼻茸と呼ばれるポリープ、頭重感、嗅覚障害が現れることもあります。

上で挙げたように黄色い鼻水が特徴的な病気以外にも、鼻水全般が症状として現れる病気には以下のようなものがあります。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニ、動物の毛、虫などのアレルギー物質によって鼻粘膜にアレルギーが生じ、鼻水、鼻づまり、かゆみなどの症状が出る病気です。このほか、目と耳のかゆみ頭痛、食欲低下の症状が出る場合もあります。

アレルギー体質の方は鼻水が出やすい傾向にあるので、日常生活に支障が出るようであれば耳鼻咽喉科やアレルギー科の医師に相談してみてはいかがでしょうか。

血管運動性鼻炎

血管運動性鼻炎とは、空気の急激な寒暖差が引き金となって鼻水やくしゃみ、鼻づまりの症状が出る鼻炎です。ストレスなどから生じた自律神経の乱れが一因との指摘がありますが、はっきりとしたことはわかっていません。

まずは自律神経を整えることが第一なので、アレルギー性鼻炎でないのにもかかわらず鼻水が気になる方は、ストレス解消や生活習慣を見直すことをおすすめします。

髄液鼻漏

髄液鼻漏とは、脳や脊髄にある脳脊髄液が頭部の外傷などにより外部に漏れ出る状態のことを指します。髄液が漏れると鼻や耳の穴からさらさらとした質感の液体が流れ出てきますが、鼻水と勘違される場合も多く、髄液鼻漏だと判明するのが遅れることがあります。

髄液が漏れると頭蓋骨の内側に細菌が入りやすくなり、髄膜炎を起こす可能性があります。そのため、転倒やスポーツなどで頭部に強い衝撃を受けた後、水っぽい液体が鼻から流れていた場合は早急に医療機関を受診するようにしましょう。

黄色い鼻水が長期間続く、痛みなど、ほかの症状を伴う場合には早めに耳鼻咽喉科への受診を検討しましょう。

受診の際は黄色い鼻水が出始めた時期と鼻水の質感、顔面の痛みや発熱、頭痛や吐き気など鼻以外の症状の有無も併せて医師に伝えるとよいでしょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 発熱、額や頰の痛み、風邪のような症状がある
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。