鼻水が緑色:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

鼻水が緑色

国際医療福祉大学成田病院 耳鼻咽喉科 教授

岡野 光博 先生【監修】

鼻水は、寒暖差の激しい場所に出入りしたり軽い風邪を引いたりしたときなど、さまざまな場面や状況で見られる症状であるため軽く考えられがちです。しかし、中には思わぬ原因が背景にあるケースも少なくありません。鼻水の色や性状は原因によって大きく異なりますが、特に“緑色の鼻水”には注意が必要です。

  • 鼻づまりがひどく、時々ドロッとした緑色の鼻水が出る
  • 発熱や喉の痛みとともに透明な鼻水が出ていたが、緑色に変化してきた
  • 鼻の奥に痛みや悪臭があり、血液が混ざったような緑色の鼻水が出る

これらの症状が現れたとき、原因としてどのようなものが考えられるのでしょうか。

緑色の鼻水は病気のサインである可能性が考えられます。緑色の鼻水が現れる代表的な病気は以下の通りです。

緑色の鼻水は、鼻や副鼻腔の炎症によって引き起こされることがあります。

慢性副鼻腔炎

副鼻腔内にウイルスや細菌などが侵入し、慢性的な炎症が生じる病気のことです。発症すると本来は空洞である副鼻腔内に(うみ)が混ざった粘液がたまるようになるため、鼻づまり・顔の痛み・頭重感などの症状を引き起こします。また、副鼻腔内にたまった粘液が排出されると粘り気の強い緑色の鼻水として現れます。多くの場合、両方の鼻に症状が見られます。

副鼻腔炎を発症して間もない頃は透明~白色の鼻水が見られますが、慢性化するとウイルスや細菌、白血球の死骸などが大量に含まれるようになるため緑色になっていくのが特徴です。

慢性副鼻腔炎
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急性上気道炎(風邪)

喉や鼻の粘膜にウイルスや細菌が感染することによって発症する病気です。いわゆる“風邪”と呼ばれるもので、発熱や倦怠感、喉の痛みなどの症状とともに鼻水や鼻づまりが見られることがあります。発症したばかりのときには透明で水っぽい性状の鼻水が見られますが、時間が経過するとウイルスや細菌などの病原体と戦った白血球の死骸が含まれるようになるため、粘り気のある緑色の鼻水に変化してきます。

副鼻腔真菌症(寄生型副鼻腔真菌症)

副鼻腔の中にカビ(真菌)が入り込んで炎症を起こすことがあります。真菌が塊になった場合、細菌感染を伴って緑色の鼻水を生じます。塊が両方の鼻に生じることはまれで、通常は左右の鼻どちらかの片側性です。子どもには少なく、60~70歳代の高齢者に多く発症します。

副鼻腔真菌症
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多発血管炎性肉芽腫症

まれに血管の炎症によって緑色の鼻水を生じます。肺や腎臓にも症状が見られ、全身的な症状(発熱や倦怠感など)が見られることもあります。子どもには少なく、30~60歳代の中高年に比較的多く発症します。鼻水、鼻づまりに痛みを伴うこともあります。治りにくい病気で、指定難病に認定されています。

多発血管炎性肉芽腫症
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緑色の鼻水は、炎症以外に鼻や副鼻腔内にできる病気によって引き起こされることがあります。

鼻副鼻腔がん

鼻や副鼻腔内に発生するがんのことです。

珍しいがんのひとつで、発症しても早期の段階では症状が現れにくいとされています。しかし、進行すると鼻づまりや顔の痛み、目の違和感などが生じます。がんの組織から出血やなどが生じると悪臭を伴う鼻水が出ることも少なくありません。鼻水の色はさまざまですが、が多い場合には緑色になります。

緑色の鼻水は、鼻や副鼻腔内に何らかの病気があるサインと考えられます。しかし、鼻水自体は日常的によく起こりうる症状であるため軽く考えられがちです。適切な治療をしないと重篤な状態に陥る病気の可能性もあるので、注意が必要です。

特に、緑色の鼻水が長く続く場合や喉の痛みや発熱などの症状を伴う場合、悪臭や出血を伴う鼻水が出る場合などは、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。

初診に適した診療科は耳鼻咽喉科ですが、小児の場合はかかりつけの小児科で相談するのもひとつの方法です。また、成人の場合も通院中の内科などがあれば、まずはかかりつけ医に診てもらうのもよいでしょう。

 

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。