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インタビュー

膵臓がんの早期発見のために―正しい知識を持つことが大切

膵臓がんの早期発見のために―正しい知識を持つことが大切
梶山 潔 先生

大分赤十字病院 副院長兼外科統括部長

梶山 潔 先生

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この記事の最終更新は2016年01月16日です。

発見された時にはすでに進行していることが多いのが膵臓がん(膵がん)です。膵臓がんで完治を目指せるのは手術だけですが、進行している状態で見つかることが多いため、発見時に手術可能な人は3~4人に1人です。国内のみならず、世界的な課題だという膵臓がんの早期発見への取り組みについて飯塚病院外科統括部長の梶山潔先生にお話をお伺いしました。

飯塚病院がある筑豊地域は高齢化の進んだ地域で、膵臓がんをはじめ、病気に対する住民の知識や情報量は都市部と比べると低いかもしれません。近隣で著名人などが膵臓がんで亡くなられたりすると注目を集めるのですが、膵臓がんはどうしても胃がん大腸がん乳がんなどより関心度が低いのが現状で、正しく理解されていないことが少なくありません。

「身近にこんな病気があるのですよ」ということをわかってほしい、そんな思いから啓蒙活動に取り組んでいます。少しでも膵臓がんについて理解してもうため、地域の婦人会や企業の退職者の会などの小さな集会での講演などの活動を行っています。

また、より多くの住民の方に膵臓がんについて知ってもらうための情報発信もしています。その一貫として、新聞の地方版の紙面の健康コラムのコーナーに、膵がんに関する記事を何度か書かせていただきました。当初はあまり住民の方々の反応を感じることはありませんでしたが、最近は患者さんやご家族の方などからよく声をかけられるようになってきています。継続して啓発活動を行うことが大切だと感じます。

膵臓がん治療を行うにあたっては、地域の開業医との連携も重要です。外科部長になってから約1年半かけて、地域にある105か所の開業医の先生方に挨拶回りを行いました。顔の見える関係を作ることで垣根がとれて、以前に比べてよりスムーズに連携が取れる先生が増えてきました。

先ほどもお話したように、進行してから見つかることが多い膵がんの早期発見は世界的な課題となっています。日本においては、胃カメラや胃レントゲン、便の潜血反応など、胃がん大腸がんの早期発見には検診が重要な役割を果たしてきました。膵臓がんを早くみつけるのに有効なエコー(超音波検査)はカメラやバリウムのように大変な検査ではありませんが、一般的な健診の項目には入っていないのが現状です。

また膵がんは糖尿病との関連も示されているため、高齢になって新たに糖尿病になった方や以前からあった糖尿病のコントロールが急に悪くなった方々に対してエコーを行うだけでも、膵臓がんの早期発見につながることが期待されています。すでに一部の地域では糖尿病の患者さん全員に膵臓がんの検査を行って、早期発見を試みている施設もあります。

啓発活動などでよくお話することは、体調が悪くなってクリニックなどを受診して検査をする際には、「エコー検査も一緒にして下さい」と頼むようにということです。

本来、膵臓がんは難治性の病気ですが、手術、化学療法などの集学的治療により完治される方もいらっしゃいます。ごく稀に起こることなのですが、 膵臓がんの再発からも治っていかれる方もおられます。このようなことは、全国どこの専門医もおそらく経験されていることだと思います。

はっきりとした医学的根拠はないのですが、どうしてなのかわからないけれど良くなられる患者さんがおられます。つまり、膵臓がんは難治がんですが、根気よくあきらめずに治療を続けることで奇跡的に治ることもあるということです。

膵臓がんは再発しやすいがんです。手術後も3か月に1回は検査をして再発の早期発見に努めますが、再発がみつかったとしても残念ながら高い確率で治癒を期待できる有効な治療法はありません。しかし、先ほどのように理由は分からないですが、良くなる方がおられます。このようなこともあるので、最後まであきらめず希望を持つことも忘れないでほしいと伝えていきたいです。

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