インタビュー

がん治療のスペシャリストが伝えたいこと―がんと言われたあなたへ part1

がん治療のスペシャリストが伝えたいこと―がんと言われたあなたへ part1
渡邊 清高 先生

帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 病院教授

渡邊 清高 先生

この記事の最終更新は2015年05月18日です。

がんと診断された方へ。がん治療のスペシャリストである腫瘍内科医の渡邊清高先生からのメッセージを6回に分けてお届けします。part1では、医療者と話し合いながら治療していくことの大切さについてお伝えします。

がんは30年以上日本人の死因第一位となっています。最新の統計では、年間36万人の方ががんで亡くなっていて、85万人の方が新たにがんと診断されています。将来的には年間90万人以上の方が新しくがんにかかると推測されています。

高齢化が進行していることもあり、がんは日本の医療や健康において大きな問題になりつづけると考えられます。がんには、健康を害するという問題に加えて、がんによって社会生活が脅かされる、治療や療養に必要なコストが重くのしかかるなど様々な問題があります。医療だけでなく社会的にも重要性の高い問題といえるでしょう。

一方で、予防、検診、診断技術ともにがんの医療も進歩してきています。例えば、抗がん剤では、従来の化学療法に加えて、“分子標的治療”という新しい治療法が開発されるなどめざましい変化を遂げています。副作用に対する治療も改善してきました。

がんの種類によっては、完治が期待できたり、根治が得られなくても、治療を継続しながら日常生活を維持したりすることが一般的になりつつあります。

今までは治療やケアの方針について、医師をはじめとする医療者が主体的に担うことが、一般的でした。治療やケアの選択肢が限られていたことも背景にあります。

しかし、現在は患者さんやご家族のニーズに応じて治療法も変わってきます。患者さんがご自身の病気について理解したうえで、治療の目的とゴール、治療に伴う副作用や合併症など、メリット・デメリットについて理解し、“お任せ医療”ではなく“話し合いながらがん治療を一緒に考えていく医療”にしていくことが大切です。

医師からの説明を聞くときには、病名や治療法について聞くだけでなく、がんと診断された根拠になる検査結果や、広がりの程度(大きさはどうか、転移はあるか、など)、などについても質問してみるとよいでしょう。病気による生活への影響や今後の見通しなどを積極的に医師に聞きましょう。

そして、“どの治療を受けたいか”だけでなく、“この先どのように病気と向き合っていくか、何を大切にしていきたいか”といったことをお話しいただくことが大切です。不安な点や質問などは自分で抱え込まずに、医師や看護師などの医療スタッフにお話しください。病気や治療と直接関係ないと思うこと、例えば仕事や家庭のこと、お金のことについてお話しいただいても構いません。

ご本人の悩みは、口に出してお話しいただくことで初めて伝わります。医療スタッフは、多くの経験や知識をもとに、解決するためのヒントを示してくれると思います。悩みや不安はその場で相談してしまった方が、ご本人にとってもすっきりすることでしょう。

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