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抗がん剤治療の副作用について―がんと言われたあなたへ part5
がんと診断された方へ。がん治療のスペシャリストである腫瘍内科医の渡邊清高先生からのメッセージを6回に分けてお届けします。がんの治療では、抗がん剤治療を行うことも多いですが、抗がん剤と聞くとどうし...
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抗がん剤治療の副作用について―がんと言われたあなたへ part5

公開日 2015 年 05 月 24 日 | 更新日 2017 年 05 月 07 日

抗がん剤治療の副作用について―がんと言われたあなたへ part5
渡邊 清高 先生

帝京大学医学部内科学講座 腫瘍内科 准教授

渡邊 清高 先生

がんと診断された方へ。がん治療のスペシャリストである腫瘍内科医の渡邊清高先生からのメッセージを6回に分けてお届けします。
がんの治療では、抗がん剤治療を行うことも多いですが、抗がん剤と聞くとどうしても副作用の悪いイメージをお持ちの方も多いかもしれません。part5では、抗がん剤の副作用についてお伝えします。

まず知っておいていただきたい、抗がん剤治療の目的について

がんに対する薬物療法は、近年急速に進歩してきました。数多くの新しい治療薬が開発され、様々な検証を重ねながら治療成績は日々向上しています。

しかし、抗がん剤を使えば必ずがんが治るということではありません。がんの種類によっては、抗がん剤単独での治療によって根治(がんを根絶し完治を目指すこと)を期待できる場合もありますが、多くの場合は根治を目指すことは難しい場合が多く、がんを小さくすることで、延命効果や痛みなどの症状を和らげることを目的として治療を行います。手術や放射線治療など、他の治療と組み合わせることで治療効果を高めることを目的として行うこともあります。

そして抗がん剤には治療効果を期待できる一方、副作用がつきものです。医療従事者は、それらのリスクを踏まえた上で、患者さんに抗がん剤治療を提案しています。

副作用ではなく、まずは主作用の理解を

抗がん剤というと、ゲーゲー吐いたり、髪の毛が抜けたり、といった強い副作用が起こるというイメージをお持ちかもしれません。

しかし、抗がん剤を用いた薬物療法の進歩は治療成績の向上だけでなく、副作用の管理の点でも目覚ましいものがあります。薬の種類によって、想定される副作用や頻度をある程度予測することができますし、抗がん剤の副作用に対する治療もがん治療の重要な要素であるという認識が広がってきました。

一方で、副作用ではなく、抗がん剤治療の目的である主作用(治療効果)についての対話があまり進んでいないように感じています。まずは主作用について、すなわち「治療の必要性があるのかどうか」、「治療によってどのくらい効果が期待できるのか」を理解した上で、「こうしたメリットに対して、治療に伴う副作用が許容できるかどうか」を考えていく必要があります。そして、これは医療従事者、ご家族だけでなく、患者さんご本人も含めてよく理解したうえで治療に臨んでいただく必要があります。

まず自分の病気、治療の必要性、メリット・デメリットを知ることが、治療のスタートラインです。分からないことや心配ごとがあれば、いつでも周りの医療従事者に聞いてみてください。その場では解決しないことがあるかもしれませんが、治療やケアに関する経験や知識、信頼できる情報源をもとに、相談に乗ってくれると思います。

目に見える副作用、見えない副作用

抗がん剤の副作用には、目に見える副作用と目に見えない副作用があります。

例えば、目に見える副作用としては、脱毛・口内炎など、体の変化を実感できるものがあります。下痢(げり)や皮膚の変化も、ご本人の症状として自覚することが多いので、「目に見える」と言えるかもしれません。

一方、目に見えない副作用としては、白血球が減る、手足がしびれる、吐き気などが挙げられます。検査をして初めて気づかれるものもありますが、しびれや吐き気といった自覚症状は、ご本人から伝えていただくことが、唯一の手がかりになります。気になることがあったら我慢しないで、きちんと伝えるようにしましょう。そのとき、いつごろから症状があるか、時間による変化はあるか(持続するか、時々起こるか、など)、何か症状を悪くするきっかけがあるか(食事の前にひどくなる、など)、症状が良くなるきっかけがあるか(体の向きや姿勢、など)といったことをお伝えいただくと、とても参考になります。

副作用への対処も進歩しています

上にも述べましたが、副作用に対する管理、マネジメントもかなり進歩してきました。副作用のリスクに応じて症状が出る前に副作用の治療を始めることができます。がんに伴う症状を抑えたり、治療に伴う副作用を和らげたりする治療のことを「支持療法」といい、がんそのものに対する治療法と同様に重要視されてきました。

以前は、抗がん剤の副作用は「我慢して時間が経つのを待つしかない」ということが多かったのですが、現在は「なるべく早めに、積極的に副作用の治療を行う」という考え方が一般的になってきています。

「副作用のことを話したら、我慢が足りないといわれるのではないか」とか、「治療がうまくいっていないのではないか」と思って、医師に言わないでいたり、不安になったりする必要はありません。我慢せず、気になることがあったら是非医師に伝えてみて下さい。すぐに対応できるものもありますし、今はつらくても、「数日たてばよくなる」という見込みが分かれば、気分がすっきりして気持ちが軽くなった、ということもあります。

患者さんとご家族、地域の視点でがんを診る。
日本人の2人に1人が一生のうちにかかる「がん」。がんの診療、臨床研究とともに、研修教育に携わる。がん対策の取り組みの一環として医療に関する信頼できる情報の発信と、現場と地域のニーズに応じた普及の取り組みを実践している。