
双極性障害という疾患をご存知でしょうか。双極性障害とは、以前躁うつ病と呼ばれていた疾患のことを言います。生物学的精神医学研究においては、双極性障害がどのような原因で起きるのか、解明する試みが行われてきました。今回は生物学的精神医学からみる双極性障害について理化学研究所 脳神経科学研究センター精神疾患動態研究チーム・チームリーダーである加藤忠史先生にお話を伺いました。
双極性障害は精神疾患の中で最も歴史が古いといっても過言ではありません。2000年以上前(紀元前の時代)から、同じ人間に躁(気分が昂ぶる状態)とうつが現れるという現象が確認されていました。このように、躁とうつを繰り返す疾患が躁うつ病で、現在では双極性障害と呼ばれるようになりました。
また、リチウムがうつ状態の再発予防に有効であると指摘されたのも100年以上前で、現在もなおリチウムが治療の第一選択薬になっています。リチウムという単純なイオンが有効であることからも、双極性障害が分子レベルの疾患であるというのは明らかですが、統合失調症や自閉症に比べて解明が遅れています。
双極性障害は、発症年齢が20〜30代に多く、才能もあり社会的に活躍してきた方が突然発症し、社会生活に大きな影響を及ぼしてしまう病気です。躁状態では浪費・ギャンブル・危険な性行動など、リスクの高い行動を取り、周囲の人間からの信頼を失ってしまいます。その結果、才能に応じた仕事につけなくなってしまうなどの非常に困難な状況に陥ってしまうことも少なくありません。
双極性障害は、リチウムのような気分安定薬を用いるとかなりコントロールできますが、リチウムには手が震えるという副作用がでる場合があります。リチウムを服用して躁・うつは予防できても、うまく字を書けないほどの副作用により仕事に支障をきたしてしまう、という場合もあり、一筋縄ではいきません。リチウムがなぜ効くのかは諸説があり、まだ完全には解明されておらず、そのためリチウムと同じ効果を持ち副作用が少ない薬は、未だ開発されていません。
双極性障害の創薬研究が進まない原因の一つは、記事4「双極性障害(躁うつ病)とミトコンドリアの関係」で述べますが、双極性障害の動物モデル(双極性障害の原因を導入した結果、双極性障害と同様の症状を示し、これに対して治療薬が同じように効果を示す動物)が作られていないことです。双極性障害において、予防効果を検定することのできる動物モデルを作成できなければ、双極性障害の予防薬を開発することが難しいのです。動物モデルが作られれば、リチウムと同様の効果で副作用が少ない薬が開発されるはずですし、患者さんのQOL向上に繋がるでしょう。現在、リチウムが効かない患者さんに対しても、その動物モデルを用いることで新しいメカニズムの薬が開発される可能性があります。
双極性障害は、さまざまな要因から引き起こされると考えられます。この要因を解明し、双極性障害はどのような疾患なのかを明らかにするためのアプローチが生物学的精神医学です。現在双極性障害の要因としては、ゲノム要因の他、周産期障害、ストレスなどの関与が考えられています。
ここでは、ゲノム要因について説明していきます。
双極性障害は、一卵性双生児では多くの場合二人とも発症しますが、二卵性双生児では二人とも発症するのは10%程度にとどまることから、ゲノムを基盤とした疾患であると考えられています。また、双極性障害とカルシウムが関係しているということが以前より指摘されていました。通常、細胞内のカルシウム濃度は細胞外の1万分の1という低い状態に保たれていますが、双極性障害の患者さんは細胞内のカルシウム濃度がやや高くなりやすいと報告されています。
なお、念のために申し上げますが、カルシウムが関係するというと、小魚などの食物からのカルシウム摂取を気にされる方もおられるかも知れませんが、食事から取るカルシウムの量はこの疾患には特に関係はありません。細胞内のカルシウム濃度を制御するのは、細胞膜のカルシウムチャネルや、細胞の中でカルシウムを取り込む細胞内小器官である小胞体・ミトコンドリアなどだからです。
私たちの研究グループではこの中でミトコンドリアに着目し研究を行っています。記事4「双極性障害(躁うつ病)とミトコンドリアの関係」で説明していきます。
加藤 忠史 先生の所属医療機関
周辺で双極性障害の実績がある医師
日本大学医学部附属板橋病院 精神神経科 部長
血液内科、腎臓・内分泌内科、糖尿病・代謝内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器・肝臓内科、腫瘍内科、脳神経内科、心療内科、小児科・新生児内科、精神科、皮膚科、消化器外科、心臓外科、血管外科、小児外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、形成外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、産婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、放射線診断科、放射線治療科、疼痛緩和外科、麻酔科、歯科口腔外科、病理診断科、臨床検査科、救急科
東京都板橋区大谷口上町30-1
東武東上線「中板橋」バス・タクシー乗り場なし 徒歩20分、東京メトロ有楽町線「千川」国際興業バス 日大病院行 バス10分
国立健康危機管理研究機構 国立国際医療センター 精神科科長 メンタルヘルスセンター長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、乳腺腫瘍内科、膠原病科
東京都新宿区戸山1丁目21-1
都営大江戸線「若松河田」河田口 徒歩5分、東京メトロ東西線「早稲田」2番出口 徒歩15分
慶應義塾大学医学部 ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座 特任教授
内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、放射線診断科、放射線治療科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都新宿区信濃町35
JR中央・総武線「信濃町」 徒歩1分、都営大江戸線「国立競技場」A1出口 徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」1番出口 徒歩15分、東京メトロ銀座線「青山一丁目」0番出口 徒歩15分
東京医科大学 精神医学分野主任教授
内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、心療内科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、消化器内科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、矯正歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、循環器内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科
東京都新宿区西新宿6丁目7-1
東京メトロ丸ノ内線「西新宿」2番出口またはE5出口 徒歩1分、JR山手線「新宿」西口 その他JR複数線、小田急線小田原線、京王電鉄京王線、都営新宿線なども利用可能 徒歩10分
六番町メンタルクリニック 非常勤
心療内科、精神科
東京都新宿区左門町2-6 ワコービル 4階
東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」3番出口 徒歩2分、都営新宿線「曙橋」A1出口、A4出口 徒歩10分、JR中央・総武線「信濃町」 徒歩10分、東京メトロ丸ノ内線「四ツ谷」1番、2番出口 徒歩12分
関連の医療相談が44件あります
ADHD、双極性障害
成人してから症状がでているのですが周りの音や人の声に敏感です。障害があって作業にいっているのですがいっかしにいることができず歩き回りたくなることがあるます。自分のおもいをまわりにうまくつたえれません。気持ちが落ち込み泣いてしまう事もあります。家族に理解してもらえません。自分自身どう付き合っていけばいいかわかりません
恋人の癌の介護,仕事 その後死別をきっかけに、双極性障害
10年くらいになります。今は,月1,診療内科へ通院しています。30年夜の飲食業しています。何度も何度も 経営者(18歳からの親代わり)に休んでは,復職 現在は 経営者本人が癌で辛いのに4か月も休んでる自分にもんもんとして,働かざる者...外出 電話 億劫です。周りが怠け者と思ってるんだろうとか,
私は30年
私は30年近くそううつ病を患っています、そして毎日服薬していますが治りません。と言う事は病気が、薬に勝っているのでしょうか?
そううつ病
そううつ病は、遺伝的要因がありますか?(性格が似ているも含めて)
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「双極性障害」を登録すると、新着の情報をお知らせします