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インタビュー

公開日 : 2016 年 01 月 11 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

メタボリックシンドロームの基準とは? メタボリックシンドローム予防と改善にはマグネシウムが効果的

メタボリックシンドロームは近年注目を集めている疾患群のひとつであり、定期的な健康診断が行われるようになってきました。このメタボリックシンドロームも、マグネシウム不足が関係していると、東京慈恵会医科大学教授 /糖尿病・代謝・内分泌内科 診療医長の横田邦信先生はおっしゃいます。両者はどのように関係しているのでしょうか? 先生のご研究に基づいたお話をしていただきました。

メタボリックシンドロームの基準

日本におけるメタボリックシンドロームの基準は、第一に腹囲が男性で85㎝、女性で90㎝を越えていることが必須項目となります。加えて、以下の3点のうち2点以上が当てはまると、メタボリックシンドロームと診断されます。

血清脂質の中性脂肪(トリグリセリド)

150㎎/dL以上

またはHDLコレステロール値が40㎎/dL未満、あるいはその両方

血圧 収縮期130mmHg以上または拡張期85mmHg以上、あるいはその両方
血糖 空腹時血糖値が110㎎/dL以上

メタボリックシンドローム患者数の状況

厚生労働省の統計データによると、メタボリックシンドローム患者数は、予備軍を含めておよそ520万7000人(2012年)といわれています。

患者数は食生活の欧米化に伴って、今後も増加していくことが予測されます(特に中高年)。また、40~74歳では、男性の2人に1人、女性の5人に1人が予備軍を含めメタボリックシンドロームとして疑われています。

日本のメタボリックシンドローム診断の問題点

日本のメタボリックシンドローム診断は、第一に「腹囲が一定数以上であること」だと先ほど述べました。しかし、実はこの診断基準を必須項目として用いているのは、世界でもごくわずかなのです。

本来のメタボリックシンドロームの疾患概念の病態は根底にインスリン抵抗性が存在することです。インスリン抵抗性とは、インスリンの効き目が悪くなっている状態のことを指します。その結果血糖値が下がりにくくなっている状態です。

わが国におけるメタボリックシンドローム診断の問題点、特に、腹囲の必須項目としての妥当性の問題点が以前から指摘されています。2010年の厚生労働省の調査で、腹囲が基準値未満のグループと基準値をオーバーしているグループ双方から、前述した三つの危険因子がすべてそろっている方をピックアップして調査したところ、両群間で動脈硬化性血管合併症の発症頻度に大きな差がなかったことが分かっています。

つまり、腹囲が基準値未満で肥満ではないと診断された方であっても肥満と診断された方と比較して合併症のリスクに差がないことから腹囲基準のあり方に疑問が生じているのです。

マグネシウムの摂取不足でメタボリックシンドロームのリスクが上昇する

メタボリックシンドローム発症のリスクに関しても、マグネシウム不足が関係してくるといえるでしょう。

マグネシウムの摂取が不足すると、代謝促進の原動力が減るためエネルギー代謝が鈍くなり、糖代謝異常が生じます(インスリン抵抗性の増悪によります)。また、メタボリックシンドロームに特徴的な脂質代謝異常も引き起こすことが分かっています。

加えて、マグネシウムは細胞内のカルシウム濃度を調整・あるいはカルシウムと拮抗する働きを持っているため、マグネシウムが不足するとカルシウムが細胞内に過剰蓄積し、高血圧を引き起こす原因のひとつになります。このように、マグネシウムが不足することでメタボリックシンドロームの危険因子となる異常状態をすべて説明できることができるのです。

マグネシウムを摂取するとどのくらいメタボリックシンドロームが改善されるのか?

若いときから意識して推奨量のマグネシウムを摂取している方は、メタボリックシンドロームのリスクが最大31%低下することも2006年に臨床栄養疫学研究が報告しており、その論文が高血圧の治療ガイドラインにも引用されています(He K, et al., Circulation 113:1675-82.2006. )。 また、マグネシウムを一日100㎎多くとるごとに、メタボリックシンドロームのリスクが17%低下することも分かっています。(Dibaba D, et al., Diabetic Medicine doi:10.1111/dme.12537,2014. )