インタビュー

糖尿病やメタボリックシンドロームを予防するために大切なこと

糖尿病やメタボリックシンドロームを予防するために大切なこと
横田 邦信 先生

社会保険診療報酬支払基金東京支部 医療顧問、東京慈恵会医科大学 客員教授、東京慈恵会医科大学附...

横田 邦信 先生

この記事の最終更新は2016年01月12日です。

『マグネシウム不足で糖尿病リスクが上がる。マグネシウムと糖尿病の深い関係』『メタボリックシンドロームの基準とは? メタボリックシンドローム予防と改善にはマグネシウムが効果的』で、糖尿病とマグネシウム、メタボリックシンドロームとマグネシウムの関係についてそれぞれご紹介しました。本記事では、これらの病気を予防するためにどうすればよいのかをご説明します。東京慈恵会医科大学教授 /糖尿病・代謝・内分泌内科 診療医長の横田邦信先生のご研究に基づいた最新のお話をしていただきました。

糖尿病が進行すると糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの細小血管障害、脳梗塞狭心症心筋梗塞動脈硬化などの大血管障害、足の壊疽、歯周病認知症などを引き起こし、症状は多岐にわたります。最悪の場合失明の恐れや下肢切断、透析が必要となることもあります。このように、糖尿病の予後(治療後の経過)は未治療では非常に悪く、生活に支障が出てしまうことがほとんどです。

危険因子のそれぞれの程度が軽くても、複数重積すると動脈硬化が進みやすくなり、狭心症心筋梗塞脳梗塞などのリスクが高まります。

マグネシウムを十分に食事で摂取することが重要な予防策のひとつだと考えます。それはすなわち、『マグネシウムが不足するとどうなる? マグネシウムは健康維持・増進に欠かせない栄養素』で提唱した、伝統的な食生活を食卓に取り入れることです。また、塩分を控えるよう意識することも重要となりますし、適度な運動や規則正しい生活習慣をととのえることももちろん大事です。

ただし、たとえば蕎麦にマグネシウムが多く含まれているからといって、毎食毎日蕎麦ばかりを食べることはよくありません。これでは単品ダイエットと同じになってしまい、マグネシウム以外の他の栄養素が不足してしまいます。サプリメントを使うのも一つの手ですが、まずは、食事からの摂取を心掛けましょう。

『マグネシウムが不足するとどうなる? マグネシウムは健康維持・増進に欠かせない栄養素』で述べた「そばのひまごとまごは(わ) やさしいこかい? なっとく!」という語呂合わせした標語を頭に入れていただき、食卓に取り入れることで、無理せずとも自然にマグネシウムを摂取することができますし、理想的なバランスの食生活を送れるでしょう。

なかなか自炊ができないという方は、日々の工夫をすることでもマグネシウムを摂取することが可能です。

下記に、日常生活でマグネシウムを上手に取り入れられるポイントを紹介します。

●飲料編

水を飲まないという方は、まずいらっしゃいません。このお水を買う際、なるべくミネラル分の多く含まれる硬水を選ぶだけでもだいぶ変わります。海外産のミネラルウォーターは硬水であることが多いです。ただし、栄養成分表を見て、カルシウム含量ではなくマグネシウム含量が多いものを選ぶようにしてください。日本のミネラルウォーターのほとんどが硬度100未満の軟水です。また、カルシウムの多い水はえぐみがあるのでなるべくカルシウムの少ないほうが飲みやすいです。 

なお最近では、海洋深層水を利用した、マグネシウムが豊富でカルシウムの少ない飲みやすいスパークリングも共同開発されています。

●朝食編

朝食をパン中心のメニューにしていた方で、どうしても洋食でないと嫌だという方は、白いパンでなく全粒粉パン、ライ麦パン、胚芽パンなど非精製の穀物を材料にしたパン、あるいは燕麦(オートミール)などに変えるとマグネシウムが効率よく摂れます。

ご飯のおともになる海苔、味噌汁、魚類などもマグネシウム含量の多い食品であり、米飯中心の朝食を食べている方は、献立を意識せずとも自然とマグネシウムの多いメニューが完成します。

●おやつ編

糖尿病患者さんは一切甘いものを食べられない、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、決してそうではありません。決められたカロリー内で、種類を選べばいただくことは可能です。

お勧めは、フルーツ類です。フルーツ類は、バナナを代表としてマグネシウムが多く含まれます。また、カロリーも低く、ビタミンも豊富に含まれています。フルーツを一日に一回はデザートとして加えることはむしろ推奨します。

●ストレス対策

ストレスもマグネシウム不足に関与することが分かっています。具体的には、ストレスを受けることでマグネシウムの尿中排泄が増加し、マグネシウムが不足することでインスリン抵抗性が増悪し糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクが高まるというメカニズムです。

つまり、ストレスをうまくためないように意識することも、糖尿病やメタボリックシンドロームを予防するために重要な点のひとつであり、このことを理解しておくとよいでしょう。

 

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  • 社会保険診療報酬支払基金東京支部 医療顧問、東京慈恵会医科大学 客員教授、東京慈恵会医科大学附属病院 糖尿病・代謝・内分泌内科 客員診療医長

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