インタビュー

薬疹の治療と予防策ーアレルギーとの付き合い方とは?

薬疹の治療と予防策ーアレルギーとの付き合い方とは?
相原 道子 先生

横浜市立大学 学長、横浜市立大学 医学部皮膚科教授、横浜市立大学 大学院医学研究科環境免疫...

相原 道子 先生

この記事の最終更新は2016年02月24日です。

薬疹は軽症から中等症、重症まで幅広く症状の度合いがあります。どの程度重症であるかによって、治療方法も異なってきます。基本的には疑われる薬剤の服用を中止することが第一ですが、それでも症状が治まらない場合にはステロイドなどの薬を使用することもあります。今回は薬疹の治療から予防法、そして国が実施している薬疹救済給付制度についてご説明します。横浜市立大学附属病院皮膚科教授の相原道子先生にお話しいただきました。

薬疹の症状があまり重篤でない場合は、疑わしい薬剤の服用を中止するだけで軽快します。

中等症の場合は、薬剤を中止するだけで軽快することもありますが、かゆみが強かったり紅斑が著しく多発したりする場合は、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬、中用量までのステロイド薬を投与することもあります。

スティーヴンス―ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)など重症薬疹の場合は特殊な治療が必要となります。(詳細は記事5『重症薬疹の治療と経過』

アレルギー反応は一生続いてしまうため、ほとんどの場合、薬疹を起こしてしまった薬をその後内服できません。

原因となる薬を自らが知り、それに関連する内容の薬を飲まないようにすることが第一の予防策となります。どうしてもという場合は、なるべく飲む薬の種類を少なくして、飲む期間も短期間に留めます。

また、自分が薬疹にかかったことがあることを、受診のたびに医師や薬剤師に示す(薬疹カードの提出)ことも大切です。市販薬には医師や薬剤師のチェックが入らないため、患者さん自身が知識を蓄え、成分にアレルギー反応を起こすものが含まれているかを確認していく必要があります。

どのようなケースでも、原因となる薬が何なのかをしっかりと突き止めておくことが大事です。

医薬品副作用被害救済制度とは、病院やクリニックなどで投与された医薬品を、用法用量を守って正しく使用したにもかかわらず、薬疹などの健康被害を受けてしまった方に対して設けられている公的制度です。入院治療を必要とするほど重症化した疾病や障害が起こってしまった場合、救済の対象になります。

この制度を受けるには、医師の診断書や投薬証明書など、複数の書類を患者さんが医薬品機構に提出する必要があります。その書類をもとに、薬事・食品衛生審議会で判断がなされ、厚生労働大臣の判定結果をもとに救済給付ができるかが決まります。
 

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