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インタビュー

プリオン病・ヤコブ病・クールー病とは?ー感染経路と予防の取り組み

プリオン病・ヤコブ病・クールー病とは?ー感染経路と予防の取り組み
山田 正仁 先生

金沢大学 医薬保健研究域医学系 教授

山田 正仁 先生

プリオン病は、ヒトにも動物にも感染する「人獣共通感染症」です。本記事では、プリオン病、ヤコブ病、クールー病の感染経路と感染の予防について述べていきます。

※本記事は、厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業(難治性疾患克服研究事業) プリオン病及び遅発性ウイルス感染症に関する調査研究班の研究代表者である、金沢大学神経内科 大学院医薬保健学総合研究科 脳老化・神経病態学(神経内科学)教授の山田正仁先生にご監修いただいております。

プリオン病は、もともとヒトの体内に存在する「正常なプリオン蛋白」が感染性をもつ「異常プリオン蛋白」に変化し、おもに中枢神経系に蓄積し、中枢神経機能を障害する疾患です。発症すると死に至り、ヒトにも動物にも感染する「人獣共通感染症」です。また遺伝性も存在する難病です。

感染因子がウイルスや細菌などではなく、異常プリオン蛋白そのものであるということです。プリオン病の治療法はいまだに存在せず、予防することが重要となります。

しかし、正常なプリオン蛋白が異常プリオン蛋白に変化してしまうメカニズムがいまだ不明であること。それに加え、通常の消毒や滅菌法ではその感染力を完全には除去できないといった難点があります。

日本ではプリオン病の患者の大部分である約80%が孤発性、約20%が遺伝性、残り数%が獲得性です。3つすべてのタイプのプリオン病に感染性があります。

孤発性は感染の因果関係がいまだ分かっていませんが、遺伝性は正常プリオン蛋白遺伝子の変異が原因で発症すると考えられています。

獲得性プリオン病はプリオン病にかかっているヒトから他のヒトへの感染によって発病したり、人獣共通感染症としてプリオン病の動物からヒトへの感染によって二次的に起こるプリオン病です。何らかの理由により、外部から異常プリオン蛋白が体内に持ち込まれることで感染が成立し、発症するものです。

獲得性プリオン病には医原性プリオン病や変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)、クールー病などが含まれます。

医療行為が原因で感染したプリオン病のことです。医原性プリオン病の中で発生件数の多い代表的なもの硬膜移植によるものです。ヒト下垂体ホルモン製剤から感染した例も多く報告されています。

そのほかでは、角膜移植や深部脳波記録用の電極や脳外科手術による感染例が少数報告されています。

牛の海綿状脳症(BSE)、通称“狂牛病”との関係が指摘されているものです。

感染型プリオン蛋白は牛の脳や脊髄に沈着しており、これらの部位を原料とした家畜のエサによりBSEの感染が広がったといわれていますが、脳脊髄以外の臓器でもプリオン蛋白の存在が示唆されています。BSEにかかった牛肉を食べたヒトが変異型CJDという新たなタイプのプリオン病を発症したと考えられています。

人肉を食べる風習をもつパプアニューギニアのある限られた部族の間で流行したプリオン病です。

また、2003年にイギリスにおいてvCJDの患者の献血血液から二次的にvCJDが発生した可能性のある事例が初めて報告されました。ただし日本においては、これまでイギリス、フランスのvCJD発生国からの血液製剤の輸入の実績はありません。

このように、移植などで体内に直接異常プリオン蛋白が持ち込まれて感染がおこりますが、患者さんの肌に直接触れたり、会話したりすることで感染したという報告はありません。つまり、通常の社会生活の中で感染することはありません。そのほか、現在までに母子感染・性的接触による感染の報告もありません。また、授乳中に異常プリオン蛋白が検出されたという報告もありません。

プリオン病の感染予防対策として、感染動物の肉が流通して感染動物の肉や臓器が食卓に並ぶことがないよう、また、医療行為でプリオン病が感染したりすることがないよう、徹底した検査や規制や感染防御策がとられています。また、患者さんにおいては日常生活に特別な注意は必要ありませんが、他の人への感染のリスクを避けるため、献血はできません。また、必ずこの病気と診断されていることを医療機関に伝えなければなりません。感染の可能性がある場合や不安がある場合は公的機関で随時相談を受け付けています。

厚生労働省では、健康局疾病対策課や食品安全部企画情報課において相談の対応を行っています。献血に関しては、医薬食品局血液対策課で相談できます。また、都道府県などの地方自治体においても、保健所などで相談できる体制が整備されています。

また、医療従事者の方はCJDの二次感染のリスクを減らすため、CJDの感染性が高い医療行為は、医療器具などの取り扱いや処理をプリオン病感染予防ガイドラインに基づいて行う必要があります。特に認知症が疑われる患者さんや神経症状をきたしている患者さんには、未診断のCJD患者さんが含まれている可能性があります。ですので、感染のリスクが高い医療行為を行う場合は事前にCJDかどうかを診断しておくことが必要です。

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