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インタビュー

化粧品の役割

化粧品の役割
関東 裕美 先生

東邦大学医療センター大森病院 皮膚科 臨床教授

関東 裕美 先生

肌荒れには、乾燥をはじめとしてさまざまな原因があります。しかし、その原因が化粧品であることはそれほど多いものではないようです。自分の体質や皮膚状況に応じて洗浄・保湿・遮光対策をしっかり行っていれば、多くの方が健康的な肌を維持できると東邦大学医療センター大森病院皮膚科教授関東裕美先生はおっしゃいます。化粧品の役割について改めてうかがいます。

日本の大手メーカーの化粧品は世界の化粧品と比較しても安全だと思っていたのですが、近年、消費者要求に答えてプラスαの機能を望み、企業により有効成分の研究がなされ機能性化粧品といわれる製品が増えてきて新たなかぶれを生じているようです。一方、適正な価格の製品を選ぶことも、成分調整や検査にきちんと配慮されているか判断する意味で重要です。海外化粧品は、香料や防腐剤の基準が日本と違うことも踏まえて自分に適した化粧品を選べば問題が起こることは少ないのです。

多くの機能を望んで、他人が良いから自分にも効果があると思い込むのは危険です。基礎化粧品で、「保湿する」あるいは「メイクアップ」が目的の化粧品ならば、安全に使用ができるのではないでしょうか。

アレルギーを起こしやすい化学物質の評価は重要です。私たちの生活を支えるさまざまな化学物質、化粧品成分などは世界共通のアレルゲンで、各国でパッチテストが実施されています。パッチテストの陽性率でアレルギーを起こしやすいかどうかを判断し、化粧品メーカーはそれら陽性率の高い成分の扱いに配慮する義務があります。たとえば低刺激性の化粧品には防腐剤を使用しないで小型容器にする、陽性率の低い防腐剤を使用するなどの配慮がなされています。

一方、既製品が信用できないために自分で化粧品を作る方もいらっしゃるようです。その場合、安定剤や防腐剤を入れない製品では酸化して変性しないか、微生物の繁殖はどうかなどむしろ心配な要素が増えてしまいます。既製品はメーカーの責任によって微生物チェックや酸化防止処理を行ってから流通させており、むしろその点では安心です。

現代社会では抗菌を好まれることが多く、抗菌防腐効果のある化学物質は化粧品以外の家庭用品、衣類やマットなどの家庭用品に多用されています。いったん防腐剤アレルギーが成立してしまうと種々の製品で反応するようになってしまいますから、皮膚障害を通じて社会規制がなされています。

たとえば、防腐剤の代名詞として挙げられるパラベンで反応を起こす方は、全国スタンダードアレルゲン陽性率の集計で見ると化粧品アレルギーを疑って受診する方の2%程度です。東邦大学大森病院の場合、他の病院にかかってもなかなかよくならず、いわゆる「アレルギー性接触皮膚炎」の方が来院されることが多いため、全国の陽性率より高く3.6パーセント程度になりますが、多くの方が使って問題がないと考えられる数字です。

防腐剤以外にも、界面活性剤や香料などでアレルギーを起こすこともありますが、自分の反応してしまう成分を確認することで、たとえばパラベンアレルギーと診断されたらパラベンフリーの化粧品を選んで使用すれば問題ないことになります。化粧品を選ぶ際に成分確認をする癖をつけるのも、安全に化粧品を使うことにつながるかもしれません。

「植物性オーガニックは安全」と信仰して植物成分にかぶれる患者様もいらっしゃいます。スギ花粉症が増えている現代社会、「自分ではないもの」は異物ですから、天然成分にも過剰反応してアレルギーを起こしてしまうことがあるのは理解できると思います。

「自然製品が安全」と断言するのは難しいところで、私たちは化学物質の恩恵を受けて生活しているのですから、その異物をいかに取り入れて快適に過ごすかを考える必要があります。「天然化粧品が自分にとって安全」という保障はなく、逆に「天然でないものは自分にとって危険」という確証もないのです。

肌荒れで皮膚科を訪れると、「とりあえず化粧をやめなさい」といわれた経験は誰しもあるでしょう。しかし、まったく化粧をやめてしまえば、乾燥を悪化させるだけでなく紫外線や外気に直接触れることになります。乾燥と紫外線は老化変性をすすめますし、花粉の飛散時期になれば花粉が皮膚に直接接触してしまい、スギ花粉皮膚炎を発生させる可能性があるのです。化粧をする、つまり「保湿」と「遮光」をすることは皮膚老化変性阻止にとても重要です。自分の皮膚に無理のない化粧はむしろ治療に匹敵するものだと考えています。

ですから、肌が荒れたらまず洗浄剤の影響を考えて化粧落としだけをして油洗いのみにする、それだけで乾燥による赤みと荒れは激減します。洗顔料を使用しなくなってもなお、かゆみや赤みが続く場合は化粧品の関連を疑います。洗顔料使用を禁止して化粧品の数を減らす、必要最低限の保湿と遮光のみを続けて肌休めをすると案外回復することも多いようです。

ただし、肌の状態が悪くないのに特定の化粧品を使ってひりひり感やしみる感覚がある場合は、化粧品による刺激性あるいはアレルギー性の皮膚炎を起こしている可能性があります。そういった自分自身の感覚は、化粧品かぶれの判断する目安にしてください。

ですから、肌荒れがあるからと化粧をしないことはおすすめできません。あまりにも症状がひどい時は治療薬が必要ですが、薬ばかり塗っていては皮膚の機能を落とし、老化を促進してしまうこともあります。主治医と相談しながらどうしたら治療を軽減することができるかを考えてください。皮膚は心と体の状況を映す鏡でもあります。肌荒れがある時は内臓荒れがある徴候と考えて睡眠や食事など生活を整えることを考えましょう。弱い皮膚だからこそ、皮膚を守るための製品を自分の感覚を信じて見つけて欲しいと思います。保湿と遮光を継続して若々しく美しい肌を維持できるように、ぜひ「守る化粧」をしてください。

 

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