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インタビュー

皮膚の役割

皮膚の役割
関東 裕美 先生

東邦大学医療センター大森病院 皮膚科 臨床教授

関東 裕美 先生

皮膚は、人間の体の中で一番大きな臓器です。もし皮膚の機能がなくなったら人間は生きていけません。体内のあらゆる臓器を守るために機能し、唯一外界と接している非常に重要な臓器なのです。東邦大学医療センター大森病院皮膚科教授関東裕美先生にうかがいます。

たとえば、女性は心の不調があると生理が止まったりします。脳下垂体から正しい指令が行かないと卵巣は反応できずにホルモンの調整ができなくなって、女性ホルモンが正常に分泌されなくなってしまいます。女性の免疫機能を整えるのに最も重要な性ホルモンの分泌が正常に行われないと皮膚の潤いや皮脂分泌調整ができなくなります。そのような場合肌つやはなくなり、ニキビができたり乾燥でかゆくなったりと、皮膚トラブル続出です。皮膚免疫機能もコントロール不良になり、アレルギー症状も起こしやすくするのです。

さらに、アトピー素因がある方(花粉症がひどい方・小さい頃喘息と診断されたことがある方など)はもともと自己免疫過剰反応が起こりやすいので、睡眠不足や食事の影響でも皮膚の変動が起こりやすい傾向があります。皮膚状態でライフスタイルが見えやすい方たちですから、アトピー皮膚炎外来ではむしろ自分の皮膚を観察しながら行動したほうが良い生活ができると指導するようにしています。弱い皮膚をいたわることで生活改善ができ無理をしないことでゆとりが生まれれば、少しずつ負荷をかけていきます。少しのことが乗り越えられるようになると自信につながり心も体も強くなっていきます。弱い皮膚を嘆くことなく自分の生活行動の目安とすれば良いのです。

直接自分にあてはまらなくても、家系にそのような体質の方がいれば同様の傾向があるともいえます。

口の中、胃、腸、肛門、これらの部位は、皮膚と密接に関わる粘膜で覆われています。病的な症状が非常に観察しやすい場所です。頻繁にできる口内炎や味覚異常など口腔内の症状で金属アレルギーを観察できますし、喉の違和感や胃の不快感や腸の具合で食物アレルギーを観察できます。肛門にかゆみがあれば、食べ物が出ていく、トイレットペーパーなど化学物質が触れる場所という点から、これもまた刺激やアレルギー反応を推察することができます。

皮膚や粘膜は再生臓器です。「古いものが落ちて新しくなる」という機能は、おおがかりな検査装置がなくても状態が把握できる優れた臓器なのです。ですから、ぜひその機能を利用して、「自分にとってアレルギー要素の強い食べ物を摂取しすぎていないか」「自分に触れる製品の素材に問題はないか」を、日ごろからよく観察するようにしてください。

皮膚の観察といっても、何を測る必要もありません。自分の感覚で「乾燥しているな/脂っぽいな」「今日はおかしいな/調子いいな」などを意識するだけで十分です。なぜなら「今」の皮膚の状態が昨日と比べてどうか、いつもと比べてどうかは本人にしかわからないからです。たったこれだけの観察でも、「昨日はちょっとしっとりしていたから洗ってみよう」「今日はいやにカサカサしているから洗うのをやめよう」と、自分の皮膚の状況に合わせて洗顔や化粧を変えることができるようになります。これを意識することで、皮膚のケアは格段にうまくなるでしょう。

夏と冬、生理前後、更年期前後、妊娠・出産前後など女性ホルモンの変動期は免疫不安定期なので皮膚の状態も不安定です。

それにもかかわらず、1年中同じ化粧のしかた、保湿や洗浄方法も工夫しないで過ごしている方が多いのは非常に残念です。

皮膚は、毎日老化変性しています。ですから当然、年齢によっても皮膚の状態は変化します。加齢によって環境因子にうまく適応できなくなると、乾燥がひどくなりかゆみの原因を作ってしまうこともあります。このような加齢による変化を考慮せず、20歳で教わったことを30代、40代になっても行っていては、皮膚がトラブルを起こすのは必然といえるのです。「今の季節」の「今の自分」の皮膚はどうかよく観察し、自分の生活サイクルを見直しながらその時の皮膚に合わせたケアをする、化粧をするように心がけてください。

皮膚は、ちょっと生活が乱れればすぐに病的な皮膚になりますし、何かの疾患を抱えれば変化が表れます。「自分の皮膚は自分が一番よくわかるはず」という意識で、ぜひ毎日自分の皮膚と対話していただきたいと思います。皮膚はひとりひとり異なるので、自分に合ったケアをしなければいけません。人に教わって取り入れたとしても、それが本当に自分にとって効果的なケアなのか見極める必要があります。「人の皮膚」と「自分の皮膚」は違うことを認識して自分の皮膚に忠実に過ごすことが大切です。

 

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