
加齢黄斑変性の発症には、高脂肪食や日光曝露、喫煙などの生活環境因子のほかに、「遺伝要因」も関係しているといわれています。どのような遺伝子が、加齢黄斑変性の発症にどの程度関与しているのでしょうか。また、日常生活でできる加齢黄斑変性の予防法にはどのようなものがあるのでしょうか。国際医療福祉大学病院眼科部長の森圭介先生にお伺いしました。
加齢黄斑変性の発症には数多くの遺伝子の関与が報告されていますが、特に次に挙げる3つの遺伝子が強く関与していると考えられています。
これらは加齢黄斑変性のリスク因子であり、より多くの遺伝子を持っている人ほど将来加齢黄斑変性を発症する可能性は高まります。
そのため、同じような生活をしていても、ご家族、特に兄弟に加齢黄斑変性の患者さんが多いという人は、ご家族に全く患者さんがいない人に比べて発症リスクは高まります。
ただし、ひとつの遺伝子にはリスクホモ・ヘテロ・ノンリスクホモの3種類があり、この組み合わせによりリスクは大きく変わります。たとえば、3つの遺伝子があれば27パターンの組み合わせができるというわけです。この組み合わせがどう遺伝していくかが問題となります。
私も参加させていただきましたが日本・シンガポール・香港・韓国の東アジアの間の国際共同研究では、2万人以上の遺伝子情報を解析し、その結果加齢黄斑変性の発症に関わるアジア人特有の遺伝子変異を4つ発見しました。その中でもコレステリルエステル転送蛋白(CETP)遺伝子の中にみつかった変異は、アジア人にしかみられないものです。加齢黄斑変性の治療薬は、今のところ全て欧米で開発されたものですが、この研究結果を受け、今後アジア人の加齢黄斑変性にとってより有効な治療薬が開発される可能性があります。
ただし、CETP遺伝子は加齢黄斑変性発症の大きな原因になるものではありません。遺伝因子には強いものと弱いものがあり、CETP遺伝子は後者に該当します。加齢黄斑変性の中には「東アジア人の特徴的な型」がありますが、日本人と韓国人、中国人の食生活は似ており、また、上記のどの国の男性にも喫煙習慣がありました。ですから、加齢黄斑変性の原因や型を決めるものは、現時点での知見では、遺伝因子よりも生活環境因子のほうが大きいのではないかと考えられています。加齢黄斑変性を防ぐためには、こういった生活環境因子を増やさないよう心掛けることが重要です。
ここまで繰り返し述べてきたように、タバコに含まれるニコチンには、新生血管の増殖に関わるVEGF等のサイトカインの分泌を促す作用があります。実際に喫煙者は非喫煙者に比べて加齢黄斑変性になる危険性が高いことが明らかとなっていますので、若いうちから禁煙することが大切です。現在若年層の喫煙率は低下していますが、これは眼病予防の面からみても非常によい傾向であると考えられます。
老化とは活性酸素が増えて“体が錆びる”(酸化する)ともいえます。加齢黄斑変性とは文字通り「加齢」が関与しているため、網膜の酸化を防ぐことができれば発症のリスクも低下すると考えられます。以下に、眼病予防によいとされる抗酸化物質を記しますので、積極的に食事に取り入れるようにしましょう。
緑茶・柑橘類・アセロラ・ほうれん草・かぼちゃ・ブロッコリー・黒豆・ブルーベリー・ぶどう・ピーマン・魚類等
これらを十分に摂取することは、眼病だけでなく全身の病気を防ぐことにも繋がります。
このほか、赤外線や紫外線を直接浴びないよう、眼を保護することも大切です。たとえば、屋外ではUVカット効果のあるサングラスや眼鏡をかけたり、つばの広い帽子をかぶるよう心掛けましょう。
このように日常生活内でできる工夫を継続して行うことで、加齢黄斑変性はある程度予防できると考えられます。
国際医療福祉大学 眼科教授
森 圭介 先生の所属医療機関
周辺で加齢黄斑変性の実績がある医師
東京女子医科大学病院 眼科 講師
内科、血液内科、膠原病リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、消化器内科、内視鏡内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、人工透析内科、脳神経内科、内分泌外科、放射線診断科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都新宿区河田町8-1
都営大江戸線「若松河田」若松口 徒歩5分、都営大江戸線「牛込柳町」西口 徒歩8分、都営新宿線「曙橋」A2出口 徒歩12分
虎の門病院 眼科 部長
内科、血液内科、リウマチ膠原病科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、歯科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科
東京都港区虎ノ門2丁目2-2
東京メトロ銀座線「虎ノ門」出口3 徒歩5分、東京メトロ日比谷線「霞ケ関」丸ノ内線、千代田線も利用可 徒歩8分
医療法人社団晴誠会 とやま眼科 院長
眼科
東京都葛飾区小菅4丁目8-7 星野ビル1F
東京メトロ千代田線「綾瀬」 徒歩1分
医療法人社団輝秀会 理事長、はせがわ眼科 院長
眼科
東京都板橋区成増2丁目14-5 メディパーク成増2F
東武東上線「成増」南口より徒歩0分 徒歩、東京メトロ有楽町線「地下鉄成増」5番出口 徒歩2分、東京メトロ副都心線「地下鉄成増」5番出口 徒歩2分
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