インタビュー

骨髄異形成症候群(MDS)とは-白血病へ進行する可能性のある病気

骨髄異形成症候群(MDS)とは-白血病へ進行する可能性のある病気
済生会宇都宮病院 血液リウマチ科 主任診療科長 増田 義洋 先生

済生会宇都宮病院 血液リウマチ科 主任診療科長

増田 義洋 先生

血液内科で扱っている主な病気は白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫・骨髄異形成症候群などであり、あまり頻度としては高くないものの悪性度が高いものが多いとされています。その中でも骨髄異形成症候群(MDS)は高齢者に多く発症する疾患のひとつとして注目されています。骨髄異形成症候群について済生会宇都宮病院血液リウマチ科主任診療科長の増田義洋先生にお話をうかがいました。

高齢者に多く発症する骨髄異形成症候群(MDS)

貧血からみつかることも多い

地域の住民の方の高齢化にともなって骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes; MDS)は確実に増えています。貧血やその他もろもろの血球減少症として紹介されて、よく調べてみると骨髄異形成症候群だったという方は多くみられます。低リスク群の方は病状もおおむね安定しているので外来治療でもよいのですが、高リスク群の方の多くは白血病に進行(転化)します。

骨髄異形成症候群(MDS)から白血病への進行(転化)

白血病というと映画や小説にもよく出てくる疾患ですが、一般的には若年の方が白血病にかかり、急激に進展して生命の危機に瀕するというイメージが強いと思います。このようないわゆる若年発症の白血病はde novo(デノボ)と呼ばれます。しかし現在私が診ている中では、骨髄異形成症候群から増悪し、診断の定義上は「白血病」になっているというケースのほうが多くなっています。

骨髄異形成症候群から進展した白血病は病状の個人差が大きい

白血病に進行するといっても、患者さんによって病状の進行にはかなり個人差があり、一概にはいえません。外来で経過観察をしていても特に問題がないという方もいれば、入院後短期間のうちに致命的な状況になってしまう方もいます。

しかも患者さんの多くがご高齢であるため、どこまで治療をするべきなのかという問題が常に立ちはだかっています。単に診断上の病名が白血病であるということだけで入院していただくとなると、病棟がいっぱいになってしまうという現状もあります。実際のところ、積極的な治療が必ずしも生存期間の延長につながらないと予測されるような方も少なくありません。

骨髄異形成症候群から進展した白血病の治療

白血病の薬物治療では通常、抗がん剤で白血病細胞を正常な細胞と一緒にいったん死滅させ、正常な細胞が増えてくるのを待つという治療を繰り返し行います。しかし骨髄異形成症候群の場合には造血幹細胞自体の疾患ですから、正常な細胞が出てくるわけではありません。したがって、薬物治療を繰り返しても目に見えて効果が現れることがなく、「労多くして功少なし」という結果に終わることが多いのです。

たとえば「造血器腫瘍診療ガイドライン」では骨髄異形成症候群に対しても診療の手順が示されていますが、実際には患者さん一人ひとりの状態やその背景によって治療を決めていくことになりますので、教科書通りにはならないケースも相当数あります。もちろんこれは他の疾患についても同じことがいえるでしょう。

治療をしてよくなって帰っていただくことができるのが一番良いのですが、我々専門医は経験を積むに従って患者さんの自然経過がわかるようになってきます。そうすると、今はお元気であっても残念ながら病気自体をよくしていくことが難しいという方がかなりいらっしゃるということもわかってきます。そのような場合、特に高齢の方であればQOL(Quality of life:生活の質)をいかに維持・向上させるかということが治療の中心になってきます。