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インタビュー

子どもがおたふく風邪(ムンプス)になったとき-保護者が知るべき対処法と予防接種の大切さ

子どもがおたふく風邪(ムンプス)になったとき-保護者が知るべき対処法と予防接種の大切さ
堀越 裕歩 先生

WHO Western Pacific Region Office, Field Epidem...

堀越 裕歩 先生

感染症は一般的に特効薬がなく、熱を下げる・痛み止めを服用するなどいわゆる対症療法しかありません。おたふく風邪も同様です。子どもがおたふく風邪にかかってしまったら、どんな治療を施し、どんな合併症に気をつけるべきか、前回『子どものおたふく風邪(ムンプス)の症状と感染経路・潜伏期間』に引き続き、東京都立小児総合医療センター感染症科医長の堀越先生にご説明頂きました。

頬が腫れた子ども

おたふく風邪(ムンプス)の代表的な症状は次の2つです。

耳の下と顎の下にある唾液腺にムンプウイルスが感染することで頬が腫れ、痛みを伴います。片方だけ腫れる場合と両方同時に腫れる場合があります。

37度から40度程度の熱が出ることがあります。また、おたふく風邪は数日から1週間ほどで熱が下がることが一般的です。

薬

おたふく風邪には特効薬が存在せず、基本は自分の治癒力で治していくことになります。医療機関ではお子さんの症状にあわせ解熱鎮痛剤を投与するなど、薬を飲ませる対症療法が中心となります。

おたふく風邪の症状は、数日から1週間ほどで症状がおさまることが多いですが、まれに、ムンプウイルスが頭に移動することで、我慢できないくらいの頭痛や高熱に移行し、水分を十分に摂取できなくなることがあります。こういった場合、後述する無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)を併発している可能性があります。水分がとれないと入院が必要となることもあるので、その場合はお子さんを病院に連れていくようにしましょう。

おたふく風邪はいくつかの合併症を引き起こすリスクがあるので、注意が必要です。

耳を抑えている子供

おたふく風邪をひいたとき、ウイルスが脳の髄膜で炎症を起こし、最も多い割合で発症するのが無菌性髄膜炎です。症状には個人差がありますが、主な症状としては、発熱・頭痛・吐き気などがあります。

通常おたふく風邪は1-2週間で症状が改善されますが、1,000人に1人程が難聴を発症するといわれています。2015年からの過去2年間のデータで、難聴の合併症を患った方の数は300人を超えています。

残念ながら現在の医学では有効な治療法が無く、片方あるいは両方の耳の聴力を永久に失ってしまう患者さんもいらっしゃいます。子どもがおたふく風邪をひいた際には、両耳が聞こえているかどうかを確認してあげましょう。

思春期や成人になってからなると、精巣や卵巣に炎症をおこし、まれですが不妊の原因になることがあります。

具合が悪く寝ている子どもを看病している(見守っている)保護者

繰り返しになりますが、おたふく風邪は特効薬で早期に回復する類の病気ではなく、自然回復を待つ病気です。頬の腫れや熱は数日経てば治るため、多くの場合は重い症状になることはありません。頬の腫れが始まってから5日間は感染力があるため、その期間はお子さんを自宅で安静に過ごさせ、外出を控えさせてください。

頬の腫れや熱の症状には市販の子供用の解熱鎮痛剤や病院で処方された薬を飲ませましょう。解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンが子どもに使用できます。また抗生物質(抗菌薬)は効果がありません。

食器

おたふく風邪にかかっているときの食事には特に制限がありません。元気があれば普通の食事を食べさせてあげるとよいでしょう。

痛みがひどく、食事が難しい場合はゼリーなど喉越しのよいものを食べさせ、食欲がなければ無理に食べさせなくてもよいでしょう。ただし、水分補給だけはしっかりとするようにしてください。

注射器

以前は定期接種で行われていましたが、ワクチンによる無菌性髄膜炎が1,000人に1人ほど発生したため、中止になりました。現在は、より安全なワクチンが開発され、任意接種として予防接種を受けることができます。おたふく風邪そのものは、軽症で終わることがほとんどですが、少なくない頻度で合併症として難聴になることがあります。おたふく風邪にかかってからでは合併症の予防をすることはできません。そのため、ワクチンを2回接種し、おたふく風邪にかかること自体を予防することが最も重要なのです。

 

  • WHO Western Pacific Region Office, Field Epidemiologist

    日本小児科学会 小児科専門医・小児科指導医

    堀越 裕歩 先生

    小児患児に感染症が多いにも関わらず、それぞれの診療科が独自に感染症診療を行うという小児医療の現状を変えるべく、2008年トロント大学トロント小児病院感染症科に赴任。感染症症例が一挙に集約される世界屈指の現場において多くの臨床経験を積むとともに、感染症専門科による他診療科へのコンサルテーションシステム(診断・助言・指導を行う仕組み)を学ぶ。2010年帰国後、東京都立小児総合センターに小児感染症科設立。立ち上げ当初、年間200件~300件だったコンサルタント件数は現在1200件を超える。圧倒的臨床経験数を誇る小児感染症の専門家がコンサルタントを行うシステムは、より適正で質の高い小児診療を可能にしている。現在は後進育成にも力を注ぐ。

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