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インタビュー

ムンプスとおたふく風邪―ワクチンで9割は予防できる

ムンプスとおたふく風邪―ワクチンで9割は予防できる
川井 未知子 先生

国立成育医療研究センター 小児医療系総合診療部レジデント

川井 未知子 先生

石黒 精 先生

国立成育医療研究センター 教育センター センター長  臨床研究センター 副センター長・臨床研究...

石黒 精 先生

毎年秋頃から子どもを中心に流行するおたふく風邪。正式には流行性耳下腺炎という、耳下腺と呼ばれる耳の前にある唾液腺が腫れて痛みや熱を伴う病気です。そのため熱があり顔の下が腫れたら要注意です。ときに合併症を引き起こすおたふく風邪の9割は、ワクチンの接種(予防接種)によって防ぐことができます。国立成育医療研究センター 小児医療系総合診療部レジデントの川井 未知子先生にお聞きしました。

おたふく風邪」は、耳下腺という耳の前にある唾液腺(=唾を作る場所)が腫れて、「おたふく」のような頬になることからおたふく風邪(=流行性耳下腺炎)とよばれています。この原因は「ムンプスウイルス」というウイルスで、感染した人の咳やくしゃみによって周りに感染します。

感染してから症状が出るまでは、約2〜3週間ほどです。感染した人のうち1/3は感染しても全く症状がでなかったり、耳下腺が腫れずに普通の風邪症状だけで終わったりします。中には耳や精巣に感染をして、耳が聞こえなくなったり、こどもができにくくなったりするといった怖い後遺症が残ることが知られています。また、妊娠中に感染すると自然流産や子宮内胎児死亡の頻度が増えるという報告もあります。

特徴的な症状は、発熱と耳下腺の腫れです。耳下腺とは、耳の前からあごにかけて存在する一番大きな唾液腺です。典型的なおたふく風邪では、耳下腺が腫れることにより、あごの角(耳の下の角ばっている部分)に触れにくくなります。最初の数日は痛みも伴うため、ご飯が食べられなくなることもあります。こどもに多い病気ですが、大人もかかります。しかも、ワクチンをしていない人が大人になって初めてかかると、こどもに比べて症状が強く出やすいと言われています。症状は2日目をピークに、1週間~10日ほどで落ち着いてきます。

また、珍しいケースですが、下記のような症状があわせて現れることもあります。 

頭痛、発熱、嘔吐などが起きます。耳下腺が腫れる前でも後でも起こります。多くの場合は、麻痺や発達の遅れ、けいれんなどの後遺症が残ることなく治ります。

思春期よりも後におたふくにかかった場合には,しばしば起こります。39~40℃の高熱となり、陰嚢は赤く腫れて痛くなります。両側の精巣炎となった場合は、不妊となる可能性があります。

ワクチンがない時代には、こどもの難聴の原因として多いものでした。一度難聴になってしまうと、聴力は戻りません。

まれにしか起きません。大人にもこどもにも起こります。症状は腹痛、嘔吐などです。症状に対する治療でよくなることが多いです。

 

おたふく風邪とその合併症を根本的に治す方法はなく、症状に対する治療(対症療法)が基本となります。熱が高くてぐったりしているようであれば解熱薬を、「無菌性髄膜炎」を発症してしまったために頭痛があれば安静にして鎮痛薬を飲んでもらい、耳下腺の腫れで食事ができず脱水を起こしているのであれば点滴をおこなうなど、患者さんそれぞれの症状にあった治療が行われます。

特効薬がない上に、合併症を起こしてしまうと、一生耳が聞こえなくなったり、不妊になったりする可能性があります。そのため、一番大切なのは予防をすることです。唯一の予防方法はワクチンです。

日本ではもともとMR(麻疹風疹)ワクチンにおたふく風邪ワクチンも加えた、MMRワクチンを定期接種としてみんなに接種していました。しかし、このMMRワクチンを接種することによって、0.5%程度の方に「無菌性髄膜炎」が起こったという報告がありました。1993年におたふく風邪ワクチンは定期接種から外れ、希望する人にのみ行う任意接種になっています。

このため「やはりワクチンは危ないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在接種されているおたふく風邪ワクチンは、以前のMMRワクチンに入っていたものと種類が少し異なり、無菌性髄膜炎の発生頻度は0.05%と減っています。その頻度は、ワクチンを接種せずにおたふく風邪にかかって無菌性髄膜炎になる頻度(10%)よりもはるかに低いです。そして実は、先進国でおたふく風邪が定期接種になっていないのは日本だけです。世界では定期接種としてみんなが受けるのが当たり前になっている安全性の高いワクチンなのです。

1回のワクチン接種で約80%、2回接種で90%が感染を予防できます。誰もがワクチンをしっかりと受けていれば、感染源となる人も減るので、感染の予防率はさらに上がります。

時期としては、1回目は1歳になったらできるだけ早く、2回目は小学校入学前5歳以上7歳未満で接種することが推奨されています。

予防接種の大きなメリットを考えると、ほとんどの人に接種が推奨されますが、治療中の病気がある場合や使用している薬剤によっては接種を見送ることがありますので、アレルギーの情報を含めて医療機関に伝えるようにしてください。接種当日に発熱している場合は、接種可能かどうかを接種予定の医療機関へお問い合わせください。

耳下腺の腫れが始まってから5日はウイルスを周りにうつしてしまう可能性があります。日本の学校保健安全法では「耳下腺の腫れが始まってから5日以上経っていて、全身状態がよくなったら登校、登園してもよい」と定められています。

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  • 国立成育医療研究センター 教育センター センター長/臨床研究センター 副センター長/臨床研究教育部長(併任)/血液内科診療部長(併任)

    石黒 精 先生

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