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インタビュー

公開日 : 2017 年 11 月 22 日
更新日 : 2017 年 11 月 22 日

MELASは遺伝する病気?リスク因子とL-アルギニンを用いた治療の確立に向けて

ミトコンドリア病のなかでも最も患者数の多いMELAS(メラス)は、脳卒中様発作を主な症状とし、発症から数年で死に至ってしまう難しい病気と考えられてきました。久留米大学病院小児科教授の古賀靖敏先生は、変異遺伝子を持つ方のMELAS発症予防や、発作時の症状緩和のために研究を重ねられ、L-アルギニンを用いた世界初のMELAS治療薬の開発を目指しておられます。日常生活のなかから除去すべきMELASのリスク因子や、治療開発の現状について、古賀先生にお話しいただきました。

MELASの遺伝形式-母系遺伝とは?

MELASは「母系遺伝」という遺伝形式をとり、母から子へと遺伝することがあります。ただし、後述するように子孫が必ずMELASを発症するわけではありません。

なぜA3243G変異は母親から遺伝するのか?

MELASの主な原因であるA3243G変異は、母親から子孫へと母系遺伝もしくは細胞質遺伝し、父親から伝わることはありません。これは、父親由来の変異ミトコンドリアDNAが、精子の尾部に集積するためです。ミトコンドリアのATP合成によりエネルギーが作られることで、精子の尾部は繊毛運動をすることができます。その後、卵子と結合して受精卵が形成されるときには、精子の核のみが残り、ミトコンドリアDNAの存在する尾部は切り離されます。一方、卵子にはミトコンドリアが存在するため、変異自体は子どもすべてに伝わります。これが、MELASの原因遺伝子変異が父親からは遺伝しない理由です。

精子

A3243G変異を持っていても健康に生活している人は多い

仮にA3243G変異を持っていたとしても、変異率が低ければMELASをはじめとする病気の症状が現れることはありません。実際にA3243G変異を持っている患者さんご家族の多くは、無症状で健康に生活されています。

また、オーストラリアのクイーンズランド州で行われたポピュレーションスタディでは、人口10万人あたり16.3人がA3243G変異を持っていることがわかっています。

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