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インタビュー

神経膠腫(グリオーマ)の治療の選択肢-手術・放射線・薬など

神経膠腫(グリオーマ)の治療の選択肢-手術・放射線・薬など
園田 順彦 先生

山形大学 医学部 脳神経外科学講座 教授

園田 順彦 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年03月29日です。

神経膠腫グリオーマ)とは、脳の内部から発生する脳実質内腫瘍の一つです。神経膠腫の治療では、手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤など、薬を使ったがんの治療法)が主な治療法となります。

今回は、山形大学医学部脳神経外科の教授である園田 順彦先生に、神経膠腫の治療の選択肢についてお話しいただきました。

神経膠腫の分類や症状については記事1『神経膠腫(グリオーマ)とは? 病気の分類・症状を解説』をご覧ください。

記事1でお話ししたように、神経膠腫は、世界保健機関(WHO)が決めたグレード(基準)によって、悪性度別にⅠ〜Ⅳに分類されます。

このグレードは、病理学的悪性度と臨床学的悪性度によって決定されます。まず病理学的悪性度では、顕微鏡を用いて腫瘍を観察し、その悪性度を評価します。さらに臨床学的悪性度では、患者さんがどれくらい生存できるかを評価し、悪性度をはかります。

この2つを加味し、神経膠腫のグレードは決定されます。

提供:PIXTA

神経膠腫の診断では、MRI(磁気を使い、体の断面を写す検査)が有効です。昔であれば、神経膠腫が脳卒中(のうそっちゅう)と間違われるケースも少なくありませんでした。しかし近年では、MRIの精度が向上しているため誤診は減っていると考えられます。

神経膠腫の診断において、2018年現在、遺伝子検査は日本では保険適用になっていません。しかし世界では、神経膠腫の診断に遺伝子検査を取り入れている国もあります。

日本でも遺伝子検査ができる医療施設もあり、神経膠腫の正確な診断ができるようになってきています。

今後は日本でも、遺伝子検査によって、より正確な診断を可能にすることができるのではないかと期待されています。

神経膠腫の治療法は、主に手術、放射線療法、化学療法(抗がん剤など、薬を使ったがんの治療法)になります。原則的には、切除できない場所に腫瘍がある場合を除き、手術が第一選択となります。

手術とともに、放射線療法や化学療法による治療を組み合わせるケースが多いでしょう。

手術

一般的に、薬が使用されるのは、グレードⅢとⅣの神経膠腫です。

近年では、有効な薬が登場し、神経膠腫の患者さんに使用される薬の選択肢は広がりつつあります。

神経膠腫の治療における手術の役割は、症状を悪化させずになるべく腫瘍を取りのぞくことであると考えられています。

したがって、手術が重要な役割を果たすといっても、神経膠腫を切除すると麻痺が悪化してしまうようなケースでは手術することは難しいでしょう。このような場合は、手術は診断を確定させる程度の最小限の摘出にとどめ、放射線治療を選択するという判断の仕方もあります。

手術するかどうかは、病状とともに仕事や手術後の生活なども含め判断されるでしょう。

園田先生

私は、神経膠腫の解明を目指す研究を続けています。たとえば、神経膠腫はほとんど転移することがありません。しかし、脳の別の場所や脊髄(せきずい)に転移することがまれにあることがわかっています。この場合、どのようなメカニズムで転移が発生するか研究に取り組んできました。

今後、解明が進められれば、より有効な治療法の開発につながるかもしれないと期待しています。

神経膠腫と一言でいっても、ステージによって症状や進行のスピードはそれぞれ異なります。お話ししたような手術、放射線療法、化学療法のうち、有効な治療の組み合わせも患者さんによって異なるでしょう。

信頼できると感じる主治医とともに神経膠腫の治療に取り組んでほしいと思います。

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    園田 順彦 先生

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