院長インタビュー

高松市のリーディングホスピタルを目指す高松市民病院の取り組み

高松市のリーディングホスピタルを目指す高松市民病院の取り組み
和田 大助 先生

高松市立みんなの病院 院長

和田 大助 先生

この記事の最終更新は2018年08月06日です。

香川県高松市にある高松市民病院は、1903年に現在地に当初は高松市立伝染病院として開設された病院です。開設当時から市民を支える医療機関として、患者さんを受け入れてきました。

2018年4月現在は病床数417床と23の診療科を構え、地域の医療機関と連携しながら幅広い医療を提供しています。

そんな高松市民病院では、現在どのような取り組みが行われているのでしょうか。院長である和田 大助先生にお話を伺いました。

高松市民病院ご提供

明治時代に開設された高松市民病院は、110年以上にわたって地域に頼りにされてきた病院です。何度かの名称変更を経て、1966年に現在の名称に変わりました。

2018年9月には、新病院に移転することが決まっています。移転後は、公募で選ばれた「高松市立みんなの病院」へと生まれ変わる予定です。現在は高松市の北側に位置していますが、移転後は南側となります。その地域は医療機関があまり多くないため、住民のみなさまが安心して暮らせるよう、医療体制をより強化していく予定です。

新病院「高松市立みんなの病院」 高松市民病院ご提供

昨今は救急搬送の受け入れ台数が増加しております。その要因は、全科の医師が勤務している昼間の救急要請は断らないとしたことと、ホットラインを設けたことです。脳卒中、消化器、呼吸器に関してはこのホットラインを使って医師同士が直接やり取りできる体制を整えたところ、相談や紹介が増え、救急車の受け入れ先となる医療機関が見つからないといった問題が減少しました。現在は日勤時間帯だけですが、患者さんのスムーズな受け入れに寄与しています。

また、消防隊の職員とも顔をあわせる機会をつくっており、課題の共有などを行っています。そうした地道な取り組みが、救急搬送の受け入れ台数の増加につながっていると考えています。

新病院に移転する際には、新しくPET-CTを導入する予定です。またリニアックも更新します。医療機器を新しくするのと同時に、がんの診断や治療にも力を入れていきたいと思っています。

外科では、消化器疾患や甲状腺疾患、乳腺疾患など幅広く取り扱っていますが、なかでも積極的に行っているのが腹腔鏡手術です。外科の手術数全体の8割以上を占めており、ヘルニア虫垂炎のほか、食道、胃、大腸、肝臓・胆嚢・膵臓などの幅広い疾患に対して実施しています。

当院で、多くの患者さんを診療しているのが、整形外科です。骨粗しょう症の治療や侵襲性の低い椎間板ヘルニアの手術(経皮的内視鏡下ヘルニア摘出術)など、幅広い診療を行っています。

また、徳島大学整形外科と連携して、毎週火曜日には足の外科外来、毎週木曜日には教授・准教授による脊椎専門外来も開設しています。

呼吸器内科も、患者さんの数が多い診療科です。肺炎慢性閉塞性肺疾患の治療のほか、睡眠時無呼吸症候群の診療にも対応しています。

特徴的なのは、気管支サーモプラスティ(BT治療)という喘息に対する治療方法を行っていることです。BT治療は内視鏡の先から出した電極付カテーテルで気管支の内側を温め、喘息症状を緩和させる治療法です。

外来診療の様子 高松市民病院ご提供

当院では、2017年10月に地域包括ケア病棟を開設しました。地域包括ケアシステムの一環を担えるよう、近隣の医療機関と協力して、急性期病院からの受け入れや在宅復帰の支援を行っていく予定です。

今後は、近隣の医療機関と連携を取りつつ、機能分化を進めていかなければなりません。地域の人口も減少傾向にあるため、患者さんを取り合うのではなく、互いに強いところを引き出していければと思います。

高松市を牽引するリーディングホスピタルとして、高松市の医療の最適化を目指しています。

当院の課題のひとつは医師不足でしたが、やや解消されつつあります。まだ診療科の偏在があるため、もう少し人数を充足させたいと思っています。また、初期研修医がいないため、ぜひ多くの人に来てもらえるように努めたいと思っています。

診療科でいうと、精神科の維持が課題に挙げられます。2018年6月現在、精神科医師は1名しかおらず、常時対応できません。そのため、新病院では精神科病棟は閉鎖することになっています。その代わり、救急病棟の中に精神科対応病床をつくる予定です。

精神科機能は維持し、精神疾患を持つ患者さんの合併症対応は当院で行おうと思っています。よくなったら地域の病院に紹介する体制を作ろうと思います。

2014年12月に、地域医療支援病院の指定を受け、これを維持していくことも課題だと考えています。そのためには、病診連携を深めることが重要となり、地域の医療機関と関係づくりを強化していく必要があります。

また、2018年度には災害拠点病院の指定を受けることを目指しています。それに向けて、災害急性期に活動できる機能を持ったDMATも編成しました。四国内の空港は海で囲まれていることが多く、津波の被害を受ける可能性があります。当院から近い高松空港は内陸にあるため、有事の際に拠点となれる医療体制を整えたいと考えています。

当院が目指しているのは、地域に根ざした病院です。「みんなの病院」として、市民から信頼され、愛される病院になれればと思っています。

常に職員に伝えているのは、「家族や友人など親しい人に勧められる病院を目指しましょう」ということです。何かあったときには、この病院へ来たらよいといえるような病院でありたいです。

これから新病院へ移転し、新しい地域へとまいります。その地域でも、「みんなの病院」が来てくれてよかったと思っていただけるよう、努力していきたいと思います。

高松市民病院ご提供

現在は、初期研修医がいませんが、指導医の資格を持つようなベテランの医師が多く在籍しています。診療科の垣根がないため、そういった医師から手厚く教えてもらえるのが、当院のいいところだと思います。

地域みなさまには常に寄り添い、親しみのある病院だと感じてもらいたいと思っています。新病院への移転後も、「この病院があるから安心して暮らせる」と思ってもらえるよう、地域のみなさまと新しく関係を構築しながら職員一同努力してまいります。

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