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第60回日本人間ドック学会学術大会に向けて

第60回日本人間ドック学会学術大会に向けて
井上 和彦 先生

一般財団法人 淳風会 理事、淳風会健康管理センター センター長

井上 和彦 先生

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この記事の最終更新は2019年01月22日です。

全国の人間ドック健診施設や、人間ドック学にかかわる多くの方が参加する、日本人間ドック学会学術大会。第60回となる今回の総会は、2019年7月25日(木)~26日(金)に、ホテルグランヴィア岡山、岡山コンベンションセンター、岡山医師会館、ANAクラウンプラザホテルにて開催されます。

第60回日本人間ドック学会学術大会のテーマ「Beside You 働く世代の健康増進をめざして!」に込められた思いや当日のプログラムについて、学術大会長である井上和彦先生にお話を伺いました。

わが国の高齢化率(65歳以上の占める割合)は、2018年9月の総務省発表では28.1%であり、すでに超高齢社会に突入しています。参考までに、7%以上を高齢化社会、14%以上を高齢社会、21%以上を超高齢社会と定義されています。

すでに超高齢社会となっているわが国において、高齢者の健康寿命の延伸はもちろんのこと、働く世代の健康管理や健康増進は重要であり、本学会の果たすべき役割は非常に大きいと思われます。そこで、「働く世代の健康増進をめざして!」を考えました。

私たち一般財団法人淳風会は、「1.働く世代の健康管理および健康増進を支援し、お一人おひとりの幸せと健康な社会作りに貢献します」、「2.良質な医療を提供するとともに、高齢者世代の健康寿命を延ばす取り組みを実施し、高齢社会の医療に貢献します」を理念として、2018年1月に第2の創業としました。その中で、Beside You(終生にわたり寄り添う)を行動指針としております。この心構えも大切であり、「Beside You 働く世代の健康増進をめざして!」を、今回の日本人間ドック学会学術大会のテーマとしました。

第60回日本人間ドッグ学会学術大会ポスター
第60回日本人間ドック学会学術大会ポスター

働く世代の健康増進をめざすためには、糖尿病脂質異常症高血圧などのいわゆる生活習慣病や、メンタルヘルスへの対応と共に、悪性疾患(がん)への対策も重視すべきだと考えています。働き盛りの人をがんで失うことがあってはなりません。緩和医療などの進行したがんへの対策も必要ですが、二次予防の充実により早期発見し、早期治療を行い、がんを完治させること、また、一次予防によりがんを発生させないことがより重要と考えられます。

私は長年にわたって内視鏡による胃がんスクリーニングに携わり、標準化と対象の集約の必要性を訴えてまいりました。また、胃がんリスク層別化検査として近年注目されているABC分類を最初に実践し、啓発活動を続けてきました。このような活動も含めて、がん対策には力を入れていきたいと思っています。本学術大会では、「働く世代のがん対策」について、シンポジウムとして議論していただくつもりです。

特別講演としては、新たな診断法として注目されているマイクロRNAに関する講演や、尿中線虫検査に関する講演を予定しています。

教育講演としては、今後克服しなければならないすい臓がん早期発見への取り組みについて、広島県尾道市で実施されている「尾道方式」に関する講演や、がんの免疫療法の最前線に関する教育講演を予定しています。

私自身も学術大会長講演として、「わが国の行うべきがん予防対策(仮題)」を報告させていただく予定としています。

さらに、他学会との共同プログラムを2つ、特別企画として予定しています。ひとつは、日本消化器内視鏡学会・日本ヘリコバクター学会との共同で「わが国からの胃がん撲滅をめざして」 。もうひとつは、日本消化器がん検診学会・日本超音波医学会との共同で「腹部超音波健(検)診判定マニュアルをめぐって(仮題)」を予定しています。

本学術大会で実施予定のプログラムは、もちろん、がん対策についてだけではありません。

生活習慣病に関しては、糖尿病、ならびに、高血圧と動脈硬化に関する教育講演や、「どうやって禁煙するか」に関する教育講演を予定しています。

メンタルヘルスに関する特別講演、ならびに、シンポジウム「4年目を迎えたストレスチェックの意義と問題点」も予定しています。

すでに超高齢社会となっているわが国においては高齢者対策も重要であり、シンポジウム「高齢者に対する人間ドック(仮題)」も予定しています。

また、人間ドックは受診するだけで終わってはなりません。受診後の事後指導は非常に重要ですし、精密検査が必要と判断された受診者には必ず二次検査を受けていただくことが大切です。そのため、パネルディスカッションとして「事後指導の充実、精密検査向上をめざして」を予定しています。今まで通り、「人間ドック健診施設機能評価の考え方(仮題)」 と「第6回健診看護実務者研究会」をそれぞれ人間ドック健診施設機能評価委員会と特定非営利活動法人日本人間ドック健診協会に特別企画として実施いただくようにお願いしています。

人間ドック健診協会と共同で主催する市民公開講座では、2つの講演を予定しています。

一つは、株式会社タニタに勤める管理栄養士の方をお招きして、食事の面からの健康づくりをテーマとした講演を予定しています。淳風会はタニタと提携して「淳風会タニタ食堂」を運営しており、それに関連した講演となります。

もう一つは、元卓球選手の平野早矢香さんの講演を予定しています。ロンドンオリンピック卓球女子団体銀メダリストで、気迫あふれるプレーから「卓球の鬼」とも呼ばれる平野さんに、オリンピックや卓球でのご活躍、ご自身のこれまでの取り組みなどについてお話しいただこうと考えています。市民公開講座についても、ふるってご参加ください。

井上和彦先生 正面写真

今回の学術大会では、がん対策も重視したプログラムを作成しているため、医師以外の医療従事者の方も含めて参考になるのではないでしょうか。また、生活習慣病に関するプログラム、教育講演、特別講演、シンポジウムのほか、メンタルヘルスについても特別講演やシンポジウムを予定しています。人間ドック全般にわたる企画を考えていますので、ぜひ参加していただければと思います。

第60回学術大会は、2019年7月25日、26日に岡山県岡山市で開催します。「晴れの国」 岡山では、白桃やマスカットなどの最盛期に当たりますので、夏の果物をご賞味いただけるものと思っています。また、暑い時期ではありますが、風光明媚な瀬戸内を楽しんでいただけると思っています。参加される皆さまにとって実りあるものとなりますように、一般財団法人淳風会が組織全体で精いっぱい努力させていただきます。多くの会員の皆さまのご参加、ならびに多くのご発表を、岡山でお待ちしております。

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