院長インタビュー

地域の救急・急性期医療を担う総合大雄会病院

地域の救急・急性期医療を担う総合大雄会病院
伊藤 伸一 先生

社会医療法人 大雄会 理事長

伊藤 伸一 先生

目次
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社会医療法人大雄会 総合大雄会病院(以下、総合大雄会病院)は、地域における救急医療や予防医療の場で活躍しています。

今回は、社会医療法人大雄会 理事長の伊藤 伸一(いとう しんいち)先生に、病院の特徴や患者サービス、法人における取り組みについて伺いました。

総合大雄会病院 外観
総合大雄会病院 外観

1924年、初代院長の伊藤 郡二先生が総合大雄会病院の前身となる岩田医院を開設して以来、地域に求められる医療を提供し続け、今では95年以上も続く歴史ある病院となりました。1929年には、当時問題となっていた結核の診断に取り組むべく、1929年に国産第1号のレントゲン『比叡号(ひえいごう)』を導入。その後も1970年に透析センター、1997年に脳卒中センター、2002年 に核医学センター、2010年には救命救急センターを開設しました。

また、2018年6月には、がん治療の効果向上を望めるハイパーサーミア(がん温熱療法)を導入しました。患者さんの幅広いニーズに応え、大切な“いのち”を守り続けるために、医療機器の導入や研究に力を入れています。

同法人の医療施設としては、総合大雄会病院のほかに大雄会第一病院、大雄会クリニック、大雄会ルーセントクリニックを運営しています。

救命救急センターの様子
救命救急センターの様子

当院の救命救急センターでは、24時間365日緊急度が高く重篤な患者さんに対応しています。救命救急医療センターの中に救急初療室を構え、迅速な救命措置を行い、その後、必要に応じて各診療科に振り分けるER型救急体制を構築しています。

当院は、愛知県の救命救急センター(第3次救急医療施設)に指定されています。地域の急性期医療を担う病院として、患者さんが安心して医療を受けることができるように医師の確保に力を入れています。2019年11月現在、救命救急センターに属する医師は、当院の院長を含めて8名。連携する麻酔科(麻酔科標榜医:代表 鈴木 照(すずき あきら)先生)も8名が勤務(うち1名は非常勤)しています。

人員とその医療技術を充実させることと同様に、緊急の場合でも各医師がすぐに対応できる環境を整えることが大切であると考えています。

内視鏡センターでは、上下消化管や各種臓器に対する内視鏡検査を行っています。また、食道や胃、大腸などに生じた早期がんやポリープの切除、胆道結石の除去やステント留置術による胆管の閉塞解消など、内視鏡を使用した各種治療も実践しています。

さらに救命救急センターと連携することで、消化管出血などで救急搬送された患者さんに対して、迅速に対応できるよう努めています。

同センターの内視鏡検査では、可能な限り患者さんの負担を抑えられるように努めています。ご希望の方には、鎮静剤や鎮痛剤を使用して苦痛の軽減を図りながら検査を行っていますので、気軽にお申し付けください。

2019年3月に、内科と外科が合同で治療にあたる炎症性腸疾患(IBD)センターを新設しました。IBDとは、腸の粘膜に炎症や潰瘍を引き起こす、原因不明の病気の総称です。同センターでは、主に潰瘍性大腸炎クローン病の治療に対応しています。

各診療科のスタッフはもちろん、院内の栄養科や薬剤科、地域医療連携課とも連携することで、地域のIBD患者さんを受け入れ、常によりよい医療を提供できるように努めています。

心臓外科と血管外科の連携を軸に、循環器内科や脳神経外科、麻酔科、放射線科が協力して、主に大動脈疾患と心臓弁膜症心疾患の治療に取り組んでいます。胸痛や呼吸困難の自覚症状があったり、かかりつけ医から心臓血管疾患を診断されたりした場合は、気軽にご相談ください。地域全体の心臓血管疾患治療の質向上を目標に、検査から治療まで一貫した診療を提供いたします。

当院の脳卒中センターでは、1997年の設立から24時間365日、脳神経外科医が院内に常駐し、地域の脳卒中患者さんの搬送を受け入れています。救急医療の提供だけでなく、予防医療や脳卒中による寝たきりの防止にも注力していることが特徴のひとつです。

また、外科的治療のみに重きを置かず、患者さんの症状や重症度、年齢、生活に合わせて薬物療法や血管内治療も視野に入れています。尾張西部医療圏の脳卒中医療を支える病院のひとつとして、病気を治すだけでなく、今後の生活も考慮した医療提供を目指しています。

手術室の様子
手術室の様子

2005年に開設された人工関節センターは、人工膝関節置換術や人工股関節置換術などの治療を積極的に行っています。特に人工膝関節置換術に力を入れており、日本人の骨格に合わせた国産の人工関節を使用したり、術後の膝の安定のために後十字靭帯温存型(CR型)の手術を主に選択したりするなど、さまざまな工夫をしています。痛みの緩和のみならず、日本人の生活に合わせて、正座ができる状態までの回復を目指した治療とリハビリを行うことで、QOL(生活の質)の向上につなげています。

2019年11月時点、人工関節センターには日本整形外科学会認定の整形外科専門医が3名在籍しています。 

CTやMRI、RIなど、臨床医のみでは詳細な分析が難しい画像診断検査は、放射線科・核医学センターが診断を行って誤診や見落としを防いでいます。

また、同センターではがんに対する放射線治療を提供しています。主にリニアックを使用した高エネルギーX線、電子線治療を行っていて、照射する場所や方法によっては外来での治療も受け付けています。

透析センターでは、通院による血液透析の提供はもちろん、自宅で患者さんやご家族が透析を行う腹膜透析のサポートを行っています。具体的には、24時間体制の電話対応によって、何かあったらすぐに相談できる環境を整えています。

腹膜透析の導入をすることで通院の回数を減らし、患者さんのQOL(生活の質)向上に取り組んでいます。

リハビリテーションセンターでは、病気の発症時から治療とともに介入する急性期リハビリテーションと、急性期治療を終えた患者さんに対する亜急性期、回復期リハビリテーションを行っています。

患者さんが、少しでも早く社会復帰できるように、病気や療養期間で低下した運動機能とADL(日常生活動作)の回復だけでなく、退院後の生活環境も考慮した総合的アプローチを行っています。

病気は早期発見ができれば、根治が望める場合があります。予防医療は非常に重要であると考えており、その柱として健診センターがあります。当院では、さまざまなニーズに対応するために、一般的な健康診断人間ドックから女性特有の疾患に関する検査を行うレディース検診、脳ドック、PET-CT検査など多彩なコースを設けています。

人生における大切なイベントである出産を担う産科では、安心、安全な出産に尽力するとともに、これから出産を迎える方が快適に過ごせるような施設づくりに注力しています。清潔できれいな病棟や専任シェフが作るフルコース料理など、エンターテインメント性に溢れたサービスを提供しています。

地域の小児患者さんの急性期疾患に対応する一般外来のほか、循環器外来、慢性外来、神経外来、アレルギー外来、腎臓外来などの専門外来(完全予約制)を設置しています。また、24時間受け入れ可能な入院体制を整えており、保護者の付き添いがない小児患者さんも入院できます。

さらに、育児に関する相談を受けたり、乳幼児の病気や発育不良の早期発見、治療を行うための乳児健診を行ったりしています。当院で出産された方以外も利用が可能なため、ぜひ気軽にご相談ください。

遺伝相談室では、遺伝性腫瘍とその疑いのある患者さんに対して、遺伝子検査を実施しています。遺伝性腫瘍の可能性がある患者さんには、遺伝カウンセリングも行っており、早期発見や予防につなげるほか診断後のケアにも尽力しています。

遺伝子検査は、自分自身を守るためだけでなく、家族や子孫の遺伝性腫瘍予防にもなります。当院には、認定遺伝カウンセラーの資格を持つ保健師が在籍し、対応しています。 

一宮市には、社会医療法人大雄会の理事長が、同じく理事長を務める学校法人研伸学園 一宮研伸大学があります。この看護大学は2017年に開学、2019年で3年目の新しい学校であり、1971年に設立した大雄会一宮高等看護学院が起源となっています。

一宮高等看護学院の新設時、大雄会理事長であった伊藤 研(いとう けん)先生は、患者さんに接する機会の多い看護師によって、医療の質が大きく左右されると考えていました。そうした考えを受け継ぎ、現在も看護師の教育、養成に力を入れています。

当院では、大雄会一宮高等看護学院、その後の改組で開学した愛知きわみ看護短期大学(2019年に大学開学に伴い発展的解消)のころより、多数の卒業生を受け入れています。

伊藤先生

常に患者さんの目線に立ち、広い視野を持つことを大切にしてください。困難な状況下においてもポリシーを持って挑戦し続けることで、大きな成果を得ることができるはずです。丹念な準備と他人への思いやりを第一に、医療と向き合ってください。

当院が95年以上もの歴史を持つことができたのは、地域の皆さんのお陰です。これからも地域のかかりつけ病院として、思いやりの心をもった医療の提供を目指していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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